武神
三日後ノアルのママから峠を越えて一命は助かったとお礼の電話があった。
血液検査の結果、覚醒剤反応が出た為家宅捜索が行われて微量の覚醒剤が見つかった。
ノアルは入院しながら起訴されるらしい。
しにがみちゃんはと言うと本社に呼ばれたと言って憂鬱な顔で冥府とやらに出かけて行ってしまった。
ロシア大使館に行く前には戻って来るって言ってたけど、、、
私は、課長に散々嫌味を言われてやっと有給の申請をして来た。
今日もネチネチ嫌味を言われている。
この仕返し、じゃない、お仕置きは絶対に成功させてやろうと思いが強くなる。
大使館勤務の1日前から有給休暇に入る。
やっと課長の嫌味から逃れることが出来た。
帰り道いつものコンビニにしにがみちゃんは帰って来ていた。
ストレスでイライラしているのでノシノシ近づくと逃げようとするので襟首を掴み逃がさない。
「遅い!何してたのよ、なかなか帰って来ないから焦ったわよ、これからどうすればいいか作戦を教えて!」
「やめて、離して、乱暴はしないで!」
襟首を離してやって深呼吸をすると少しイライラはおさまってきた。
「ごめんよ、ちょっと事情が込み入っちゃって、君の扱いが変わるかもしれないんだ。」
「どう言う事よ、わかりやすく説明しなさいよ!」
「なんかイライラしてない?コーヒーでも飲む?」
二人で灰皿を囲みIQOSを吸ってコーヒーを飲んでいると少し落ち着いてきた。
それを感じ取ったのか、しにがみちゃんは冥府での話をはじめた。
なんでも、私には武神の加護がついているらしい。
「君は覚えてないかな?建速須佐之男命に加護を授けられた事」
「なんなの?たけはやのみことって、、知らない」
「建速須佐之男命ね、覚えてないんだ。スサノオって言ってもピンと来ない?」
「なんか聞いた事あるけど、教科書だったんじゃないかな〜」
あ、小学校5年生の時の空手の大会の練習試合で中学生の男子とやった時(強すぎて相手が居なくて中学生に相手をしてもらった)顎に一髪入って気絶した。
その時の夢でそう言えばそんな感じのことがあったような。
「お前の心根は気に入っている、強くなりたいか?これからも優しくいられるか?真っ直ぐに生きたいか?」
「はい、強くなって私の周りの人達を守って行きたいです。」
「我が加護を授けよう。精進するが良い」
ああ、思い出した、あれって夢じゃなかったのね。
なんで気に入られたのかわからないけど、今まで加護の恩恵みたいなもの無かったし、、
「思い出したみたいだね、それでさ、君にはこれから悪魔のお仕置き係の役に就いてもらう事になったから、」
んんん、悪魔のお仕置き係?なんでそうなるのよ。
「ちょっと、しにがみちゃん待ってくれる。うちの会社だって人事異動は本人と相談して決めるわよ!勝手に部署移動なんて信じらんない!」
「イヤ〜おかしいと思ってたんだよ、僕は人に叩かれたって痛くの痒くもないんだ、悪魔も同様にね。それが君に叩かれると痛いって言うかしびれるって言うか、、、」
相変わらず付いてきているチャラ男悪魔もしにがみちゃんの後ろで大きく頷いている。
「誤魔化さないで!急な人事異動には断固抗議します。」
「ごめんね、もう決定事項なんだ。僕が君のオブザーバーとして補佐を務める事と、そこの悪魔も雑用係としてチームを組む。その代わりといっちゃなんなんだけど、寿命で全うした場合には死神にはならなくて良くなった。輪廻の輪に戻って良いって事になったから、それでなんとか納めてくれないだろうか?」
「有給返してくれるなら考えても良いわよ」
「善処します」
お盆休みです。
このお休みに完結目指します。(笑)
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