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騎士になった少年  作者: ルネ
第二章 学生編
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第十一話 夜間の決闘

「エルヴィス君、初日からホームルームをサボって居眠りはダメだと思うよ?」


生徒会長、ガネット先輩はそう言って僕に微笑みかけてくる

関わりたくないと思ってた人物に真っ先に関わっちゃったよもう、最悪。

キラキラオーラを発するんじゃない


「いえ、ちょっとこれには事情が……。っていうかなんで僕の名前知ってるんですか?」


「これでも生徒会長なんでね。そのくらいの情報は知ってるさ、騎士団長の息子さん?」


「やめてくださいよ……。さっきそれがバレたせいで教室で騒ぎになったんですから」


「なるほど、それでこんな所で寝ていたと」


「まぁそういう事です」


「ならもう戻っても大丈夫だと思うよ?っていうかもうホームルームは終わってるんじゃないかな?職員室に行ってみな」


「それもそうですね。それじゃあ失礼します」


ぺこりと頭を下げて前庭を後にする

だが、後者に入る1歩手前で立ち止まる

僕、職員室の場所知りませんやん!

結局ガネット先輩に頼み、職員室まで案内してもらうことになった。


「エルヴィス君?まぁ気持ちは分かりますけどいくらなんでも勝手にホームルームを抜け出しちゃいけません!」


「すいません……」


先生の最後の言葉は聞き間違いでは無かったようで、ホームルームはやっぱり終わってなかったらしい。

初日から早速怒られてしまった


「はぁ……。まぁ皆にはエルヴィス君とは普通に接してあげてくださいと言っておいたので明日からはあんなことにはならないと思います。」


「ありがとうございます!」


この先生有能だ!願いが通じた!


「それで、エルヴィス君が出て行ったあとに寮の部屋を発表したんです。君にも教えますね」


そう言って先生は引き出しから1枚のプリントを取り出し、僕の名前を探す


「あ、ありました。エルヴィス君は207号室ですね。1年生の男子寮の場所は分かりますか?」


「大丈夫です!それじゃあ早速行きますね。失礼します!」


さっきガネット先輩に案内してもらった時に男子寮の看板がついた建物を見かけたので多分あれだろう


「はーい、また明日」


僕は職員室を後にし、男子寮に向かった



「ここか……」


僕は男子寮の207号室の前にいた

この学校の寮は2人で1部屋だと聞いたのだが、誰とパートナーなのか聞くのを忘れてた

緊張するなぁ……


「失礼しまぁ~す」


僕はドアノブに手をかけてドアを開く


「おう、やっと来たか」


部屋のなかにいたのはアルだった



「なんだアルかぁ」


アルの姿を見て一気に緊張がほぐれる

やっぱり少しでも会話した奴の方が色々と緊張しないで済む


「なんだとはなんだよ」


「別に悪い意味じゃないよ?知らない人と一緒に暮らすなんて緊張するじゃん」


「そんなもんか。あ、そうだ。さっきは悪かったな。団長様の息子だなんて言うからちょっと興奮しちゃってよ」


「もうやめてよ?」


「しないしない。お前も特別扱いされたくないんだろ?」


「そりゃね。普通が一番だよ」


「だな」


その日は荷物の整理などに追われ、気づいたら6時を回っていた


「そういえば晩飯は6時半かららしいぜ。片付け終わらせたら行こう」


「おっけー。お腹も減ったしね」


僕達は急いで片付けを終わらせ、食堂へ向かった。


食堂に入ると中にいた皆から一斉に視線を向けられた

やっぱり急に態度が変わるわけ無いか。アルが聞き分け良かっただけみたいだ。


「うおぉ。これはなんていうか、落ち着かないな」


僕の隣りにいるアルも当然僕に向けられた視線を感じている


「だろ?なんかもう鬱陶しいよ」


「まぁほっときゃ皆も慣れるだろ。とっとと食おうぜ」


僕達は食事を持って席に座り、周りからの視線を無視して食べ進める


「そういえば早速明日から魔法の授業が始まるらしいぜ。俺の属性はなんだろなぁ。火とかかっこいいよな!俺、火属性がいいなぁ」


「へぇ。初日からやるんだ。魔法使うの楽しみだったんだよね僕」


異世界と言ったら魔法!


「お前も魔法は素人だしな!魔法の授業頑張ろうな!」


「うん!」


明日の授業に期待を膨らませつつ食事を食べるアルとエルだった。



食事が終わると2人は部屋に戻った。


「僕ちょっと素振りに行ってくるよ」


「へぇ、木剣なんて持ってきてるのか。やる気満々じゃん」


「まぁ一応騎士の息子だからね。じゃ、行ってきます」


「おう、俺は寝てるわ。疲れた。眠い」


「りょーかい」


僕は木剣を片手に前庭に向かった


前庭には誰もいなかった。

もういい時間だし皆部屋にいるんだろう

言っても皆まだ10歳だしな

さてと、じゃあ始めますか!


「66……67……」


ノルマの半分くらいまで素振りを終えた頃、同じ寮から一人の学生が出てきた

そいつは素振りをしている僕を見ると「ああっ!」と叫んで近づいてきた

そいつは手に木剣を握っている。物騒だなぁ

まぁ僕も人のこと言えないけども


「お前、エルヴィスってやつだろ!」


「そうだけど?」


素振りをする手を止めて返事をする


「お前、俺と勝負しろ!」


「はい?いや別にいいけどさ。とりあえず、君だれ?」


「レガルドだ!レガルド=ファルネルって言えば分かるか?スフォルテスの息子!」


全く分からん


「ごめん、分からないや」


「な……。ファルネル家を知らないのか!?騎士団副団長の家名だよ!」


「へぇ。いつも父さんがお世話になってます」


あの親父の事だ。

絶対に部下に迷惑かけてるだろう

頭を下げてごめんなさいをしておこう。


「お、おう。ってそうじゃねぇ!父さんは副団長の座に満足してるみたいだけど俺は違う!俺はぜってぇお前より強くなってスフォルテス家から団長の座を奪い取ってやる!」


「あ、そう。頑張って」


「軽いわっ!とにかく俺と勝負しろ!将来の団長の実力をスフォルテスに思い知らせてやる!」


はぁ、全く暑苦しいやつ。こんな時間に騒ぐなんて常識ないのかコイツは


「分かった、分かったから落ち着いて。場所はここでいい?」


まぁ対人戦の練習にはいいかもしれない


「かまわねぇ!よし、早速やるぞ!構えやがれ!」


僕とレガルドはお互いに木剣を構える


「おらああぁぁぁ!」


レガルドが先に僕に向かって走り、剣を振りかざす

僕はそれを木剣で受け止める


(重っ!?)


受け止めた剣に子供の振った剣とは思えないほどの力がかかる

僕は慌ててそれを横に受け流し、一旦飛び退いた


「どうだスフォルテス!これがファルネルの剣だ!」


スフォルテス流が速さを追い求めた剣術ならファルネル流は力を追い求めた剣術だ。

力の加え方がどうのこうのとダニエスが言ってた気がしたけど詳しくどうやっているのかはダニエスでもわからないらしい

その家々の剣術は他家に軽々しく教えるものではないらしい。

教えあったほうが皆強くなれてウィンウィンだと思うんだけど

まぁそういう習わしだって言うんなら何も言えない


「ファルネル流、よく見させてもらったよ。ありがとう」


「ふんっ!この凄さが分かったか!」


「まさか君みたいな子供にあんな力が出せるなんてね。びっくりだよ。じゃあ次はスフォルテスの剣を見せようか」


そう言うと僕は地面を蹴り、レガルドに急接近する


「どんなに早くても懐に潜り込んでくるのが分かってりゃ対応できるんだよォ!」


流石副団長の息子。

僕の速さに反応して懐に潜り込んだ僕に再び剣を振り下ろしてくる


「スフォルテス流剣術、『鳳仙花(ほうせんか)』!」


僕はそう叫ぶと同時に体を動かすスピードを緩めた。


(勝った!)


レガルドはそう心のなかで確信した

何か剣術を使おうとして失敗したのだろうと、そう思った

そして、振り下ろされた木剣がエルヴィスの肩に到達しようとした、

しかし次の瞬間、木剣が当たるはずだったエルヴィスの肩は既に剣の軌道上から姿を消していた


僕はレガルドの剣が当たるすれすれで体を捻り、それを躱した。

誰しも勝ったとしか思えない状況になると一瞬の油断が生まれるものだ。

そして勝った後のことを想像して浮かれたりするものだ

スフォルテス流はその一瞬の隙すら許さない

体を回転させた勢いでそのままレガルドの首筋に向かって木剣を振り、寸止めする


「僕の勝ちってことでいいかな?」


「っ……」


エルヴィスの完全勝利だった

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