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[第五部完結]【書籍化】大魔術師様に嫁ぎまして~形式上の妻ですが、なぜか溺愛されています~  作者: 狭山ひびき
緊迫の新婚旅行へ向かいます!

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祭壇の調査と炎のキノコ 4

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 グレアム様とベノルトさんのお宅に向かいますと、ダイニングにはジョエル君のほかにケントさんがいらっしゃいました。

 今日のお話にはベノルトさんは参加なさらないそうです。一族に残る書物についてのお話なので、あまり一族以外の人の耳には入れたくないのだとか。


 ベノルトさんは遠縁にあたるのですけど、一族かそうでないかで線引きされているみたいですね。

 グレアム様は、この件の協力者であるとジョエル君が認識しているため、特別なのだそうです。


「ドウェインはどうした?」


 ジョエル君がわたくしとグレアム様二人だけなのを見て首を傾げました。


「ドウェインさんはキノコを採りに行っていて、まだ戻ってきていませんよ」

「またキノコか……。あいつ、毒キノコを食べすぎていつか死ぬんじゃないか」


 ジョエル君がいつぞやのわたくしが抱いた感想と同じことを思っています。


「ドウェインは魔力も強いですし、いい加減そろそろ結婚して子を持ってほしいのですけどね」

「あれは無理だろう。あきらめろ。あんなのに嫁ごうと言う女は、少なくとも一族の中にはまずいない」

「……はあ」


 そうですね、毎日毎日毒キノコを食べておかしなことになっているドウェインさんに嫁ぐなんて、よほど肝が座った女性でないと無理だと思いますよ。お家もキノコですからね。少なくともわたくしは外見もキノコ、中にもキノコがわんさか生えているキノコのお家には住みたくありません。しかも生えているのは毒キノコですよ。拷問です。


「それで、王の息子の日記とは?」

「これです」


 ケントさんがダイニングテーブルの上に、糸で綴じられた古びた草紙を置きました。表には特に何も書かれていませんが、裏表紙にはこの日記を記した方のサインらしきものが入っています。

 ケントさんが冊子の中ほどのところを開いて見せてくださいました。ですが、何語でしょう。わたくしには読めません。


「見たところ古語のようだが、俺には読めないな」


 グレアム様も読めないそうです。


「ホークヤード国のこのあたりで、今から数百年前に使われていた言葉だからな。一族にはまだ残っているが、ほかではこの言語を操るものはいないだろう」

「一族でも今では火竜様に祈りをささげる儀式のときにしか使っていませんよ。だから読むのに苦労するんです。……ドウェインは平気な顔をして読みますから、いてほしかったんですが。ええっと、こちらに読み下したものがありますので」


 ケントさんが、草紙とは別にメモを取り出しました。


「日記によると、これを書いた王の息子は火竜様がお眠りになるときに、王とともにおそばにいたそうです。当時の王の指示で祭壇を建てることになったときに、責任者も務めていたようです。日記によると、ドウェインが言っていた通り、祭壇の奥に空洞を作ったとあります。ええっと……『いつか火竜様がお目覚めになる際に、ご寝所としてお使いになるため』とありますね」

「寝所? だが、火竜様は、普段は人の姿で生活していたと聞くが、そんな洞窟の中を寝床にするとか?」

「そのあたりについては書かれていないので何とも……。ただ、火竜様の眠りを妨げないために祭壇の扉には封印を施すとありました。火竜様がお目覚めになる際に、その封印が解かれると」

「すると、祭壇の扉が開いたと言うことは火竜様がお目覚めになった言うことか⁉」


 びっくりした顔で、ジョエル君がガタンと音を立ててダイニングの椅子から立ち上がりました。


「この日記を信じるなら、そうだと思われるのですが……でも、火竜様がお目覚めになれば気配でわかるはずですので、まだお目覚めにはなられていないかと」

「確かにな……。だが、目覚めが近いのかもしれない。それで、巨大な火の魔石については何か書かれていたのか?」

「魔石については何も」

「そうか……。だが、祭壇を調べたほうがよさそうだな。日記にある通り、祭壇の奥の空洞がご寝所で、そこに火竜様がお眠りになっているのならば、もしかしたら、巨大な火の魔石が邪魔をして火竜様が出てこられないのかもしれない」

「その可能性はあるかもしれませんね」


 ケントさんが深く同意しましたが、グレアム様は怪訝そうです。


「火竜ともあろうものが、魔石ごときに蓋をされたから出てこられないとは思えないがな」

「暗くて出口がわからないのかもしれないだろう。どちらにせよ、祭壇を調べたほうがいいことには変わりない。ケント、明日にでも祭壇を解体し、魔石を取り出して奥の空洞を調べるぞ。祭壇を損なうことなく解体できるよう、一族の建築士を呼び出しておけ」

「わかりました」

「俺も同席したいのだがいいか?」


 魔石を取り出すと聞いたグレアム様なら、そうおっしゃると思いましたよ。


「わたくしからもお願いします。同席させてください」


 グレアム様はあの魔石にご執心のようですからね。わたくしも妻として、グレアム様のお望みをかなえて差し上げたいです。


「構わないが……、邪魔はするなよ」


 ジョエル君はそうおっしゃいましたが、大丈夫ですよ。邪魔はしないと思います。ただ……そのあとで魔石が欲しいと、グレアム様に交渉を持ち掛けられる可能性はありますけどね。





お読みいただきありがとうございます!

新連載を開始しましたのでご紹介させてください!

【元魔王の娘が聖女に転生っておかしくないですか?~前世でわたしを殺した勇者の末裔に言い寄られても困ります!~】

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また、12/18に発売予定の本作の書影が出ましたのでご紹介します!

とってもかわいいのでぜひ見てください(*^^*)

※この表紙のアクリルコースターつきの書籍が、書泉様で限定発売されます。


挿絵(By みてみん)


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