最終話(8話)〜ついに異世界探索に出発してみた!!〜
この研究所は元々、私が産まれるよりも前に生きていたキャビロン・アドハートという人が研究報告として提出したレポート、「世界の成り立ち」を元に異次元や異世界などの研究をするだけの施設でしかなかった。
だが、転移装置の一次試験で起こったトラブルを元に改良をした結果、デメリットの縮小が可能と結論を出した。
しかし、本拠地は一次試験で使えなくなっていたためこの支部に新型試作一号を作り今に至る、というわけだった。
私が参加するのはこの試作一号を使った、第三回異世界探索だった。
行く前に第一回、第二回の資料を見つけ、予習でもしようかと思ったがほとんど見つからなかった。
唯一見つかった物と言えば、地下の物置きスペースに「好きな武器持っていっていいよー」とルリに言われて来た時に見つけた第一回で使ったっぽい真っ赤な槍くらい。
でもこの槍は普通の槍とは違い、何かとても嫌な気的な気配がしたので見なかった事にした。
と、まぁ資料を探していたら、いつの間にか当日を迎えてしまった。
「準備はいいか!」
私は軽装備をして、一人一人違った装備をしたみんなとまた中央の広めの場所に集合していた。
「紹介が遅れたけど、僕、山口孝太郎は施設長でもありなおかつ、この研究室の研究長でもある。まぁイコールで、この支部の最高責任者だよ。これからもよろしく、刃矢ちゃん。あっ、でも僕異世界探索には行けないのでそこんところよろしく」
出発前に急に研究長が自己紹介をしてくれた。
彼は満足した顔で腰に手を当てていた。
“腰でも痛いのかな?”
「よろしくお願いします。研究長」
「いいねぇ。そうこなくっちゃ」
研究長のテンションが上がったところで、機械が動き始めた。
部屋中に〈ウゥー〉という機械音が鳴り響く。
すると突起しているリング型の機械の一部に水銀の膜のようなものが張られ、立て鏡のようになっていた。
「じゃっ、いつものよろしく!」
研究長が男性に話を振った。
すると彼は私達の前に出てきた。
「我々は、このゲートを再びくぐった時点で第三回異世界探索の開始とする。そして一人一人、個々で活動しないで最低でも二人一組として活動すること。ピンチに陥った場合、他人よりも自分の命を優先して守れ。進入順は、カルダ、青葉、神内、俺、伊藤の順とする。以上だ」
彼の言葉を聞いたカルダは「よっしゃあ」と言ってゲートの中に入っていった。
それに続く様にルリ、龍君が入っていった。すると...
「伊藤!」
男性が、入る前に私の名前を呼んだ。
「は、はぅい!」
びっくりして、変な声が出てしまった。
でも彼は構わず話をした。
「俺はこのパーティーの隊長、オスカー・アー・ノルドだ。俺の指示には必ずしたがってもらうからな」
そう言い残すと彼もゲートに入っていった。
初めて彼の名前を聞いた。
会ってから長い間知らなかった為か、その名前にしっくりとこなかった。
私はそっと後ろを振り向くと親戚としての研究長が手を振っていた。
それに手を振って返し、私は前を向く。
“この先にはどんな世界が広がっているんだろう”
そこに理想の世界が広がっているとは限らない。
けど、そのまだ知らぬ未知の世界に興味を持たずにはいられなくなっていた。
私は一歩踏み出す。
その世界に行く為に。
私はゲートをくぐった。
こんにちは深沼バルキです。
シリーズ1完結しました!
とても嬉しいです。
でも、これからですよねぇ...本編...。
まぁ心機一転また頑張ります!
ここまで読んでくださりありがとうございます。