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桜の丘のランチタイムと謎

間が空いてしまいましたがそろそろ夏が来てしまう!急ぎます!

 今日も元気に色んなものを売りまくった面々は、昼過ぎには既にぐったりだった。

「喉乾いた〜」

「お腹すいた」

「休憩しないと心がやられそう」

「めっちゃ売れる、もういい」

ヒースとキースがつぶやくと、アサメとヨイも2人に続ける。

「まぁまぁ、休憩をご所望かしら」

 カミラは全員の様子を見た後、早めに区切って午後の体力を補給した後にまた夜売るか迷っていた。

 青空市を一日くらい夜市に変えたところで村人から文句は出るまい。広場で朝からスタートする以外は特に時間指定もなく自由である。


 皆で休憩について相談しているとお昼で客が引いたのを見計らって、近くのパン屋から女性が出てきた。

「皆さん、おつかれ様です。これどうぞ!

差し入れです。私も昨日買った革のバレッタがとても気に入ったのでお礼です」

「まぁ、良いのかしら!ありがとうございます。気に入っていただけてよかったです」

「私はすぐそこのパン屋のアマリリスと申します。リリーと呼んでください。」

 パンを籠に入れて差し入れてくれたリリーがほかほかで良い香りの出来立てパンを渡してくれる。

「「リリーさん、ありがとう」」

「ありがたい」

「すごく美味しそうなパンですね!」

「ウレシイ」

全員目をキラキラさせて感謝した。


「私たちも今度パンを買いに行きますね」

「えぇ、是非いらしてください」

 そう言うと、リリーはお店に戻って行った。リリーが後ろを向くと髪を革のバレッタで留めており、とてもよく似合っていた。

「使ってくれているのね、良かった!」

「キレイ」

 楓もバレッタをじーっと見つめる。


「ハイ、休憩にしよう!!!」

「丘の、桜がキレイなとこが良い」

 ヒースとキースは別の場所でのんびりしたいようだ。確かに気持ちの切り替えは大切である。

「みんな、少し待ってね」

 カミラは絨毯を敷いていた場所に、昼休憩のち、17時から19時まで再び販売する旨を書いて、立て看板を置いておく。

「じゃあ、行きましょうか」

「途中でトマトジュースも買おう」

 ヨイがすかさずカミラに頼む。一行は笑って話しながら場所を移動した。


***


 広場から15分ほど歩いて、桜の咲く丘にたどり着いた面々は緑とピンクと水色のコントラストに感動していた。

「何ここ、めっちゃ綺麗ー!!!」

「これは凄いな、ここだけ別世界だ」

「桜の群生なんてなかなか見ないですね」

「…」

楓は浮かれてくるくる飛んでいる。

「「ここ、家と空気が似てる…?」」

「そうね、ちょっと似てるかも」

 鼻をひくつかせながら周囲の確認をするヒースとキースは、無意識に動きがシンクロしている。

「さぁ、お昼だ!」

「早速あの飴を…」

 そして、吸血鬼コンビは桜の木の下に一直線で向かって行った。今日は天気が良いので少しでも影になっているところに行きたいようだ。

 適当な場所を決めると、2人は手持ちのカバンから簡易の机と椅子を出した。そして、飴の入った瓶を取り出す。ついでに合わせ飴も出して口に両方入れた。カラコロと舐めた後すぐにガリリ!と噛んで食べてしまう。


「「よし、お昼食べよう!!!」」

アサメとヨイが椅子に座り、カミラとキース・ヒース、楓を急かした。

カミラが机の真ん中にパンを置くとみんなで食べ始める。

「「「「「いただきまーす」」」」」

サクッ!!!フワフワ…

((ナニコレ、旨すぎる!!!))

全員の口元から軽快な音が出た。

 美味しさに気づいた後、疲れていたからか全員黙々と食べ進める。たまに飲み物を飲みつつ、カゴに沢山あったパンをどんどんサクサク食べ進めて行った。

「「美味し過ぎる」」

 無心で食べる事数十分、かごいっぱいのパンはあっという間に無くなったが、たまにひらひら舞い落ちる桜を眺めつつそのまま食後のティータイムに突入した。


「信じられないくらい美味しかった」

「疲れた身体に染みるわ〜」

「「口が幸せだった」」

「ゔま!」

 口々に感想を述べつつ、飲み物をごくごく飲む。ともあれ、パン屋さんのパンは美味しく頂いた。これを機にアサメとヨイはパンの味と食感のトリコになったようである。

 フランスパン、ミルクパン、あんパン、チョココロネ、ソーセージパン、クロワッサン…どれも出来立てで美味しい。生ハム、ジャムとバターが近くに添えてあり、パンにのせて食べても美味しかった。

 しかも、クロワッサンは塩バターの味がして、疲れた身体にしみわたる。ちなみにこの絶品クロワッサンを選んだのはキースである。

 実を言うとこの双子、兄のキースは塩党で弟のヒースは甘党である。ちなみに辛いものは食べられるが2人ともあまり好きでは無い。逆に肉は大好きである。もっと言うとそれとは別枠で、ドーナツが大好物である。という訳で、あんパンはヒースが美味しく食べた。楓は2人から分けてもらっている。

 ヨイとアサメはひたすらにもぐもぐしているが、そばにいるコウモリのニアには自分達の血をわけてやっていた。ニアの生態については謎である。


 カミラ一行がランチを楽しんでいると、向こうから騒ぎが聞こえてきた。どうやら近くの集団が何かトラブルを起こしたようだ。

「おい、大丈夫か!しっかりしろ!!」

「ぐぅ!」

「ちょ、誰か!長老呼んできてくれ!!」

「どうしましたか?」

 男性が1人倒れており、周囲にいる仲間の1人が声をかけているが苦しそうにしており返事をしない。

「ちょっと失礼します」

「ハ…?」

カミラが急いで駆け寄り、苦しんでいる男の様子を見る。そして手をかざすと呪文を唱えた。

「回復樹の雫」

ぷわん!

「ウゥぅ…」

「カミラ、ダメだ効いてない」

「ちょっと様子が変だよ。腕を気にしてる」

「メクッタ、ペロン」

 楓が裾をくわえて捲るとそこには、大きな傷があった。まるで何か爪の鋭いものに傷つけられたような痛々しい切り傷が3本、走っていた。

「まぁ、これは!」

「魔物に襲われてる?」


 カミラ達が傷に驚いていると、苦しむ男性の仲間たちがこんな事を言った。

「コイツの奥さんが今年変死してて、その時おそらくこいつも襲われたんだ。」

「傷が何をしても全然治らなくて、自然治癒を待つしか無いらしい。時間も結構経つのにまだ生々しい感じで。満月に近づくと具合が悪くなるから…きっと今のも古傷が痛んでるんだ。痛みの発作がたまにあるって。」

仲間達は話しながらも苦しそうな友人を心配した顔持ちで見つめる。

「ひとまず、魔祓い入りの塗り薬で…」

「「強化魔法 桃の囁き」」

 カミラが塗り薬を取り出すと同時に、キースとヒースがバフの補助魔法を唱える。

 ほのかにピンク色に光った塗り薬を厚めに男性の腕に塗っていき、包帯を巻いた。

すると、男性のうめき声が止まり、すうすうと寝始めた。どうやら効いたようだ。

「凄い!貴方たちは一体…」

「ときに旅する行商人、本職は薬学もかじっている植物学者のカミラです。連れは従者と友人です。たまたま通りがかったのですが、偶然にも効く薬を持っていてよかった。」

 カミラは一応、魔女である事は伏せて簡単に説明する。ちなみに青空市についても、行商人が開催、という事にしている。いらぬトラブルを避けるためである。

 この村は魔物が住む森に囲まれた立地のため、外部からこの村に来る人はそれなりに自衛できる人に限られる。魔法や薬などを沢山持っていても特に違和感はない。

「本当にありがとう!こんなに穏やかな表情は久々に見た。」


 感謝する村人を尻目に、カミラ達は爪痕を見て考えていた。果たしてこれは、人狼の爪痕なのか?と。また、もう一つ疑問は残る。なぜこの人だけ助かったのか?という事だ。

 ともあれ謎は残るが、一つ収穫である。

お付き合いいただき、ありがとうございます!

なかなか本題に入らず、ですがもう少しです!

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