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プロローグ~転生~

 ここは王家宮殿の一室。赤子、もとい転生した俺の声が響き渡る。

  

 ベビーベッドで泣き叫ぶ俺に手を掲げる魔法使いのような風貌ふうぼうをした初老の男が言った。


 

「まさか、そんなはずは……」


 

 その様子を見た王は男に問う。


 

「どうした。我が息子の“天賦スキル”は見えたのか?」



 天賦スキル。それはこの世界で生きる人々に与えられる特殊な才。炎を操る、傷を癒す、人の天賦スキルを鑑定する、果ては手先が恐ろしく器用といったニッチなものまで存在する。


 王に問われた男は青ざめた顔で答える。


 

「今までに何百人、何千人の天賦スキルを鑑定してきましたが、このような事は極めて稀です……。天賦スキルの性質が見えません……。判定不可、すなわち“無能力者”です!」



 

 

 転生前の俺はその日もいつも通りの日常を過ごしていた。高校一年生の俺、坂上範斗さかがみはんとはいつものように目が覚め、スマホをいじり、支度をして高校へ向かう。唯一普段と違ったことは、道中で交通事故に巻き込まれ死亡したことだ。

 

 大通りの横断歩道、信号が青に変わるのを待ちながらSNSを徘徊していると、突然大きなブレーキ音が聞こえた。


 

「何の音だ?」


 

 音の方向を向いた次の瞬間には、目の前にトラックが迫っていた。俺はとっさに隣に居た制服の少女を助けようと突き飛ばした。少女が助かったのか、それとも事故に巻き込まれたかはわからない。元の世界の記憶はここで終わっているからだ。

 

 そして俺は気が付くと真っ白で何もない空間に一人立っていた。


 

「……なんだここ。死後の世界……?」


 

 するとどこからともなく女性の声が聞こえた。頭に直接語りかけられているような変な感覚だ。

 

 

『時間が無いから一度で聞き分けて。君は死に、平時へいじであれば記憶は引き継がれる事無く転生する。けれど君には記憶を引き継いでもらう。そして転生先の世界を救ってほしい』


 

 なんだこれ……夢でも見てるのか……?そう頭で考えたが、その言葉にも声の主は返答してきた。


 

『悪いけど夢じゃないよ。今まで君がいた世界は“第二層世界”。現実世界から意識を飛ばして、新たな人生を歩むために作り出された仮想の空間』


「……それなら俺の意識ってのは現実世界か、一個上の層に戻るってことじゃないの?」


『そう。けれどその“第一層世界”が“管理者”の暴走によって完全にオフライン状態になったの。つまり人々の意識が第一層世界から現実世界へ帰ることが出来なくなった』


「で、それを俺に解決しろと?何で俺なんだ……」


『君が第一層世界への最後の転生者だからよ。これ以上は質問の時間が無いから最後まで聞いて』


 

 俺は半信半疑になりつつも耳を傾ける。そして、続ける女性の声にノイズが入り始めた。


 

『管理者は第一層世界に住む人々の記憶や世界の情報を好き勝手書き換えて、現実世界から遮断した上でダイブした。そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。管理者を正常化させる“力”を君に託す。内部から管理者を正常化し て、皆を 救 って』


「おい!どうしたんだ!声が途切れてるぞ!おい!」

 

 

 女性の声が途切れ、小さくなっていく。

 

 

『君の他 に“案内人ナビゲーター” も転生 す る。 探し出 し、協力する  んだ ……』


 

 真っ白な空間での記憶はここで途切れ、俺は第一層世界“ヴァルニア王国”へと転生した。そこは管理者、もとい魔王が人類を侵略して魔物が蔓延はびこる、RPGロールプレイングゲームをそのまま現実に持ってきたかのような世界だった。



ここまで読んで頂きありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[一言] 転生の設定やチート能力の理由がちゃんと考えられてて好き
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