3話
寒かった冬が過ぎ暖かな春の陽気が降り注ぐ。
セイがこの世界に来てから一年が経とうとしている。
妙に濃い初めの二ヶ月間。その後もなんだかんだと事件が起きはしたものの、比較的に穏やかだった残りの十か月。
四月の風を受けながら、目を細めるセイに神託が下る。
『セイ、たった今、魔王が復活しました。先代魔王の血筋の者に先代の魂を憑依させたものです。強さはそこそこと言ったところでしょうか』
<四大陸に居る下等生物どもよ、貴様らには安寧など与えぬ。>
ん? 何か念話の様に頭に響く声。どうやっているんだろう。
<貴様らの世の終わりを告げる。我ら魔族のみが、この世界を掌握できるのだ。精々滅びの足音にびくびくしながら戦くがいい、この魔王様が復活したからには混沌の世が始まるのだ>
孤児院の子たちが不安そうにしているから、魔王なんて私が対処して見せますよ。等と言ってしまった。それで不安は払拭された様で何よりだ。
そういえばフィルマが言ってたな、魔王復活に備えて勇者が召喚される。と。
そっちは今どうなってんのかねぇ? 気になるからサームナンに行ってくるか。
と言う事で翌日、朝からエメに乗ってサームナンの首都、サームに着いたらエメから降りる。
「いつもすみませんね。ありがとうございます」
『前にも言いましたが、お安い御用ですよ』
軽く首を撫でると嬉しそうにグルル、とないた。
飛んでいくエメを見送って、さあ、サームに入る為に並ぼうとすると慌てたように門衛の一人が駆けつけてくる。
「使徒様、名誉職であっても伯爵である貴方がお並びになる必要はありません。あちらの貴族用の門をお使いください」
「あ、そうなんですね」
有り難く貴族門から町に入った。
さてと、とりあえず城に行くか。フィルマや勇者はきっとそこだろうし。
どこの城も都市の真ん中に建てられている場合が多いが、ここも御多分に漏れずその仕様だった。
大通りを真っ直ぐ歩いていくやがて城が見えて来た。
「まてい、城になんの様だ!」
揃いのプレートメイルに同じハルバードをクロスして通用門の前に立ちはだかる。すぐ隣には公用に使われるのだろう大きな門があった。
「フィルマは居ますか? 三人目が合いに来たとお伝え下さい」
門衛が顔を見合せ、最初に話しかけて来た方が城まで走っていった。
「そのままお待ちください。直に案内の者が来ますので」
「分かりました」
少しして、城から見覚えのある人物がどすどすと歩きながらやって来た。後ろには、さっきの門衛が一人ついているのが見える。
「セイ! 丁度いい所に来たな! 少し手伝ってくれ」
「構いませんが、何のお手伝いですか?」
「そんなもん勇者の訓練に決まってんだろ! まだまだ足りねぇんだ!」
「はあ、そうですか。しかし、鍛える、というのはどの様に鍛えるのですか?」
「模擬戦有るのみ! と言いたいところだが戦術の組み立てとかもやっているそんなことより速くいくぞっ」
腕を掴まれて引っ張られる俺。
そのまま訓練所まで引っ張られる俺。
訓練場の中に引っ張りこまれる俺。
「え、教官。その人は一体?」
「なんだ? 教官が連れて来たってことは一角の人物なんでしょうが」
「おう、一角も一角、何せ俺と決闘して勝った男だからな」
「はぁ!? 教官を? そんな馬鹿な」
「全身鎧とは珍しいですな」
「まあ、今から俺とセイが模擬戦をやるから見ていろ」
そう言うと訓練場のまんなか辺りに移動した。俺も着いていく。
「よっしゃあ、今回は俺も最初から全力だ、いくぞ!」
「どうぞ」
アイテムボックスから女神斧と公翼の盾を取り出し。魔力と気を合一法で練り上げる。
「剛断!」
闘争神の剣を叩きつけてくるフィルマ。その一撃を盾で逸らす、と同時にがら空きの胴体に膝蹴りを入れた。
ゴスンっという鈍い音と共にフィルマの身体が浮き上がる。追い打ちで左肩に肘を入れた。今度はポグっと言う音がしてフィルマの肩が外れた。
あれ? 動かなくなった。
「大丈夫ですか?」
声を掛けると恨めし気な答えが帰って来た。
「おまえ、前より強くなってねぇか・・・・・・?」
「それはそうでしょう。戦女神の使徒たるもの、他者に後れを取ってはならないのですから。むしろあまり強くなっていない貴方にこそ私は驚きましたが? まぁ、教官役なんかにさせられたのでは、自分の技を磨く時間など無いでしょうから仕方のないことですが」
滔々としゃべる私に苦笑いが返って来た。
「とりあえず脱臼した肩をはめますか」
内臓にもダメージがありそうなので、そちらも合わせて回復しておいた。
「それじゃあ改めて。お前たちの訓練をサポートしてくれるセイ・ハンド名誉伯爵様だ。挨拶しろ」
「「「よろしくお願いします」」」
四人のステータスは、というと・・・・・・
大地母神の名に恥じぬ母性、おっとり美人で基本的にはニコニコしている。
見た目にそぐわない怪力と斧槍捌きで敵陣を食い破っていく様は圧巻の一言。それでいて、一度後衛にまわれば強力な支援魔法と回復魔法を使いこなす、万能の魔法戦士。
大地母神の加護を受けた勇者。
◆
名前:竹内 梓 種族:人間 性別:女性 年齢:17歳 LV42
称号:大地母神の勇者 大地母神の信徒
特殊:大地母神の加護 異世界の勇者
魔眼:暗視(神)麻痺(神)看破(神)鑑定(神)
スキル
剛力LV20 魔法威力上昇LV21 威圧LV18 剛断LV19 罠察知LV15見切りLV23 第六感LV9 気配察知LV19 魔練功LV21
魔法適正
・光魔法(高)・土魔法(高)・水魔法(中)・風魔法(中)
◆
無精ひげが似合うナイスミドル。髪は長めでザンバラ髪。・身長は180センチほど
袴姿で居合の修練を行ている時に召喚された刀を使う剣士。東神ユライエの加護を受けた勇者。
◆
名前:新谷 啓司 種族:人間 性別:男性 年齢:39 LV41
称号:東神の信徒 侍
特殊:東神の加護 異世界の勇者
魔眼:暗視(神)鑑定LV10
スキル
居合切りLV32 練気功LV28 第六感LV9 火炎斬りLV20 氷結斬りLV17 紫電斬LV19
魔法適正:無し
◆
神ボルグの加護を受けた勇者、魔法に優れた人物。禿散らかしたおじさん。リストラにあって途方に暮れていた時に召喚される。勇者の中で一番やる気に満ちている。
◆
名前:神宮寺 登也 種族:人間 性別:男性 年齢:42 LV43
称号:東神の信徒 禿散らかし
特殊:東神の加護 戦闘能力補正
魔眼:暗視(神) 鑑定LV19(神)
スキル
魔練功LV24 魔力強化LV18 魔力増強LV23 魔法二種同時発動LV20
並列思考LV18 万能障壁LV30
魔法適正
・炎魔法(神)・水魔法(神)・雷魔法(中)風魔法(中)
◆
闘争神ガントラウドの加護を受けた勇者。空手3段の脳筋。まず殴ってから考える性格。戦闘スタイルは近接格闘武器であり防具でもあるガントレットの神器を、召喚された時点で授けられていた。身長は171センチ。
◆
名前:東雲 幸雄 種族:人間 性別:男性 年齢:16歳 LV43
称号:闘争神の信徒 脳筋
特殊:闘争神の加護
魔眼:暗視(神)発見(神)
神器:闘争神のガントレット
スキル
被ダメージ軽減LV24 正拳突きLV23 後ろ回し蹴りLV22 水面蹴りLV20 乱打LV20 攻撃強化LV18 貫手LV15
魔法適正
・火魔法(神)
◆
水神マユタの加護を得た勇者。小柄、身長は148センチ。神官なのに近接もいける神官戦士。装備は特殊な製法で作られた、というか神造の僧服。一番の年下。何かと可愛がられる。本人も小柄なのを気にしてはいるが折角の好意を無下にできない。
◆
名前:逆巻 静流 種族:人間 性別:女性 年齢:15歳 LV41
称号:水神の信徒 水神の寵児 ちみっこ
特殊:水神の加護 戦意高揚
魔眼;暗視(神)麻痺LV4(神) 鑑定LV20(神)
スキル
回避補正LV29 魔練功LV20 練気功LV17 攻撃補正LV25 魔法強化LV20 保有魔力上昇LV30 並列思考LV23 被ダメージ軽減LV8
魔法適正
・水魔法(神)・空間魔法(神)・神聖魔法(神)
といったぐあいである。ジルタルの四十階層でも通用しそうな強さ――つまり冒険者だとランクA相当の力がある。
それでも足りないとフィルマは言った。なら、どの程度ならば足りるのか。こればかりは直接確認しなくてはなるまい。
「私は少々魔王の所へ行ってきます。どのくらいの強さなのか考えても分かりませんし、直接見てきます」
「おう、そりゃあいいな。よろしく頼むわ」
「「「え」」」
勇者たちが揃って呆けている。
「じゃあ今日の所は私はこれで」
「ああ、期待してるぜ」
(という訳でティア様、魔王の居場所を教えて下さい)
『ホーリバス大陸とグリンク大陸をつなぐ山岳地帯に隠里があります。』
(流石ティア様。何でも御見通しですね)
こうして日々、神の偉大さを知る俺だった。




