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4.楽しくてにぎやかな夜?

ツリーハウスはクリスマスの時の名残です。

(クリスマスの時に思いついたやつをそのまま使用)←


友達と外にお泊まりとか合宿とかキャンプとか、あるいは家族と旅行って、なんであんなに楽しいんでしょうか。その空気を再現しようとすると終始わちゃわちゃしてしまいます。


(…あれ、ハロウィンひきづってる?)

 ツリーハウスの中に入ると簡易のキッチンとコタツがある。ふかふかのラグが敷かれており、クッションもいくつかあった。


「今夜はお鍋よ〜」

「「ワーイ?」」

「この前の集会で神無月様からコタツを教えていただいたのよ〜!冷える夜にぴったり」

「あの時にそんな情報交換を…!」

「レオン様からキャンプについて聞いたから、コット(簡易ベット的なもの)もあるし、なんちゃってキャンプを楽しみましょう!」

「なぜそんな原始的な…(僕お布団大好き)」

「俺はどこでも。魔法の節約も大切だし」


 そんなこんなで皆んなで楽しく闇鍋して、デザートにサイダーゼリーという名の回復薬で口直ししてから、全員で寝る体制に入る。今回カミラが準備したコットは1人用である。それを3つ並べてみたが、従者2人から文句が出た。


「「これだと誰もいない片側が寒い」」

「あらまぁ。」


 結局、ラグをもう一枚追加した上でコタツ毛布を布団がわりに寝る事になった。火傷が怖いので、熱源は稼働させていない。その代わり、若い炎草を束にして入れておいた。通常の炎草は常時燃えているが、若い炎草はまだ火が育っておらずちょうど40度ほどの暖かさを発する。もはや簡易の防寒具である。火山の周辺に生息しており、採取した時点で状態が固定される為、さらに防腐処理されて街で安値で販売される。カミラは卸店でお買い得品をまとめて買ったので、まだストックが沢山ある。こういった場面でとても便利なお役立ちアイテムだった。


 こたつでダラダラしながら、3人川の字で寝そべる。キースとヒースはより暖かい狼型をとっている。楓もキースの尻尾を掛け布団代わりにして寝た。寝る前にした念話は、カミラお店やれば?という話だった。薬草毒草問わず詳しいカミラは相談を受ける場面も多く、お店を開いたら繁盛間違いなし!と言う事だった。カミラはやるとしたら花屋か観葉植物販売、あるいは漢方も扱う薬局あたりか…と考えた。がしかし、明らかに人手足りないだろうから、やるなら使い魔を増やすのは必須事項だと言うと、従者兼助手の2人からそれは嫌だと言われカミラは笑ってしまった。


 カミラ宅は、現時点で研究室に近い造りになっており、1F客室兼仕事場、2F居室リビング、3F物置と空き部屋となっている。1Fにはサンルームと温室も併設しているのが森林の魔女らしいところだろうか。薬草毒草問わず植物が入り乱れる室内は圧巻である。書籍も多いが、植物が部屋の大半を占める。まさに研究室といった所である。


 日がとっぷり暮れて夜が更け、3人と1匹は月明かりの中で仲良くすっかり眠った。カミラの枕元に置かれた薔薇は月明かりに照らされてキラキラと菫色の優しい光を溢していた。森は寝静まり、夜に活動する魔物の声も遥か遠くの方。薔薇に見守られつつ、3人と1匹は安心してぐっすり眠っていた。


そして、朝。窓の外の太陽の眩しさで目が覚める。まず最初に目が覚めたのはヒースである。

(ボクが1番目覚めいいんだよね〜)

ぱち!

(あ、楓も起きた?おはよう〜)

(カァァァ〜)

カミラに配慮し、念話での会話である。

(一緒に朝ごはん作ろうか。楓も手伝ってくれる?)

(カァァ、カァァ!)

ヒースは任せろ!とアピールする楓を連れてキッチンに移動した。


「実は、お家から色々持ってきたんだけど、パンケーキ食べる?」

「カァァァ(ぱぁぁぁ)」

「よし、つくろう」

眼をキラキラさせた楓に、パンケーキを作る事を決めたヒースはパンケーキの素を迅速に魔法で作り、フライパンに垂らして加熱する。


ジュウウウゥ…


 どんどん加熱されてぷつぷつ穴が空いてきたらひっくり返す合図、とヒースも楓もフライパンを凝視する。1番美味しいタイミングで食べたいからである。やはり上手く焼きたい。


(よし、今だ!)

「クルラァァ!」

「エ?」

ヒースが見極めたその瞬間、楓が一鳴きし、楓の足が緑色のほのかな光を纏う。楓が何かしようとしている。


…パァァァ!

くるんっ!


楓が足にまとった光がフライパンに作用し、一際強く光ると片面焼かれたパンケーキが綺麗にひっくり返された。


「「「おおおぉぉ〜!!!」」」

「カァ?」


 すると、歓声が上がる。楓は首を傾げている。そう、歓声は3つ。いつの間にやらヒースだけでなく、キースとカミラも起きて後ろから2人の様子を眺めていたようだ。


「起きてたなら、声かけてよ〜」

「カァァァ!!!」

「うふふ。2人が真剣だったから、つい?」

「楓、お前すごいな!!!」

「カー!」


 楓は嬉しそうに瞳をキラキラさせつつ、フライパンの状況をしっかり把握して、相槌を打ちつつ丁度焼けたパンケーキをお皿に移した。楓は優秀な、魔法が得意な白カラスであった。


 全員のパンケーキを楓がひっくり返し焼けたらお皿に移していく。その間にヒースがパンケーキ皿にカミラ用の葉ものとトマト、楓にはナッツと木の実、自分達用の生ハムと骨つき肉を添えた。実を言うと楓は雑食なので割とキースやヒースからお裾分けをもらったりしている。昨日も使ったコタツにお皿を並べて仲良くモーニングを楽しんだ。


「まぁ、美味しい!」

「美味いな、もぐもぐ」

「良かった〜!あ、ほんとだ。ウマっ!」

「カァカァァ」

パンケーキはあっという間に消えた。


「さて、そろそろ向かいましょうか!」

カミラが支度を整えて、ツリーハウスを仕舞う。空間収納という、便利な魔法である。カミラは木属性の魔法が得意で親和性も高い為、大物の木製家具の収納が得意だった。ツリーハウスはもはや家だが。収納する様子を見つつ、キースもヒースもそれが羨ましいなーと思っていた。


 立つ鳥跡を濁さず、村へ向かう一行。

村にたどり着くのはまだかかりそうである。

闇鍋のくだりは長くなりそうだった為カットしましたが、勝者は意外にも悪食な魔女カミラでした。


毒もなんのその、ゲテモノも難なくクリアしました。

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