配車係
記憶が蘇った。
「しにがみちゃん?、、ですか?」
「思い出してくれたんだ、額に指をつけたから記憶が蘇ったんだね。」
「えっでもおじさんですよね?私今ハタチで、、、一緒の保育園だったよね?」
「言ったろ、神様だって。君の置かれている状況で姿が変わって見えるんだよ。保育園の時は子供だったけど、イツキは今おじさんばかりの所に長い時間いるからなんじゃないかな?」
その通りです。今の職場おじさんばかりだもん。
「しにがみちゃんは本当に死神だったんですね」
「そう言う事」
私はこのシュールな状況下なのに知り合いだった事になんだか安心感を覚えてしまっている。
死神だって言ってるのに、、、
あまりにも現実感が無さすぎて流れに逆らう気力も無い。
「君は子供の頃僕と契約した事は覚えているんだろう?お菓子をあげた時、僕と友達になってくれるって言った事覚えているかな?」
そういえばそんな事言ったかなぁ〜
お菓子につられて大変な約束をしてしまったようだ。
でも、女の子をお菓子でつるなんて、、、
甘いものにあがなえるわけないじゃん。
「で、でも小さい頃だったし判断能力だって、、、死神の事だって知らなかったし、、、無効って訳には、、、、」
「いかないね、残念だけど」
「契約破棄には大きな代償があるって事は覚えておいて。」
死神が言うには、私も死神の能力が使えるようになるらしい、人の死期がわかるのだって言われた。ただし見習いだからせいぜい1ヶ月先の死期がわかる程度らしいが。
私が死んだら私は死神に本採用されて死神として役割を果たさないとならないのだとしにがみちゃんはおじさんの顔でニコニコしながら説明してくれた。
契約を破棄した場合は無限地獄に落とされるので、死神になるしかない。
死んだ後も仕事をしないといけないと思うと長生きしたくなった。
正直にそれを伝えると死神ちゃんは、
「君は面白いねやっぱり選んでよかったよ」
と、上機嫌で笑ってから突然消えた。
次の日から人の死期が目に見えるようになってしまった。
実害は今のところないけど、お爺さんやお婆さんはたまに額に数字が書かれていて、ああこの人は後一週間、この人は後10日間とか見てはやるせ無い気持ちになる。
死神の仕事は額に書かれている数字を口に出すことだと、教わった。
死期を口に出すとお迎えの係がそれを聞いて準備をするのだそうだ。
まるで配車係の様で生きてる今も死んだ後もおんなじ配車係だと思うと自虐ネタの様で笑ってしまう。
一度子供の額に三日後の数字が出ていたのでいたたまれなくなり、母親にその日は子供から目を離さない様にと忠告してみたけど、頭のおかしい人を見る目つきで見られただけだった。
四日後の新聞には夏の車内に放置された子供が熱中症で亡くなったと言う記事を見てアパートに帰って泣き崩れてしまった。
精神的に耐えられそうにもない、本当に頭がおかしくなってしまいそうだ。
額の数字を言わなければお迎えが来ないのならと、言わなければと死神ちゃんに話してみたら、お迎えが来ないと輪廻の輪に入れず、無限地獄に落ちてしまうから死神の仕事は重要なのだと説教を喰らってしまった。
死神からの説教、、、、
なんかとても凹む、、、、
なんかホラーっぽくなってない気もしますが(笑)
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