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[第五部完結]【書籍化】大魔術師様に嫁ぎまして~形式上の妻ですが、なぜか溺愛されています~  作者: 狭山ひびき
大魔術師様の形式上の妻になりまして

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エイデン国にご招待されました 1

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 王都に出発した三日後には、グレアム様たちが戻ってこられました。

 本当に、あっという間です。クウィスロフト国で一番南にあるクレヴァリー公爵領にまで足を運ばれたということは、クウィスロフト国を南北に横断したということです。それなのに三日。鳥車、すごいです。


 グレアム様の報告によりますと、なんと、この三日の間で、異母姉も無事に内乱の首謀者であるブルーノさんに嫁いだらしいです。……ええっと、普通、貴族の結婚には時間がかかるものなのですけどね。内乱を平定するという意味合いがあるからなのか、結婚までも恐ろしく早いです。


 しかし、異母姉がすんなり獣人さんに嫁いだというのが驚きです。

 異母姉のことですから、嫌がって大変だろうと思ったのですが。


「俺にかかりゃあちょちょいのちょいよ!」


 エイブラム殿下がこのようにおっしゃいましたが、ちょっとよくわかりません。

 グレアム様はその隣で肩を震わせていました。笑っているように見えましたが、いったい何があったのでしょう。


 エイブラム殿下はこのまま一週間ほどコードウェルでゆっくりしていかれるそうです。

 といいますか……もう一つ重要なご用事があったらしいのです。


「言い忘れてた。グレアム、うちの国に遊びに来いって、親父が言ってたぞ。俺が帰るついでに連れてってやるわー」

「そういうことは早く言え‼」


 帰ってきて早々爆弾発言を落としたエイブラム殿下に、グレアム様が怒鳴りました。


 えーっと、話をまとめますとですね……。

 エイブラム殿下がこの調子ですので忘れそうになりますが、エイデン国では、少々きな臭い動きがあります。


 エイデン国は獣人の国で、クウィスロフト国で迫害されていた獣人たちが助けを求めて逃げ込んだ国でもあります。

 そのため、エイデン国に住む獣人たちの中にはクウィスロフト国をよく思っていない獣人も数多くいらっしゃるのです。


 今回、エイブラム殿下がこちらにやってこられたのもそのような背景があります。

 クウィスロフト国で獣人が内乱を起こし、その獣人たちが殺害されたりなんかしたら、エイデン国の中のクウィスロフト国を敵視している獣人たちが騒ぎ出して大変なことになるからです。


 エイデン国の国王陛下は、戦争を避けたい穏便派です。

 ですが、重鎮の中には獣人を害するクウィスロフト国など滅ぼしてしまえという過激派も存在します。

 そんな彼らが暴走しないように、今回の内乱はできるだけ穏便に解決しなければならなかったのでございます。


 そして、クウィスロフト国との友好を見せつけるため、王弟であるグレアム様を招待して、仲良しアピールをするのだそうです。

 王弟であるグレアム様が、内乱を起こして危うく殺されるかもしれなかった獣人たちを救ったという形を取り、エイデン国が感謝してグレアム様を招いたという体を取るのだとか。


 もともとグレアム様はコードウェルで獣人たちに手厚くしておりますから、エイデン国の過激派もグレアム様にはいい心証をお持ちだそうです。

 わたくしとグレアム様の間の子を(まだおりませんし、そもそもそんな未来が訪れるかどうかもわかりませんが!)クウィスロフト国の世継ぎにという流れになっているため、うまくすれば過激派も少しおとなしくなるのではないかという狙いもあります。


 ……ここまではわかりましたが、急ですからね。グレアム様が頭を抱えるのもわかります。


 百歩譲って、唐突なエイブラム殿下の訪問は慣れているからいいとしても、こちらから向かうとなれば話は別です。

 国王陛下のお招きですので、いろいろ手土産も必要ですし、きちんとした格好で赴かなければなりません。


「別に普段着でいいぜ? 俺は気にしないし」


 あっけらかんとエイブラム殿下はおっしゃいますが……さすがに普段着は無理です。

 わたくしたちは、大慌てでエイデン国へ向かう準備を整えることになりました。



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