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騎士になった少年  作者: ルネ
第一章 幼年期編
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第二話 父さんは騎士

5歳の誕生日になった

家の中ではエヴァリーナがパーティーの準備に追われている

それにしても、もうこの世界に来て5年になるのか。時間が経つのは早いな

あの世界に戻れる方法はまだ分からない。そもそも戻れるのか?


そうこうしてるうちにエヴァリーナがパーティーの支度を終えたようだ。

家族皆でテーブルにつく


「「おめでとうエルヴィス!」」


「お兄ちゃんおめでとー!」


「ありがとう!ふーっ!」


家族皆に祝福を受け、僕がケーキの蝋燭を吹き消すことでパーティーが始まった


この5年の間に新しい家族が出来た。

さっき最後に祝ってくれた、妹のアーシアだ。

一年前に産まれ、すくすくと元気に育っている

エヴァリーナの面影があるので将来は美人になるんだろうな

前は一人っ子だったので産まれてきてくれた時は結構嬉しかった

初めての妹なのでどんな距離感がいいのか分かんなかったので、とりあえず産まれた時からずっと一緒に遊んだり一緒に寝たりしてたらめっちゃ懐かれた

立派なお兄ちゃんっ子のできあがりです

わざとじゃないです許してください



「お兄ちゃん、このサラダ美味しいよ!食べて!」


アーシアが僕の皿にサラダを盛ってくれる。

色んな野菜が入っていて鮮やかだ


「ありがとうアーシア」


アーシアにお礼してから僕はそのサラダに口をつける

うん、シャキシャキして美味しい


「どう?美味しい?」


「うん、美味いよ」


僕が素直に感想を言うとアーシアは「えへへ〜」と嬉しそうにニコニコしながらパクパクと自分もサラダを食べる


「ふふっ、そのサラダね、アーシアが作るの手伝ってくれたのよ」


僕がアーシアの挙動に首を傾げていると、エヴァリーナがそう教えてくれた


「そうなんだ。アーシア、ご馳走様」


「あのね、あのね、いっぱいお野菜ちぎったよ!アーシアがんばった!」


アーシアはそう言って「ん!」と頭をこちらに向けてくる


「……ありがとうアーシア。美味しかったよ」


向けられたアーシアの頭を撫でてやる

アーシアは気持ちよさそうに撫でられている

なんだかおばあちゃんが飼ってた猫みたいだな

うちの妹可愛い


「ほんとあなた達仲良いわよねぇ。小さい頃は上の子は下の子に嫉妬するってよく聞くのに」


「そ、そうだね」


僕は苦笑いで返す。

確かに最近2人はアーシアにベタベタだが流石に嫉妬なんてしない。

これでも心は14歳、いやもう19か。


「まぁ仲が良いなら結構な事じゃねぇか。そうだ、エルヴィス。ちょっと待ってろ」


ダニエスはそう言うと部屋から出ていき、少しすると1本の木剣を持って戻ってきた


「父さん、それは?」


「やる。誕生日プレゼントだ」


「え?ちょっ」


ダニエスはそれを僕に投げ渡してくる

おいおい、普通こんな小さい子供に木剣投げるか!?危ないだろバカ!

心の中で愚痴を吐きながら投げられた木剣をなんとかキャッチする

それにしても、誕生日プレゼントが木剣かぁ


「僕、本が欲しかったのに」


「も、貰ったもんにグチグチ言うんじゃない!本なんて俺が何冊か持ってんだろ。それで我慢しろよ!」


「いや、父さん全然本持ってないじゃん。全部読んじゃったよ」


「だったら学校に行けるようになったら図書室にでも行け。木剣もいいぞ?自分の体を鍛えるのは楽しいぞ?」


やっぱりこの人筋肉バカだな

うーん、まぁあと数年もしたら学校に行けるようになるしダニエスの言う通りそれまで我慢するか


「それでだ。飯食い終わったらそれ持って庭に出るぞ」


「ん?なんで?」


「何でってお前、今渡したものが何なのかもう忘れたのか?今日から剣の特訓を始める」


「剣かぁ……」


前は生まれつき体が弱かったし、ずっと病院にいたので体を動かす機会なんて殆ど無かった。いい機会かも


「分かった!ご指導宜しくお願いします」


「おう、ビシビシ鍛えてやるぞ!」


こうして僕は剣の修行をすることになった




ご飯を食べ終わり、一段落つくと4人で庭に出た


「さて、まず一つ言っておきたい事がある。この家に産まれた以上、お前は将来騎士となるだろう。騎士とは王を守り、国を守り、民を守る戦士のことだ。守るために戦うのが騎士だ。今から教えるのはそういうものだ。別にお前が将来誰に仕えようと構わないが、その事だけは心に刻んでおけ。」


おお、この人がまともな事言ってんの久しぶりに聞いたかもしれん。

いいこと言うじゃんダニエス


「はい!」


「ダニエスもいいこと言うじゃない」


エヴァリーナも同じ感想だったようだ


「だろ!まぁ親父の受け売りだがな!」


「「……」」


うん、やっぱりダニエスはダニエスだったみたいだ


「……まぁ覚えておくよ」


「それでいい。よし、じゃあとりあえず剣の持ち方からだな。」


ダニエスも木剣を持ち、構える

僕もそれに習って見様見真似で木剣を構える


「いいぞ。そんな感じだ。どうだ?」


「ちょっと重い」


「そうか、まぁじきに慣れるさ」


そんなもんか。筋肉ついてくればこれを軽々振り回せるようになるんだろうな多分


「よし、じゃあまず素振りやるか。とりあえず200回行ってみっか」


「200!?」


「ほら木剣持って!はい始め!」


「えっ、ちょっ」


急いで木剣を構え直し、素振りを始める

30回くらい振ったあたりで手がぷるぷるしてきた。

これの10倍ってダニエスこれ最初っから飛ばしすぎじゃ……

こちとら体は一応5歳児ですよ?



「ダニエス、ちょっと最初からハードすぎない?」


そうだそうだ!


「たったの200だぞ?」


「あなたの基準がおかしいのよ……。エルヴィス、辛かったら途中でやめてもいいからね!」


「む……仕方ないな。まぁ最初だしな」


ダニエスはエヴァリーナの言う事はよく聞くんだよなぁ。

こういうのを尻に敷かれてるって言うんじゃないのか?

それでいいのか騎士団長


「お兄ちゃん頑張れー!」


だがしーかしアーシアの無邪気な声援と期待の眼差しが痛いっ!


「見てろ妹よ!」


妹に情けないとろこは見せたくない

僕はその一心で震える手に力を込め、ひたすら剣を振り続け始めた




「150…。151…。」


1時間木剣を振り続け、ようやく200回を超えた

いくら可愛い妹が応援してくれているからと言って、精神論には限界があると思う

60を超えた辺りで腕の感覚が消え、100を超えた頃には疲れすぎて意識が朦朧としてきた。

ごめんなアーシア。5才児にはこれが限界みたいだよ…

僕はもう何回目か分からない素振りをすると同時に意識を手放した

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