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[第五部完結]【書籍化】大魔術師様に嫁ぎまして~形式上の妻ですが、なぜか溺愛されています~  作者: 狭山ひびき
竜の巫女と言われても困ります!

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バラボア国王との謁見 4

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「ファティマさん、わ、わたくしは普通でいいのですよ……」


 わたくしは、部屋の中に運び込まれる大量の衣装におろおろと視線を彷徨わせました。

 サラーフ様と謁見を終えて部屋に戻るなり、ファティマさんの指示で次々に衣装やアクセサリー、靴などが運び込まれたのです。

 どうやらこれは、今夜の宴会のための衣装とのことでした。


「いいえ、今日は各酋長やその娘たちも参加します。気合を入れなくてはなりません」


 ちょっとよくわかりません!


 酋長さんというのは、それぞれの町で一番偉い方らしいです。どうやらバラボア国では貴族という概念はないみたいですが、酋長さんというのが領主様にあたるみたいですね。


 酋長一族というのは、クウィスロフト国で言う上位貴族のように権力のある方々なのだそうです。

 それはわかりましたが、どうしてわたくしが気合を入れる必要があるのでしょう。


 酋長の方々は、魔物が繁殖のために活発化する毎月の三日間には王都に集まり、会議のようなものが開かれたりするのだとか。

 だから今日の夜、魔物が活発化するまでに王都に皆様集まって来られるそうで、今夜の宴会にも参加なさるとのことです。

 ここ数年、酋長は自分の娘や親戚の娘を王都に連れてくるようになっているのだそうで、ファティマさんはその娘たちに負けてはならないとおっしゃるのですが、いったい何の勝負をしているのかわかりませんよ。


 ……でも、ファティマさんの目は、わたくしのパーティーの支度をするときのメロディの目にそっくりです。これは逆らってはダメなやつだと思います。


 そこに立てと言われたので従いますと、ファティマさんは次々にわたくしの体にカラフルな布を当てていかれます。

 白い布を巻き付けてベルトで止めるのが正装だと思っていたんですが、宴会は宴会で違うみたいです。目が痛くなりそうなほどカラフルで華やかな布なのか服なのかわからないものが大量にありますから。


 ……ゆったりとしたズボンみたいなものもありますね。うん? その布地は面積が非常に少ない気がしますが、下着でしょうか?


 並べられていく衣装に少々不安を覚えてまいりました。


 何故どれもこれも透けているのですか?

 面積が少なすぎやしませんか。

 いったいどんな格好をさせるつもりですか⁉


 もちろん、こんなことは口に出せません。

 わたくしは着せ替え人形に徹するのです。こういう時はただ言われるままにしておくべきなのだと、わたくしはメロディから教わりましたからね。


 ……でも、まだお昼ご飯もまだですよ? 宴会は夜ですのに、今からこれって……まさか夜まで着せ替え人形――いえ、衣装選びですか⁉

 そういえばメロディが、パーティーは女の闘いだと言っていましたね。国が違っても、それは一緒なのでしょうか。


 わたくしは別段戦いたいわけではなく、ただおとなしく過ごしたいだけなのですけど……否が応でも戦いに投じられそうですね、はい。




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