表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[第五部完結]【書籍化】大魔術師様に嫁ぎまして~形式上の妻ですが、なぜか溺愛されています~  作者: 狭山ひびき
竜の巫女と言われても困ります!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

179/181

風竜様起床大作戦! 4

お気に入り登録、評価などありがとうございます!

 シュロ様は数百人分の大量のお食事をすべて平らげられまして、お部屋を移動なさいました。

 サラーフ様は広間をそのままシュロ様のお部屋にしてもかまわないとおっしゃったのですが、シュロ様が別の部屋がいいとおっしゃったのです。

 広間にいては大勢の方がシュロ様のお姿を見ようと押しかけて来られますから落ち着かなかったのでしょう。


 シュロ様のお部屋はわたくしのお部屋同様にとても広くて豪華な貴賓室です。

 ただ、部屋に入るなりベッドに直行したシュロ様にとって、部屋の豪華さはどうでもいいみたいですけどね。


「おい、また寝るのか」

「腹が膨れたからな」


 シュロ様はそう言って枕を抱きしめてベッドにごろんと寝ころびます。


 ……このまま何十年、何百年も寝続けるなんてことはありませんよね?


 心配になってきましたが、ガイ様が真顔で「次起きなければ問答無用で燃やす」と脅していますしたぶん大丈夫……でしょう!


「待ってください風竜様!」


 シュロ様が再び眠りに付こうとすると、ドウェインさんが慌てて待ったをかけました。

 そして、相手が風竜様であろうと関係なしに、肩を掴んでがくがくと揺さぶり起こします。

 それを見ていたファティマさんは青ざめましたが、シュロ様は迷惑そうに眉を寄せただけでした。


「風竜様のご寝所があるピラミッドの中に入る権利を私にください‼ キノコを探すのです‼」

「は?」


 眠そうにしていたシュロ様が、「キノコ」と聞いた瞬間に目をぱちくりとさせました。

 お寝坊さんな風竜様をも驚愕させてたたき起こすことができるドウェインさんっていったい……。むしろさっき、耳元で同じことを言っていたら起きてくださったのではないでしょうか。


「……キノコ?」

「はい」

「あの中で?」

「そうですよ」

「生えているのか?」

「知りません」

「……少なくとも、食べられるキノコは生えていないと思うが」

「一般人が食べられないキノコであろうとも私は構いませんが?」

「……ガイ」

「我は知らん」


 ガイ様は両手で耳を塞いでふいっとそっぽを向きました。

 シュロ様は奇妙なものを見る目でドウェインさんを見て、面倒くさそうに言いました。


「何が楽しいのか知らんが、好きにしろ」


 ああ、完全に投げやりです。


「ありがとうございます‼」


 ドウェインさんはぱあっと顔を輝かせると、その場でくるくる回って喜びを表現しています。

 そして満足するまでくるくる回った後で、猛然と部屋から飛び出して行きます。

 きっと今からすぐにでもピラミッドへ向かうのでしょうね。

 もうお昼も過ぎているのですけどね。

 夜になったら砂漠には魔物が徘徊しはじめるそうですが――いえまあ、ドウェインさんはとても強い魔術師さんなので、魔物も恐れて近づかないと思いますけど。

 心配したところでああなればドウェインさんは止まりませんので、仕方ありません。

 ドウェインさん自作の歌の「キノコキノコ~」という歌声が瞬く間に遠ざかっていきます。


 ……キノコしか歌詞がないのに、いくつかバリエーションがあるのが謎です。使い分けているのでしょうか。


「お前の末裔は変わっているな」

「あれをカウントしないでくれ」


 ガイ様は心底嫌そうです。

 そうですよね。もしわたくしに孫がいて、ドウェインさんのような子でしたら、茫然としてしまいそうですもの。

 シュロ様はすっかり眠気が飛んだのか、むくりと起き上がります。

 ファティマさんが使用人に命じてお飲み物を運ばせました。


 ……ファティマさんはすっかりガイ様にもシュロ様と同じくらいの敬意で接していらっしゃいます。すでにおおよそ見当はついているのでしょうね。


 ガイ様は椅子に座って、シュロ様はベッドの上で、それぞれ運ばれてきたお茶を口にしています。


「それにしても、そなたがここで眠っていたとは知らなかったな。定住せずふらふらしていた気がしたのだが」

「ま、縁があってな。ここなら一番邪魔されずに眠れそうだったし、お前はともかくほかの連中は暑いのが苦手だから来ないだろうと思ったし」

「暑いのがではなく暑すぎるのが、だ」

「同じことだろう」


 シュロ様はお茶を飲み干すと、ベッドから降りて大きく伸びをしました。


「眠気も飛んだことだし、腹ごなしに砂漠を散歩してくるか。付き合うか?」

「気は乗らんが、そなたを一人で行かせると、砂漠のど真ん中だろうが構わず眠りこけそうだからな。仕方ない。アレクシア、そなたはどうする?」

「ご一緒して大丈夫でしたらお供いたします」


 わたくしはガイ様のお世話係ですからね!


 ……決して、ファティマさんの視線が痛くて一人で取り残されたくないなーと思っているわけではございませんよ、ちょっとしか!


「では行くか。アレクシア、自分の周囲に結界を張って日よけしておけよ」


 ガイ様が手を差し出されましたので、わたくしはガイ様と手をつなぎます。

 すると何故か、シュロ様もわたくしに手を差し出してこられました。


 ……ええっと、つないでよろしいのですか?


 わたくしはこうして、右手をガイ様、左手をシュロ様とつないで、砂漠の散策へ出かけることになりました。






ブックマークや下の☆☆☆☆☆にて評価いただけると嬉しいですヾ(≧▽≦)ノ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ