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[第五部完結]【書籍化】大魔術師様に嫁ぎまして~形式上の妻ですが、なぜか溺愛されています~  作者: 狭山ひびき
竜の巫女と言われても困ります!

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エピローグ

これにて第五話(第五部)完結です!

書籍と比べてWeb版がかなり先行してしまっていることもあり、このあたりで一度休載を挟ませてください。ペース配分を考えず調子に乗ってガンガン投降してしまいまして(;'∀')

どうぞよろしくお願いいたします!


「グレアム様‼」


 バラボア国のお城の前に鳥車が降り立ったのを見て、わたくしは思わず玄関から駆け出してしまいました。

 お城の玄関にはわたくしのほかにガイ様、ファティマさん、サラーフ様と、バラボア国の重鎮の方々がいらっしゃいます。重鎮の方の中には、わたくしをピラミッドの前からお城まで運んでくださった男性の方もいらっしゃいます。この方、大臣さんらしいですよ。

 サラーフ様にグレアム様のことを訊かれたわたくしが、クウィスロフト国の王弟殿下で大魔術師様だと言ったからでしょう。

 皆様大慌てで歓迎の用意をなさっていました。


 ……すみません。こんなに大慌てをさせてしまうとは思わず……。グレアム様のことをきちんとお話しておけばよかったです。


 わたくしが鳥車まで駆けていくと、鷹の姿から人の姿になったロックさんが、ハシバミ色の瞳を細めてにこりとしてくださいます。


「ご無事でなによりでございました奥様」

「ロックさんも、この度はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」

「いえいえ、奥様のせいではありませんから」


 ロックさんは微笑みながら鳥車の扉を開けてくださいます。


「グレアムさ――」

「奥様‼」

「わわわっ」


 ロックさんが扉を開けた途端、グレアム様を押しのけて飛び出してきたメロディにぎゅうっと抱き着かれて、わたくしはたたらを踏みました。


「心配したんですよ奥様! あの魔術具馬鹿のせいでお可哀想に……!」

「……悪かったな、魔術具馬鹿で」


 メロディに容赦なく突き飛ばされたグレアム様が、むっつりと仏頂面で鳥車から降りてきます。

 わたくしにしがみついているメロディをじろりと睨んだ後で、息を吐いて微笑んでくださいました。


「無事でよかった、アレクシア」

「お会いしたかったですグレアム様」


 本当はグレアム様とぎゅうっとしたかったのですが、メロディが放してくれないので苦笑してしまいます。


「それで、今はどういう状況なんだ?」

「あ、はい! 風竜様はお目覚めになられて……あ! その前に、ええっと、メロディ、サラーフ様たちをご紹介したいのでちょっと放してもらってもいいでしょうか?」


 さすがにメロディに抱きしめられたままだとご紹介しにくいですからね。


「バラボア国の国王陛下のサラーフ様です。それからサラーフ様の妹君のファティマさん。お二人には本当に本当にお世話になったのですよ」

「そうか」


 グレアム様は優しく頷いて、サラーフ様に向き直ります。


「グレアム・クロックフィールド・コードウェル・クウィスロフトです。この度は妻が大変お世話になったようで、心より感謝申し上げます」


 グレアム様は、普段は名前の最後にクウィスロフトをつけませんが、外交などで挨拶する際は、クウィスロフトの王族は最後に国名を名乗るのがしきたりなのだそうです。

 クウィスロフト王家の名は水竜様を連想させるので、水竜様の末裔であるということを伝える意味もあるのだとか。

 わたくしはグレアム様の妻ですが、クウィスロフトの名前は名乗りません。公爵家出身ですので、多少なりとも水竜様の血を継いではいるのですが、クウィスロフトの名を名乗れるのは純粋な王家の方だけなのです。


 グレアム様とサラーフ様が握手を交わされて、お互いに挨拶を終えたところで、わたくしとグレアム様はサロンへ向かいます。

 メロディたちは女官の方に案内されて荷物をお部屋に運ぶそうです。

 ファティマさんは通訳としてわたくしたちについてきてくださいます。

 メロディたちが言葉に困るので、メロディたちにはガイ様がついていてくださるそうです。ガイ様はバラボア国の言葉もご堪能ですからね!


「そういえば風竜はどうしたんだ? 挨拶しようと思ったのだが」

「風竜のシュロ様は、まだ起きて来られていませんよ。お昼ご飯まで寝ていると思います」


 寝るのが大好きなシュロ様は、一日の大半を寝ていらっしゃいます。

 ただ、三食食事がしたいと言って、目の前に食事を用意して起こせば起きてくださるのです。


「あ、そういえば後でグレアム様にプレゼントがあるのですよ!」


 シュロ様が見つけてくださった光と土の複属性の魔石は、シュロ様のお口添えもあってわたくしのものになりました。

 ただ、あの巨大な黄金トカゲの魔石は、残念ながらいただくことはできませんでした。サラーフ様は申し訳なさそうな顔をなさっていましたが、やはりあの大きさの魔石は国宝扱いになるそうですので、むやみに人に――しかも、他国の人間に渡すことはできないのだとか。


 ……でもいいんです! 複属性の魔石はいただけましたからね!


 価値で言えば複属性の魔石の方が上です。こちらも国宝級なのです。ただ、シュロ様がわたくしに贈ったものを取り上げてはいけないと、サラーフ様がわざわざ重鎮の皆様を説得してくださったのですよ。


「プレゼント?」

「はい! とってもいいものですよ! あとのお楽しみです」


 ふふ、グレアム様の驚く顔が楽しみですよ!


「それは楽しみだな」


 グレアム様がさりげなく指をからめるようにして手をつないでくださいました。

 グレアム様にぎゅうっと抱き着きたくてうずうずしてきますが、サラーフ様たちとのお話があるので我慢です。


 サロンに到着すると、人数分のお茶が運ばれてきます。

 わたくしは巫女としての役割を無事に終えましたが、グレアム様は王弟殿下ですので、さすがに着てすぐにとんぼ返りとはいきません。おそらくですが数日はこちらに滞在することになると思います。

 バラボア国とはほとんど外交がないからこそ、心象が大事なのですよ! わたくしもコードウェルでマーシアやメロディ、デイヴさんから外交の何たるかを少しずつ学んでいるので、このくらいはわかるのです! 他国とは、変な軋轢を生まないためにも仲良くせねばなりません。


 サラーフ様は、穏やかな表情でシュロ様のお目覚めに関してグレアム様にも丁寧にお礼をおっしゃいます。

 グレアム様も改めてわたくしの滞在についてお礼をおっしゃって、和やかに会話がスタートした――かに思えたときでした。


 サラーフ様がふと真顔になったと思うと、とんでもないことをおっしゃったのです!


『グレアム殿下。来て早々で申し訳ないが、アレクシアをかけて貴殿に決闘を申し込む!』


 わたくしはあんぐりと口を開けて硬直しました。


 ……これは一体どういうことですか⁉






お読みいただきありがとうございます!

ここまでいかがでしたでしょうか?

ブックマークや下の☆☆☆☆☆にて評価いただけると嬉しいですヾ(≧▽≦)ノ

どうぞよろしくお願いいたします!

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