3話
4月29日。思うところあって魔法の設定を少々変えました。
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ユスティアックス(仮)
・持ち主の感じる重量軽減。(ON/OFF)切り替え式。
・慣性の法則による荷重を衝撃波に変換可能。その衝撃波は近~中距離対応で飛ばせる。(ON/OFF)切り替え式。
・切味が良く丈夫
・持ち主の筋力増強(ON/OFF)切り替え式。
・柄が伸縮自在でポールアックスにもなる。
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なにこれすげぇ。マジ壊れ性能じゃないか? これリアルだからさ、そんなゲームみたいにヤバイ性能の斧とかあっちゃまずいからさ。
あ、ここゲームみたいな現実の世界だっけ? じゃあいいのか?
思考停止に陥った俺は両手持ちの大柄な斧をぶら下げて森の方へと歩く。アイテムボックスとか無いのかな。持って歩くのはちょっとな。
歩きながら脳内のステータスメニューを開いて魔法を表示させる。
魔法が一つも無かった。泣きそう。適正とか書いてるから使える事は使えるんだろうけれど。どうやって使ったら、というか覚えたらいいんだ?
「・・・・・・」
俺は斧を捧げ持ち、天を仰いで祈った。
「ユスティア様ユスティア様、どうかこの迷える子羊に叡智をお与えください」
『どうしました?私の可愛い信徒よ』
直ぐに答えてくれた。この女神様は善神様だな。
「お恥ずかしいことに、魔法の使い方が分かりません。どうやって覚えたらよいのでしょうか?」
『魔法は主にレベルアップなど、何らかの切っ掛けで覚えるものです。
イメージが重要ですので、アレンジもイメージ次第でできる様になります。人のを参考にもできますが、大前提として使いたい魔法の属性に適正が無いとステータスには反映されません。
覚えた魔法をデチューンして使い勝手を良くしたり、新しく一から作る創作魔法が現在の主流ですね。覚えたものをそのまま使うのは、よほど魔法の適正が高い人ぐらいのものです。
大きな町の研究室や図書庫には手習い程度の初心者用魔法の例が載っていますが。大した参考にはならないかと』
『あなたの場合はこの戦神ユスティアが魔法を授けましょう。神から授かる魔法は制御も楽で、強力なものが多いのですよ?
威力も制御も加護による補佐修正がかかりますからね』
神様から魔法を授かる! 何て中二的で素晴らしい響きなんだ!
・・・・・・こんな感想が想い浮かぶあたり、記憶をなくす前の事は思い出さない方がいいかもしれんな。
『あなたは適正に光属性があるので、三つほど授けましょう。ライトブラスター、レイブラスター、シャインブラスターの三つです』
全部ブラスターってついてるんですがそれは・・・・・・
『私は戦いの神ですよ? ライトは中間性能。レイは単体収束。シャインは広域殲滅です。うまく使いこなしてくださいね』
魔法のイメージが脳内に流れ込んでくる。
あ、ダメだこれ。完全にあかんヤツや。脳内に繰り広げられる魔法の発動イメージとその威力。マジやべぇ。おいそれと使う訳に行かんなこれ。
『それでは私の可愛い信徒よ。貴方の道行きに幸あらんことを』
勝手に締めくくって帰っちゃったよ。
・・・・・・取りあえず弱めの光で火でも着くか試してみよう。ついでに少し休もう。
その後、色々と試しながら、光、水、無の属性でそれぞれ魔法を作ってみた。
歩きながらの試しながらで、注意力は散漫だった割に危険も無かった。
水属性は飲み水が欲しかったので、ミネラルという魔法を作った。無属性はアイテムボックスを手に入れることに一応は成功したので、戦場に転がってたよさげなものを選別と看破の魔眼でもって窃盗した。
死人に口なし、である。悪いな、俺も生き残ろうとして必死なところあるんだよ。先行きだって不安だしさ。って誰に言い訳してんだろう。
光属性での攻撃魔法はいざという時に使うには少しばかり不安だったので、無属性の衝撃波を発するインパルスという魔法を作った。
最後に光属性だが、周囲を照らすボールを作り出すライト。間接照明みたいに柔らかいボンヤリとした光の粒子が漂うフィールドができるライトアップ。枯れ木に火をつける為に収束した光熱で燃やすミニレイの三つを作った。
光の属性はお手本があるから比較的魔力の操作がやりやすかった。無属性のアイテムボックスが思った以上に思い通りに行かなくて、収納した分の重量を体全体に感じる始末。
まぁ、女神様曰く俺に体は強化されてるらしいし、実際、鎧の2つ3つ位の重量なら余裕だった。今は使えそうな鎧一式と売ろうと思ってる鎧六つ。剣が3本にナイフが10本ほどだ。これだけあれば大丈夫じゃないだろうか?
何が、とは言わ無いが、何くれとなしに。いやわからんけれども。
それにしても全身が重い。森に向かって地を踏むあしも、心なしかめり込んでいる気がする。取りあえず筋トレだって思うことにしよう。
命がかかったサバイバルにトレーニングもくそも無いけれどな
あの後、適性の無い魔法は使えないのかとユスティア様に訊いたが、個人差があるそうだ。つまりやってみないと分からない。とのことだ。
因みに、ユスティア様からは愛称であるティア様と呼ぶことを許してもらった。もういっそ勝手にユーたんと呼ぼうと思ったのだが、もしかしたら神罰が下るんじゃないだろうかと怖くなったのでやめた。
とかなんとか考えてるうちに森に着いた。歩く方角はあっていたようだ。
道も無いような茂みの中を左斜め前に向かって歩いていく。
何か無いものかと看破を発動しながら辺りを見回しながら歩く。
と、反応があった。キノコだ、残念ながら毒キノコなので食べられないが、何かの役に立ちそうだ。アイテムボックスに突っ込んでおこう。
お、向こうには食べられる花とキノコが並んでる!
だんだん楽しくなってきた俺はそのまま森の奥深くへと進んでいくのであった。
近くに水の流れる音がする。微かな音を頼りに来たが、うまいこと川に辿りつけそうだ。心なしか、空気も潤っている気がする。
森の木々が大成長を遂げた末トレントという魔物になったらしかった。LV11のその魔物を、ティア様からいただいた斧で伐採したところ、またもやレベルが上がり今はLV9だ。
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御手洗 清
年齢16 男 LV9
称号:忘れん坊 迷子 魔獣殺し 戦女神の寵児
特殊:記憶喪失 適応補正 清めの手水 戦神の加護
魔眼:麻痺LV1 看破LV3 選別LV2
スキル
攻撃補正LV2 被ダメージ軽減LV1 回避補正LV2 欠損再生LV1 盾殴りLV1 戦場闊歩LV2 第六感LV2
魔法適正
・水属性(高) ・光属性(高) ・無属性(激高)・影属性(中)
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使いながら歩いていたからか、看破がLV3、選別のLVが2になっている。
きっと熟練度みたいな隠しパラメーターがあるんだろう。よし、これからもどんどん使っていこう。
というか、麻痺って何だろう。見ただけで麻痺するのかね? そのうち余裕があれば使ってみようかな。
さて、川についたので、一休みとしよう。
川の水で顔を洗い、ついでに喉をうるお・・・・・・さないでいいや。道中ミネラルの呪文で水は飲んでたから。
「ふうー」
ホッと一息。大きめの河原の石に座る。
まだ日は高いし、少ししたらまた歩こう。ティア様が言った通り、体力は以前の比ではないし。恐らくは、丸一日歩き通しても平気だろう、と思える。
徐に石で囲いを作り、そこに道中集めてた木の枝を組んで、ミニレイで火をつける。
アイテムボックスからシャドウウルフの肉を取り出し、腰に括り付けていたナイフで小さく切り分ける。
最後に、折れた鉄剣の柄側を取り出して火で折れた刃を炙る。
折れた鉄剣はフライパンがわりである。味付けもくそも無いから侘しいが。贅沢は言ってられないな。取りあえず、腹が満たせれば文句は言うまい。
ふと、思いついて海水を生み出せないかやってみた。焼いている途中の肉に直接ぶっかける。火が消えないように少しだけ。
ジュウッと音がして潮の様な香りと焦げるような香りが同時にした。成功だ。
早速一つ口に入れる。うま・・・・・・いけどなんか違う。そうだ、先に海水を焦がしてから肉を焼こう!
こうして、割と充実した味覚への刺激に歓喜する俺だった。
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御手洗 清
年齢16 男 LV9
称号:忘れん坊 迷子 魔獣殺し 戦神の寵児
特殊:記憶喪失 適応補正 清めの手水 戦女神の加護
魔眼:麻痺LV1 看破LV3 選別LV2
スキル
攻撃補正LV2 被ダメージ軽減LV1 回避補正LV2 欠損再生LV1 盾殴りLV1 戦場闊歩LV2 第六感LV2 機転LV1
魔法適正
・水属性(高) ・光属性(高) ・無属性(激高)・影属性(中)
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拙作に目を通していただき誠に、誠にありがとうございます。