表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霹靂の魔法使い  作者: ピポット
第1章〜湖上の幽霊〜
1/3

第一話~終戦~

はじめまして。又はお久しぶりです。

プラヴレの連載をやめ、プラヴレの要素を吸収した新しい物語として連載させることにしました。

今後ともよろしくお願いします。

 紅く輝きを放つ満月が静かな闇夜を照らしている。街の灯りは消えて、出歩く者も見当たらない。何もない。平凡な夜が過ぎていく。


 ウィイイイイイイイン!!!!


 大陸から少し離れた絶海の孤島にサイレンの音が鳴り響く。


『侵入者だ!総員、直ちに向へ!!』


 ダッダッダッダッダッダッ!!!!


 看守たちの無線から緊急のアラームが鳴りだす。突然の出来事に、混乱する獄内。兵士は武器を取り、狭く暗い通路を走り回る。

 ここは、国際最高議会『()()()()』が管理する監獄島、アルカトス島。そこには、多くの凶悪な囚人達が収容されている。国家レベルの犯罪者の脱獄を一切許さないこの島は、世界一と言っても過言ではない。

 侵入者の発生など前代未聞であった。


「オイッ!!これはどういう状況だ!!」


 中央管理室の扉を蹴り開け声を荒げるのは、ここ、アルカトスの署長、ミラー・ハーデモンだ。ミラーは10年近くここの署長を務めてきたが、このような予想外の事態に非常に焦っていた。部下から貰った情報を整理する。


「現状、脱獄者はなし…侵入者の目的は一体何だ!!」

「ハーデモン署長、こちらの監視カメラに侵入者の姿を捉えました!この黒いフードを被った仮面の男です!!」

「ーーッ!?」


 ハーデモンは画面を見て、自分の目を疑った。そんなはずはないと思っていても、それが何よりも証拠だ。自分で行って確かめるしかないと思った。




 一方、騒ぎに敏感な囚人たちは、檻を掴んで外の様子に騒ぎ出していた。


「何が起こった!」

「脱獄か!?」

「今度はどこのどいつがバカしようってんだ?」


 あちこちの檻から笑い声や怒号が聞こえる。久しぶりのイベントに囚人達も盛り上っていた。

 この島の監獄は、囚人の危険度によって収容されるエリアが異なる、中でもEXと呼ばれるエリアはXランク指定されていた指名手配班や、国家転覆罪など重要国罪を課された者が収容されていた。


「始まったな」


 痩せた男が外に向かって呟いた。すると、反対側にある巨大な檻の中から、笑い声が響いてきた。


「ガハハハ!!!!ああ、始まるぞ!世界の運命を変える戦いが!!!!」




 管理室で見た映像を確かめに、ミラーは一人、EXエリアへと向かっていた。


「(クソッ!!奴は死んだと聞いてた。記録にも残っていたはず。なのに!何故、生きている!奴が本物なら、いや、ここに侵入できた時点で本物だろう。この要塞に入り込める人間などそういない。狙いは恐らく()()()()!!)」


 ドゴォーーーン!!!!ドドドド!!!!


 突然、巨大な衝撃音が響き、直後に地震が襲う。足元が揺らめくも、持ち直し、先を急ぐ。ミラーが着くと、時すでに遅し、EX級の囚人が数人解放された後だった。

 そしてミラーの前に黒いフードを被った画面の男が現れた。


「よぉ、久しぶりだなミラー・ハーデモン。俺の正体を知る者達にはこう言っておけ、侵入者はZだとな」


 そう言うと、男は透明なキューブに閉じ込められ、それと共に消えていった。



 ***



 ここはこの世の果てとも言われる『無限荒野(エンドレスタウン)』。地図も方位磁針も全く役に立たない未開の地だ。

 人の踏み入れることを拒むこの地に、一つの人影がゆらゆらと彷徨っていた。


「ゼロ〜、この道で合ってると思うか?」


 額の汗を拭いながら、頭上の何かに向かって問いかける。


「知るか。道標の無い道を歩くんだ。それにここは磁気も乱れている、奇跡を願うしかないだろうな」


 ゼロと呼ばれたそれは、子竜の形をしていた。白、赤、青、緑、黄色、紫の鱗を纏うその竜は、とてもこの世のモノとは思えない美しさだ。


「太陽が一つだったら方角も分かるってのによぉ〜。エンドレスタウン、舐めてたぜ」


 無限荒野(エンドレスタウン)はその名の通り、荒野が無限に続いている。さらにこの一帯はどういうわけか太陽が四つも存在し、沈むことはない。

 それゆえ、荒野には方向が存在しないのだ。


「チッ、千里薬でも持ってくるんだったな。アレがあれば索敵範囲が広がったのに...」


「アレは貴重なモノだ。そう易々と手に入るような品じゃないさ。あの時はたまたまだったのさ。」


 愚痴を吐きながら果てなき荒野を彷徨い続ける。しかし、どれだけ歩こうとも景色が変わることはなかった。

 と、そろそろ精神的にも疲弊し、休憩を取ろうと立ち止まった時だった。突然何も無かったはずの荒野に、巨大な積乱雲が発生したのだ。


 ゴロゴロ


 空は一面灰色に染まり、暴風に落雷と、嵐が起こったのだ。吹き荒れる風に飛ばされないよう踏ん張る男は、その雲の中心ただ一点を見つめて、声を出して笑った。


「フフフハハハハハハッ!!!まさか本当にここに居たとはなぁ!!天災(カタストロフ級)(・ドラゴン)!!!!さぁ、最終決戦と行こうか」

読んでいただきありがとうございます。

ブックマーク、又はポイント評価をいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ