緑川桜子様へ
緑川桜子様へ
控訴せずに判決を受け入れるそうですね。懲役九年という長い収監になります。被害者の方へのお詫びの気持ちを常に持ち、体に気を付けて罪を償って下さい。
先日拘置所でお会いした時は、あなたは真っ青な顔をして今にも倒れてしまいそうでしたが、面会終了間近では笑顔を見せて「湊の焼き鳥丼が食べたい」などと言い出したので安心しました。償いが終わったらまた作ってあげますし、作り方も教えます。あなたが帰ってくるまで湊の暖簾は守ります。佐々木君は大学を卒業し、バイトはやめてしまいましたが、お客さんとして店に来てくれています。
あなたの事で思い出すのは、やはりバイクの二人乗りで靖国通りを駆け抜けたことでしょうか。本当は大人として大いに反省せねばならないのですが、年甲斐もなく痛快に思ったことは事実です。
あなたにお願いがあります。
これからあなたは自らの罪に向き合い、閉ざされた環境の中で贖罪することになります。
あなたの償いを私と分け合って頂けないでしょうか?家族として一緒に罪を償いたいのです。
緑川桜子様 私と結婚して下さい。
居酒屋湊 店主 湊 源治郎
参考文献
田中伸尚『飾らず、偽らず、欺かず』岩波書店
関川 夏央 谷口 ジロー『「坊っちゃん」の時代 第四部』双葉社
清水卯之助『管野須賀子の生涯』和泉選書
関口すみ子『管野スガ再考』白澤社
瀬戸内晴美『遠い声』岩波現代文庫
石山幸弘『櫛の十字架―大逆事件の渦 新村忠雄と阿部米太郎』かもがわ出版
神崎清『革命伝説 大逆事件一~四』子どもの未来社
佐木隆三『小説 大逆事件』文春文庫
荒畑寒村『寒村自伝上下』岩波文庫
黒岩 比佐子『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』講談社
池内了 小寺隆幸編『兵器と大学』岩波ブックレット




