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悪役令嬢は令息になりました。  作者: fuluri
プロローグ
9/66

ハイルは優秀でした。

とりあえず、混乱は収まったので私にハグを拒否されて泣きそうなハイルを抱きしめる。

そうしたらぎゅーぎゅーと痛いくらいに力を込めてきた。

それを微笑ましく思っていると、固まっていたお兄様が遠慮がちに声をかけてきた。


「……リュート、さっきからずっと気になってはいたんだけど、この子は……」


「あ、お兄さまにはまだ紹介してませんでしたね。この子は僕の契約精霊で、名前はハイルといいます。お兄さまを助けてくれたのはこの子ですよ」


やっぱり精霊か、と呟き、お兄様はハイルの方に向き直る。

そして、視線を合わせるためにしゃがんでからハイルに挨拶をした。


「ハイル様、僕のことを助けてくれてありがとうございました」


『ああ、セイラートか。ティカが望んだから僕はセイラートを助けたんだ。お礼ならティカに言ってよ。……まあでもティカの大好きな兄だからね、僕のこと呼び捨てにしていいよ。気安く接してくれてもかまわないし。クラハもね』


「そうですか……。じゃあ、そうさせてもらうよ」


「……わたくしはハイル様のことはリュート様と同等の扱いをさせていただきます。リュート様と対等に契約なされたハイル様を呼び捨てなど、出来ませんので」


ハイルの言葉にお兄様は少し考えてから素直に頷き、クラハは少し困ったように苦笑しながら辞退した。

……うん、まあクラハがタメ口で話すところが想像できないし、いいんじゃないかな。


『まあそれでいいよ。それで、僕に何か聞きたいことがあるなら聞くけど?』


うんうん、私もさっきの二人の反応の意味が知りたい。

そう思って二人を見上げ、ハイルと共にじーっと見つめると、観念したようにお兄様が口を開いた。


「……なら、聞くけど……ハイル。君はさっき大きさを変えたよね?それは、少なくとも中位以上の……それも高位に近いような精霊でなければ出来ないと本に書いてあったのだけれど、君は中位精霊なの?それとも……高位精霊なの?」


あ、昨日クラハに教えてもらったやつだ。

大きさを変えるのは結構難しい技だけど、それだけなら中位の精霊でもできる。

でも、姿を変えるのはもっと難しいらしく、こちらは高位精霊しか出来ないらしい。


『あれ、言ってなかったっけ?僕は高位精霊だよ。……見せた方が早いかな。ほら』


ハイルの体がまた発光して白猫の姿になり、私の足元にすり寄ってくる。

それを見ながら、ハイルっていちいち発光するよね……と思ったけど、よく考えると光の精霊なんだから当たり前だった。

……いや、そんなこと今はどうでもいいでしょ私!

それより、高位精霊ってクラハの説明ではめちゃめちゃ稀少なんじゃなかった?!


「やっぱり高位精霊か……。さっきの二人の会話からすると、僕の体にあったのは呪いだったんでしょう?本で見た情報通りなら、いくら光の精霊であっても呪いを解くだけならともかく、ここまで回復させるなんて中位以下じゃ不可能だからね。薄々そうじゃないかとは思っていたけど……」


まさか本当に高位精霊だとはね、とお兄様は呟く。

……普通は高位精霊には一生に一度会えるかどうかってくらい稀少だってクラハが言ってたのに!

まさかこんな人生の序盤で会えちゃうなんて……。

……あ、でも待てよ?

ゲームのリュート様も確か光の精霊を連れてたような……。

あ、もしかしてそれがハイルなのかな?


『そうだね、あそこまで弱ってたセイラートの呪いを解くのも、体をここまで回復させるのも、高位でなければ難しいと思うよ』


……高位じゃなきゃ使えないような魔法まで使ってお兄様を助けてくれたのか。

なんて良い子なんだろうか。

よしよしと白猫の姿のままのハイルの頭を撫でると、手に頭を擦り付けてきた。かわいい。

……ん、でもそうなるとゲームのリュート様は呪いを解いてお兄様を助けられなかったんだから、連れてたのは高位精霊じゃなかったのかな。


「ハイル、高位精霊は珍しい存在なんだってクラハから聞いたんだけど、そうなの?」


『まあ高位精霊は数もそんなにいないし、姿を変えて完璧に周りの精霊たちに馴染んでるからね。人間が見つけるのは至難の技だろうけど、人間が思ってるよりも身近にいるよ。まあでも契約はよっぽどその人間を気に入った時しか結ばないけどね』


ああ、なるほど。

普段の高位精霊は中位や低位の精霊に擬態してるのか。

高位精霊の絶対数が少ないのは変わらないみたいだけど、それでも一生に一度会えるかどうか、ってほどいないわけじゃないってことかな。

それにしても、ゲームのリュート様も光の精霊と契約してて、私もそうなんだとしたら、『リューティカ』は光の精霊に好かれる体質なのかな?


「そっか、じゃあ隠れてる高位精霊を探してみるのも面白いかもね」


『そうだね、ティカは僕と契約したから精霊を視ることが出来るし、やってみると良いよ。僕も協力する!』


発光してぽんっと元の小さい姿に戻ったハイルが楽しそうに同意してくれる。

その姿を見て、私はゲームでヒロインが精霊と戯れるシーンを思い出した。

……あーそういえば、ヒロインも精霊と契約してたよね。

でもあれは私にとってゲームの中のことだったし、ハイルと契約したときは私も必死だったし、契約の仕方とか知ってたはずなのにすっかり忘れてたよ。

……ヒロインの時は確か、闇の高位精霊との契約だったよね。

掲示板にヒロインには闇で悪役には光を持ってくるとはどういうことだ、普通逆だろう、なんて書き込みもあったなあ。



「……そうだ。ハイル、さっき僕のことを運動ができるくらいまで回復させたって言ったね?それは、僕は今からでも運動ができるってことかな?」


『もちろんだ。どんな運動だってある程度はすることが可能だよ』


ハイルにそう言われたお兄様は、瞳をパアッと輝かせた。

……運動、するつもりかな。

するつもりだよねぇ……うう、大丈夫だと分かっていても心配だよ……。

もしするつもりなら絶対に私とハイルも付き合おう……!

そうしたら万が一お兄様が怪我なんかしてもすぐに治せるもんね!


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