放課後の日記
部活が休みだったので、妹の本を返すために放課後、図書館に寄ろうと思っていた。
今日の降水確率は100%。
台風が立て続けに2つ上陸するとのことで、来週の月曜火曜は休校になるかもしれなかった。
元々明日金曜からは3連休。
最悪月曜に返せないとなると、都合が悪い。
人気の新刊を遅延すると、忘れた頃にクラスの奴から嫌味を言われる。
ましてや妹が借りた本。
そんな事があったら、しつこく言われて面倒な事になる。
雨足は強くなってきているが、返すだけなら、とため息混じりに図書館へ足を運ぶ。
まだ16時になるかならないか、という時間なのに空の雲は厚く、あたりも暗くなってきた。
こりゃかなり激しくなるかもしれない、いっそ夜まで待った方が、と思いつつ図書館のドアを開けた。
誰もいない。
電気も奥の壁側の1つが着いたままだ。
「すいませーん」
誰かいるかもと声をかけるが、聞こえるのは窓の外から聞こえる激しくなった雨音だけだ。
もしかしたらみんな早く帰ったのかもしれない。
鍵をかけないなんて無用心だなと思いつつ、返却箱に本を入れた。
図書館の入り口に戻ろうとした時、
かさ・・・かさ・・・
と音がなった。明かりのついている方向からだった。
正直気味が悪い。
しかし、まだ時間的には夕方とも言えない状況で、3年にもなって怖いので逃げるように出ました、なんて来週になってヘタレと言われるのも、癪だ。
「誰かいますー?!」
大きめの声をを上げてみるが、返事はない。
"誰もいませんでした、点いていた明かりのは自分が消しておきました。気をつけてください"
来週、今日の担当に文句を言うセリフを考えながら、本棚で見えない奥へ歩いて行った。
かさ・・・かさ・・・
また音がする。
ただもう近くまで来ているので、誰かがいるなら絶対文句を言ってやる、と進んでいった。
本棚を越えてそっと、覗いてみると。
そこには半開きに開いた窓と、厚めの本が1冊。
本のページが風でめくれていただけだった。
なんだ、この音だったのか。帰ったら妹に言ってやれ、と思いつつ本の前まで歩く。
そうすると、今まで開いていたページが、さらさらさら、と戻り、表紙を開いた。
結構風が入るのかな、と思いつつ、手に取ろうとする。
ー My Diary ー
表紙は金色の筆記体で書かれたシンプルな本だった。
こんなタイトルあったか?そう思い手に取ろうとすると。
かさ・・・かさ・・・かさかさ
風が吹き、ページが開かれていった。
これ、心臓に悪いわ。
窓を締め、ふと目を落とすと、そのページにはなにも書かれていない。
本じゃないんだ。本物の日記?
そう思って1ページ戻すと、文字が書いてあった。
ーーーーーーーーーー
残念だったね。
そして感謝を。
おめでとう、君は選ばれた。
もう、死んでも帰れない。
君がこれからどんな思いをするのか、
とても楽しみにしている。
約束しよう。
この日記を読み終えた時から、ショウが始まる。
沢山後悔して、沢山悲鳴を上げておくれ。
あまり待たせないで欲しい。
さあ、後ろを向きたまえ。
もう、いるから。
いかがでしたでしょうか。
後日、似たシチュエーションで、ふっ、と思い出すような感じになれば私の目的達成です。
その時はごめんなさい。
ご意見頂ければと思います。