シルファエピデン1章
ニーナはその人影に近付いて行った。
その人影は振り向いた。ちゃんと顔もある。中性的な男の子風だ。
「貴方は誰?」「僕はロビー、シルファエピデンで暮らしているよ。」
「何時から居るの?ずっと一人で居るの?」「何時から居るかは解らない。でも、精霊が沢山居るから寂しくないよ。」
「精霊とずっと居るんだね。でも、人間の友達も居た方が良いよ。私、暫くこの森…シルファエピデンに居るから、友達に成ろうよ。ここに居るのはキューちゃん、キューちゃんも一緒に友達やってくれるよね?」「そうか、人間、そして犬の友達かー。」ロビーは微笑んだ。
「私、シルファーエピデンの精霊達に水をあげて回らないといけないの。それが終わったら一緒に遊ぼうよ。」「この木の下で待ってれば良いかい?」「うん、じゃーまたね。」ニーナはキューと小走りで精霊の水やりをしに行った。
「ただいまー、ロビー居る?」ニーナとキューは急いで走って来て、例の木の少し遠くから叫んだ。「ちゃんと居るよ。」ロビーはさっき会った所と全く同じ所に居た。同じ写真を見ているみたいだ。
何して遊ぶ?「うーん、森の中じゃやることが少ないからなー。」
ロビーは少し考え「そうだ、折角森に来たんだから森でしか出来ない事をしよう。草笛何かどうかな。」
ロビーはおもむろに近くに有った草を千切り採ると「プー、プー、ププププーー」と綺麗な音を奏でた。
「凄ーい、もっと吹いてよ」「しょうが無いな」ロビーは楽しそうに笑いながら言った「プー、プププー、プープーー」「あはは、凄い、私にもやらせてよ。」
ロビーは少し地面を探し回り「えーっと、この草だ。」草を千切り採り、ニーナに渡した。ロビー「一緒に吹こうか」息を吸うと共に、心の中でせーのと言った「プー、プー、ププププーー」「ワォーーーン」キューも同調して遠吠えした。綺麗なハーモニーだ。「あはははは」二人は一緒に笑った。キューもあははとは言えないが何となく微笑んでいる。
「今度は私の番よ。私も麓育ちだから、色んな遊びを知ってるんだから。」
「何をするの?」
「んー、ちょっと後ろ向いて待ってて。」
ロビーは素直に後ろを向いた。ニーナはガサゴソと何か作って居るようだ。ロビー「長いよ、まだー?」「出来た。ロビー、こっち見て良いよ。」ロビーが振り返る。「わあー、凄い。」ニーナは白い花の付いた、草の冠を作って見せた。「ほら、これ被りなよ」「それはちょっと恥ずかしいよ」「まーまーそう言わずに」ニーナは半ば強引にロビーに冠を被らせた。「はは、有り難うね。」ロビーはやはり、可愛い花の付いた冠等恥ずかしかったが素直に感謝した。次はキューも。キューはその強面とも言える迫力の有る顔ながら、真顔で被って見せた。ニーナ「似合わないねー」奨めたのはニーナじゃないかとキューは思った。そんなこんなでそのあとも、二人は鬼ごっこをしたりして1日を遊び尽くした。修行の事等今は忘れてしまった。




