転生失敗
「突然ですがあなたは死にました」
俺はこんな言葉と共に目を覚ます。
あたりは一面真っ白で輝き、そこにはとても綺麗な女性。
いや、女神というべきか。
それほど美しい女性が俺に声をかけてくる...
はずだった。
俺はラノベでよく語られる異世界転生に憧れた結果若くして死ねば異世界に行けるのでは?と言う天才的なアイデアを考え出しファンタジーな異世界で無双するために自殺をした。
どうせこのまま生きていたって何も楽しいことが起こらないのはわかっていた。
ならこんなクソゲームとっととリタイヤし異世界でハーレムパーティ築いてやる。夢の異世界生活が待ってるぜ!....
...にしてもおかしいな...俺の予想だと気付けば神聖な場所にいて前には女神がいると思っていた。
辺りを見れば一面闇の中。すこし先も愚か自分の足先すら見ることができない。ってか本当に死ねたのか?そもそもここはどこなんだ?
ここに来てからなんの変化も起きず不安が募り始めたが、
「コト...コト...」
不意に音のした方を向く。誰かがこちらに近づいてくる音が聞こえる。神様か!?俺に異世界転生のチート能力を与えるために来てくれたのか!?
しかし想像していた神様のイメージが次の瞬間には呆気なくへし折られることとなる。
闇の奥から出てきたのはスーツを着こなした男のような生き物が出てきた。普通神様がスーツを着るのか?てっきり白い布を巻いただけの仙人みないなのを想像してたわ。
「ようこそ。死後の世界へ。」
「!...今確かに死後の世界って言ったよな!本当に俺は死ねたのか?」
「えぇ貴様は確かに亡くなりましたよ」
「それなら早く異世界に転生させてくれ!もちろんチート能力付きでな!」
やったぁ!これで本当に異世界に行ける!
どんなチート能力がつくのか楽しみだ!
「貴様はいつから死んだら無条件で転生できると勘違いしている」
「またまたぁ〜、あんた神さんだろ?そんな冗談はいいから早く転生してくれよ〜」
「何を抜かすか。私は神ではない。もう一度言うが転生など無条件でできると思うな」
.....ん?今この男なんつった?
「え...?今なんとおっしゃったのかわからないのですが...」
「だから転生など無条件でできるわけないだろ。何度言わせるんだ」
「いやいやその前。あんた神様じゃないの?あんた誰」
「あぁ、申し遅れた。私は地獄の公爵、悪魔である」
「あ、悪魔...悪魔がなんでこんなところないんだよ!」
「何故こんな事になってるか自分で考えるが良い」
か、考えるつったって...何がいけないんだよ。
「おや?その顔は理解してないようだな。ちょうどういい。自分で考えろと言ったばっかりだがお前に罪の重さを教えてやる」
「罪?何を言ってるんだ?俺は何も犯罪なんか犯してねえぞ!」
「貴様はまず何故ここへ来た!我は知っている!下らない理由で自殺しただろ!自殺はどれだけ罪が重いかわかってるのか!?」
「何言ってるんだよあんた。大袈裟だな。誰にも迷惑かけてないんだしいいじゃねえか」
「貴様...もう少し自分の命を大切にしたらどうだ!世の中にはな、生きたくても生きることができない人が山ほどいるんだ。そいつらの願っても叶う事のない願いをお前はいとも簡単に踏み捻ったんだぞ」
悪魔はクールな顔が赤くなるまで必死に言葉をかけてくる。何言ってるんだよ悪魔のくせに。
「まぁまぁ大袈裟だな、それに悪魔が何人の命について熱く語っちゃってるの?悪魔のくせに」
「言わせてもらうがな、俺たち悪魔からすれば貴様ら人間の方がよっぽど醜く愚かで悪魔的だ。俺たち悪魔はお互いを殺し合わない。それなのに貴様らはどうだ。下らない理由で戦争を始め、お互いを殺し合いしまいには罪のない人々まで巻き込んで!お前たちの方がよっぽど悪魔だ。もういい自分の罪の重さを理解できないようなら地獄で嫌と言うほど味合わせてやる」
悪魔は指をパチンと音を立てて弾く。
瞬く間に「ガコッ」と言う音が聞こえると同時に俺は真っ逆さまにどこかえ落ちて行った。
「全く、下らない理由で死にやがって...どうして人間はああも醜いのだ」
汝よ地獄で罪の重さを理解してくるがよい。
やがて地獄では絶えることのない悲鳴が鳴り響いた。
誤字脱字すみません。