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騎士になった少年  作者: ルネ
第二章 学生編
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第十六話 元気になぁれ

食事を終え、部屋に戻ると僕は木剣を持って部屋を出ようとする

するとアルが呼び止めてきた


「おいエル。今日も素振りか?」


「そうだけど?」


「ちょっと待ってろ。俺も行く」


そう言ってアルは自分の荷物を漁り、木剣を取り出す


「待たせたな。行こうぜ」


「アル、木剣持ってたの?っていうか剣やってたの?」


「いや?剣なんて振ったこともねぇ」


「じゃあなんで木剣持ってるのさ」


「さっきちょっと買ってきた。折角身近にいい先生がいるんだから教えてもらおうと思って、な」


そう言ってアルは僕にウインクしてくる

やめろ気持ち悪い


「まぁ教えるのはいいけどちょっと待たせることになるけどいい?多分変なのに下で絡まれると思うから」


「は?変なのってなんだよ?」


「まぁ見てみれば分かるよ。とりあえず降りよっか」


僕達は階段を下り、前庭に出た




前庭には僕の予想通り、素振りをしているレガルドの姿があった


「ようやく来やがったなスフォルテス!今日こそてめぇをけちょんけちょんにしてやっからな!」


「なんだよその噛ませ犬みたいなセリフ……」


「うるっせぇな!とっととやんぞこら!」


「おいエル。なんだこの頭弱そうなやつは。変なのってこれのことか?」


アルがレガルドを指さしてそう訪ねてくる


「変なのぉ!?」


「そうだよ。こちらレガルド=ファルネルくん。副団長の息子らしい」


「おい、スフォルテスてめ」


「え!?こんなのが副団長の息子!?うわぁ……」


「うがぁー!てめぇら俺を馬鹿にすんじゃねぇー!泣くぞ!」


そんな堂々と泣く宣言されても……。


「まぁまぁ。ほら、やるならさっさとやろう?今日はこいつに剣教える時間も欲しいんだから」


「くっそ……。覚えてろよ……。」


そうボヤきながらレガルドは木剣を構える。


「え?なにお前ら模擬戦でもやんの?」


「ま、そんなとこ。だから待たせることになるって言ったでしょ。危ないからちょっと離れて見ててね」


そう言ってアルを離れさせると僕も木剣を構える

2回目の二人の戦闘が始まった







「くっそ!また負けた!」


レガルドは地面に転がったまま右手で思いっきり地面を叩く

よほど悔しかったのだろう

今日は魔法も使ってきたがまぁ習いたての魔法だ。

躱すのにそれほど苦労はしなかった

足をかけて転ばせて首元に剣を当てると降参してくれた


「はい残念、また明日~。アル、じゃあやろうか」


「お、おう……。昼の先生とのやつでも思ったけどお前ってやっぱスゲェんだな……」


「そうでもないよ。こんなの父さんの足元にも及ばないし、先生にも勝てなかったしね」


「比べる対象が間違ってんだよ!」


「まぁいいじゃん。ほら、やらないの?」


「やるよやりますよ。折角買ったんだからな。極めてやる」


「よーしじゃあとりあえず僕と素振り100回ね」


「おう!」


その日はアルと一緒に素振りをこなし、練習を終えた。

色々やるのは基礎が身についてからにしよう。

僕の時もそうだったしな



次の日もアルに叩き起され、登校時間ギリギリに教室に滑り込む


「二人共、もっと朝早く起きる努力をしましょうね……。まぁ遅刻してないのでいいんですけどもいつまでもグレーゾーンというのも、ね?」


ディアナ先生にジロッと睨まれる


「「す、すいません!」」


僕らは二人で謝った




「はぁ……まったくよぉ……。なんで毎朝俺まで遅刻しそうになって怒られなきゃなんねぇんだよぉ……」


「別に僕を待たないで先に行っててもいいんだよ?」


「そしたらお前は一体いつ登校してくるんだろうな!?」


「……ごめんなさい」


「謝ってすむなら衛兵はいらねぇんだよ!行動で示せ行動で!」


「善処します」


「………もういい」


アルは元気をなくして机に突っ伏してしまった

なんだよ頑張るって言ってるのに

アルがなんにも反応してくれなくなってしまったので授業の準備をしているとリンダがそーっと近づいてきた


「あ…」


声をかけようとしたがリンダが指を口にあて、静かにしろの合図を送ってきたので言葉を中断して成り行きを見守ることにした

さては「わっ!」とかやって驚かせる気だな?

リンダは静かに突っ伏しているアルの後ろに移動すると、グッと拳を握りしめ、構えた

……ん?構えた?


「ふんっ!」


「ごふぅっ!?」


リンダがアルを下からアッパーをするかのように殴り飛ばした

おーすげー。アルが飛んでる


「いってぇ!ごほっ、ぅえ。リ……リンダぁ!?いきなり何しやがるてめぇ!」


着地に失敗しながらアルが叫ぶ。

そりゃいきなり殴られりゃあそうなる。


「元気無さそうだったから……。元気出たでしょ?」


「これは元気とかそういういい感じのヤツじゃねぇ!怒りっていうんだよ!キレてんだよ!」


「同じよ」


「違うわっ!何?俺元気なくす度に殴られなきゃなんないの!?」


「元気に生きるのは大事よアル」


「そうだよ。前向きに生きなよアル」


「お前もそっちの味方なのかエル!っつーかそもそも俺が萎えた原因お前だからな!?」


「だってリンダ怖いし」


「騎士団長様の息子が悪に屈してんじゃねぇよ……」


「悪って何よ悪って。失礼ね!」


そうわーわー騒いでいると不意に服の裾をクイクイと引っ張られた。

なんだ?今僕は二人に悪の定義というものを説明しているところなのに


「……エルヴィス」


振り向くとラティアがいた


「あぁラティアか。どうしたの?」


「……本、持ってきた」


ラティアの手には1冊の本が握られていた


「あ、もしかしておすすめのヤツ?」


ラティアはコクンと頷いて肯定の意を示す


「ありがとう!わざわざ持ってきてくれるなんて思ってなかったよ」


「……ちょうど持ってたから」


そう言って本を渡してくれる。

ほんと、ラティアには感謝だな


「あれ?ラティア、どうしたの?」


本を受け取ってすぐ、アルと騒いでいたリンダがラティアに気づき、声をかけてきた


「本を借りてたんだ。あれ、二人は知り合いなの?」


「……ルームメイト」


「あーなるほどね。僕とアルみたいなもんか」


「そーゆーこと。ラティアなんか昨日の夜ごそごそやってると思ったらそれ探してたのね」


ラティアはコクンと頷く


「お、この娘が昨日エルが言ってたラティアか。よろしくぅ!」


騒いで元気を取り戻したアルも近寄ってきて、ラティアと挨拶を交わす

元気戻ってるじゃないか。やっぱりぶん殴り療法(仮)効果あるんじゃないか?僕は絶対やられたくないけど


「なぁラティア。昨日の話聞いたぜ?けちなエルヴィスは置いといて俺が肩車してやるよ」


アルがそうラティアに話しかける


「……ほんと?」


「おう、ホントだホント。ほれ」


「よいしょ」


「ほう、これはこれは、意外と筋肉質な太ももをしていらっしゃる………って違ーう!」


乗ったのはラティアではなく僕。


「下心見え見えなんだよ馬鹿。」


「男の太ももなんて揉ませるんじゃねぇよ!別にいいだろちょっとくらいいい思いしてもよぉ!」


「ダメだ馬鹿」


アルはくそぅ……とブツブツ言っている

ダメです。この娘に手は出させません。

ラティアってなんか保護欲掻き立てられるんだよな……


「……かたぐるまは?」


「ナシだ」


ラティアが不満そうな顔でこっちを見てくる


「ラティア、覚えておいて。男はみんな狼だ」


「……エルヴィスも?」


「うん、まぁ僕もだ」


「……気をつける」


分かってくれたみたいだ。聞き分けのいい娘で良かった


「……エルヴィス」


「ん?なに?」


「……かたぐるま」


訂正。この娘、なかなか頑固者のようだ

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