しにがみちゃん
保育園でいつも一人でテレビを見ている男の子がいた。
「テレビは先生の許可がないとつけちゃいけないんだよ」
お昼からやってる古い映画を観ていた。
私にはサッパリわからないのを観ているので、そんなもの観てないで一緒に遊ぼうと言いたかったのだけど恥ずかしくてこんな言い方をしてしまった。
「君は僕の事がわかるの?」
男の子はびっくりした顔で私を見ている、そして私のおでこに人差し指を押し当てて来た。
困惑していると、男の子は
「おまじない!!」
と明るく笑ったので、私もつられて笑ってしまった。
「なんのおまじないなの?お名前は?なんで一人でいつもテレビを見ているの?」
新しいお友達ができたので嬉しくて色々聞いてみた。
「僕は死神、皆僕のことなんて構ってくれないからテレビを見ているのさ、君の名前は?」
「イツキ!私はイツキって言うの、ねえなんのおまじないなの?」
「イツキちゃんのおじいちゃん後一週間で死んじゃうよ。おでこを触ると君の身近な人の死期がわかるのさ」
「みじか?しき?しにがみちゃん
大人みたいな喋り方!可笑しい」
おじいちゃんは今病院に入院している。死んじゃうなんて意地悪なこと言ってきたから、喋り方が変だって言ってお返しをしてやった。
死神ちゃんはそんな事気にもしないでまだ言ってきた。
「2021年8月5日朝5時13分、これを覚えておいてね」
そう言い終わるとしにがみちゃんはお菓子をくれた。
私は先生に見つかったら怒られると思って急いでポケットに入れて、前を向くとしにがみちゃんはいなくなっていた。
もう、トイレに行くなら先生に言って着いて行ってもらわないといけないんだから。
それから毎日しにがみちゃんとテレビの前でお話をしていた。
「こないだ教えてもらった事はその日のうちにママに話をしてんだけど、ママは怖い顔でそんな子と仲良くしたらダメだって言われちゃった。
ママがダメだって言う事はいつだって面白い事だから今日もしにがみちゃんとお話をしているの。」
お菓子をもらえるからじゃないんだからねって言いたかったけど言えなかった。
テレビに出ている人達もしきをおしえてもらった。
ママに言うと又怖い顔で遊んじゃダメって言われるから、パパに話をした。
パパは笑いながらすごいなぁ〜って言って聞いてくれるから。
親戚のセツおばさんがやってきた。
セツおばさんはお母さんの妹でおばさんって言ってもお姉さんなの。
「せっちゃんと仲良く遊んでいるのよ、パパとママは大事なご用でおでかけしてくるからね」
そう言ってから二人は次の日のお昼まで帰ってこなかった。
帰ってきたらきたで、忙しそうに相手をしてくれない。
夕方私もお出かけ用の黒いワンピースを着せられて、せっちゃんの車でおそうしきにつれていかれた。
おじいちゃん死んじゃったんだって。
おそうしきのあとそれから何日も経った時にママとせっちゃんと神社にお出かけして変な帽子をかぶった変な歌を歌うおじさんの前で笑いをこらえてじっとしてなきゃならないって言われてとても困った。
笑わないようにするとよけい笑いたくなっちゃうんだもの。
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