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騎士になった少年  作者: ルネ
第二章 学生編
22/23

第二十一話 開会式

今日はいつになく早く目が覚めた。

アルより早く起きるなんてこの1ヶ月ちょっとの学校生活の中では初めてだ

やはり気持ちが昂っているのだろうか

せっかく早起きしたのだから少し体でも動かしておこう

アルが起きないように静かに布団を片付け、部屋を出る。

「行ってきます」と一言を残して


食堂で早めの朝ごはんを済ませると、僕は食堂を出て闘技場へ向かった。

10分ほど歩いて闘技場の前についた時、後ろから声をかけられた


「……エルヴィス」

「わっ!びっくりした」


後ろにいたのはパートナーのラティアだった。


「早起きだね」

「……こっちのセリフ」

「あはは……。なんか目が覚めちゃってね」

「……私も」

「始まるまで体動かそっか」

「……おー」


そんな話をしながら僕とラティアは闘技場の中へと入った。



ラティアと少し戦ったり連携の確認などをしていると生徒会長のガネットが闘技場に入ってきた


「あれ、エルヴィス君。久しぶりだね」

「あ、どうも」

「練習中悪いけどそろそろ奉闘祭の準備を始めたいんだ。選手は控え室があるはずだから開会式までそこで待っていてくれないかな?」

「もうそんな時間ですか。分かりました。いこ、ラティア」

「……うん」

「頑張ってね。戦えることを期待しているよ」

「期待は裏切りませんよ。会長の噂はよく耳にしますから1度やってみたいと思ってたんです」


ガネットのコンビは1年生の時から奉闘祭で結果を残してきていて、去年は最高学年の6年生すら倒しているらしい。


「僕もだよ。何せ騎士団長の息子さんだからね。楽しみにしているよ。そっちの娘がエルヴィス君のコンビかな?君も頑張ってね」

「……無論」

「ははは、じゃあまたね」

「はい」


僕らは闘技場を出て、控え室に向かった



少し控え室で休憩をしていると開会式の準備が終わったらしく、僕達は再び闘技場へ向かった

随分と準備が早いものだ。まぁ準備といっても結界の確認とかそんなことくらいしかやる事がないんだろう

続々と観客席に生徒が座っていく。あの中にアルやリンダもいるのだろう

観客席の中央には広いスペースが用意されていた。

恐らくあそこに国王が座るのだろう

僕達は闘技場に並んで式が始まるのを待つ

そして


「これより奉闘祭を開催します!」


という校長の宣言とともに今年の奉闘祭が始まった




校長の長ったらしい話と会長の選手宣誓が終わると、場の空気がこれまで以上に静まり返る


「えー……次は今回奉闘祭をご覧になる国王様からお言葉を頂きます。国王様、お願いします」


司会の言葉に応じて一人の人物が壇上に上がる

――国王、テオードル

先の戦争でダニエスとともに人間を勝利へと導いたもう一人の英雄だ。


「今回の奉闘祭を見学することにしたデオードルだ。先の戦争で我々人間は悪しき魔族共から平和を勝ち取った。その平和はまた続いているがそれがいつ途切れるかは分からない。皆鍛錬を怠ることなく自分の力を高めるために訓練に励むように。今日はその成果を見せてもらう。いい試合が見られることを期待している」


国王はそう言葉を残すと壇を降りた

直後、盛大な拍手が会場に渦巻く

随分な人気だな。まぁダニエスの人気から考えたらこんなもんか。こっちはさらに王様だしな



そんなこんなで開会式も終わり、一戦目の試合の準備が行われる。

僕達の初戦は二戦目だ。先に一組と八組の試合が行われる。

八組といえばレガルドのクラスだ。

控え室で体を休めててもいいのだが一応練習にも付き合ってくれた奴だしな。試合くらい見とくか。どうせ後で当たるんだろうし


「ちょっとレガルドの試合見とくね。ラティアも来る?」

「……うん」

「じゃあ一緒に行こっか。立ち見になっちゃうだろうけど」


僕達は階段を登り、観客席の後ろから中を覗く

この第一闘技場では一、二、三年の予選が行われる。

それより上の学年は第二闘技場での予選だ。

この予選で学年で一つずつのペアが勝ち上がり、学年対抗戦の本戦へと入っていく

今日は予選のみが行われ、本戦は明日へと持ち越されるそうだ。



「それではこれより奉闘祭予選第1回戦を始めます!選手は前へ!」


という先生の指示により、2組のペアが闘技場へと入ってくる。

僕から見て手前側が1組のペア。奥がレガルド達8組のペアだ。

奉闘祭では剣に限り武器の持ち込みが許可されている。

レガルドが持っているのは当然木剣などではない

その何倍も大きい剣。大剣だ

その他の選手は普通の剣か何も持っていないかなのでめちゃくちゃ目立っている


前に出てきた選手達に審判の先生が魔法を行使する


「今皆さんに簡易結界を張りました。相手の攻撃によりその結界が破壊されればその選手は死亡扱いとなり、最後に生き残っていた選手のチームの勝利です。それでは試合始め!」


という先生の声とともに初戦が始まった



***

「うし!やってやろうぜイルマ!」

「うっす!ぶっ飛ばすっす!」


相手は魔法使いが二人。こっちは近接戦闘系が二人。

どっちも偏ったペアだが遠距離と近距離の対決なら遠距離の方が有利に見える

俺たち魔法苦手だしな

だが!


「不利をひっくり返してこその強者だろ?俺は強いからな!」

「流石っすレガルドさん!かっけぇっすよ!」

「はっはっは!そうだぞイルマ。俺はかっこいい!」


対戦相手の魔法使いの女子共が「なにあれ……」「早く倒しちゃいましょうよアレ」等とほざいている。全く奴らこの俺が誰だかわかってねぇみたいだ。

数分後俺に泣いて詫びる姿が目に浮かぶぜ



「ウォータースクリーム!」


相手の選手の1人が魔法を放ってくる

水魔法の初級魔法だ。水流が俺たちに向かって襲いかかる


「甘ぁい!イルマ!躱せるな!」

「当然でさぁ!練習の成果見せるっすよ!」


スフォルテスの野郎のペアの女子、ラティアっつったか?あいつの魔法に比べればこのウォータースクリームはだいぶ甘い。あまあまだ。

威力も精度もあっちの方が数段上だな

軽々と魔法を躱し、距離を詰めるために前へ駆け出す。

スフォルテスほどの速度は出せないが、少しずつでも近づければいい。それで間合いにさえ入ってしまえばこっちのものだ



「あの偉そうにしてるやつ、一応副団長の息子らしいわよ!気をつけて!」

「え、マジ!?ないわー……。まぁそういう事なら一応注意しとくわよ」


相手のペアは俺と距離を開けながら魔法を次々と放ってくる。


「テメェら一応一応うるっせぇんだよ!ファイアーエンチャント!」


この1ヶ月間、ひたすら練習した魔法の名前を叫ぶ。

すると次の瞬間、握っている大剣が炎を纏った

ファイアーエンチャント。指定した物体に炎属性を一定時間付与する魔法だ。


「行くぜおらあっ!」


炎剣となった大剣で相手のペアに向かって斬りかかる


「っ……『土壁』!」


水魔法を使っている奴と違うやつは地属性魔法の使い手のようだ。俺の斬撃を土壁で防ごうとしてくる。


「ファルネルを舐めんじゃねぇぞ!」


剣を持つ手に更に力を加える

轟っ!と一瞬剣の周りを渦巻く炎が強まったかと思うとバリィン!と音を立てて土壁が割れる


「えっ、マジぃ!?」

「落ち着いて!フォローするわ、『アイスウォール』!」


もう1人の相手が更なる壁を貼って相方を守る

炎を纏った剣により氷の壁は溶けながら切断されるが、その僅かなラグを利用して相手は斬撃の軌道からその身をそらす


「ありがと!さぁ、反撃するわよ!」


1組のペアが態勢を立て直し、反撃に出ようとしているのを見て俺は思わず顔を綻ばせる


「何よ!何笑ってんのよ気持ち悪い!」

「気持ち悪いとか言うんじゃねぇよ。あんまり作戦通りに行くから面白くってよ」

「作戦……?」


1組のペアが訝しげな顔をしたその時、バリィン!とガラスの割れたような音が2つ、会場に響いた

それはまさしく、1組の敗北を意味する音だった


「え……?」


敵さんはまだ状況が掴めていないらしい。呆然とした顔でこちらを見つめている。


「いやー、作戦とはいえここまで完全に忘れ去られてるってのも悲しくなるっすね……」


1組のペアの背後から聞こえてきたのはもう1人の8組、イルマだった。その両手にはククリナイフが握られている


「別にお前の影が薄いわけじゃねぇ。俺が目立ちすぎただけだから気にすんな!強い俺が目立つのは必然!」

「それもそうっすね!流石レガルドさんっす」


なんのことは無い。俺に集中している敵の背後からイルマが襲いかかった。それだけの事だ。


「一組対八組の試合!八組の勝ち!」


という先生の声が会場に響いた

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