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10話

 現在45階層。大部屋の只中。

「はぁ!」

「でぃやあ!」

「エアスマッシャー!」

 絶賛スケルトンの群れと格闘中。しかも――

「魔法来るぞ!」

 レンドが叫び俺が前に出る。

 リッチがこちらに手のひらを向け、一抱えはある火の玉を幾つも乱射してきた。

「シャドウアブソープ」

 俺の周囲を影のカーテンが囲う。

 魔法無効化の創作魔法で威力を吸収していく。巻き込まれるから他のスケルトンは射線を空けている。この間に――

「ミネラルウォーター」

 水で手を洗うことで清めの手水の浄化能力が働き両手が清められる。

「ウォーターガントレット」

 未だ漂う水を両手にまとう。

「ピュリファイ」

 更に、浄化の呪文で水ごと両手を浄化する。

「ふっ」

 操練魔闘法で気を両足に集中、脚力を向上。火の玉の魔法が途切れた一瞬で肉薄し、拳を振り上げる。

 ゴシャアッと音を立てて、浄化の力がたっぷり込められた拳はリッチを砂へと変えていく。

 足に気を通し筋肉を更に活性化させる。床を蹴った次の瞬間にはまた別のスケルトンが、リッチが、さらさらと砂に変わり、そのまま光の粒子になる。

3分足らずで30体はいたアンデッドをすべて葬っていた。

「大漁大漁。リッチの腕輪まであったぜ」

「嘘!? 見せて見せて!」

「リッチの腕輪ならこっちにもあるぞ、4個」

「「4個!?」」

「お、おう四個、あったぞほら」

 凄い勢いで振り返ってくる二人に腕輪をみせる。

「おかしいわ、リッチの腕輪はレアドロップなのに倒したリッチ全てがドロップした計算になるわ。これ一つで金貨30枚はくだらないのに」

 そんなに高価なのか、これ。

「ま、ラッキーだったわね。魔法の純粋強化に特化したアイテムだし、一人一個保持で後の二個は売りましょう」

「異議なし」

「俺も」

 レベル40オーバーのスケルトンが俳諧はいかいする45階層も、俺たちにとっては稼ぎ場だ。三人とも回復魔法を一度も使っていない。

 看破によってステータスを見てもまだまだ温存している魔法やスキルがある。

 レンドも看破の魔眼を使えるようだし、こっちのステータスはばれてるだろう。だのに忘れん坊とか迷子とかの称号に突っ込まないでくれる良い奴だ。

「4時過ぎ、か。今日はこのぐらいにしましょうか?」

 と、ヤミーが懐から出した時計を見ながら提案してきたので賛成することにした。

「そうだな、ポータルで戻ろうか」

 ◆

 本日の戦果。一人約金貨40枚、となった。

 二人は大喜びで帰って行ったが、俺はギルドに残った。なぜなら、また迷宮に潜る為だ。50階層にはティア様の用意した俺への試練が待っているはずだ。

 先に一人で試練を受けておかないと。二人は巻き込めない。

 そう思いながらポータルでまた45階層に戻った。

 40階層から下は実に様々な魔物が出てくる。レベルの高いゴブリンも然り。レベルの高いオーガなども居て、中には梃子摺てこずらされるものも少なくない。

 他にも出現する魔物だと、ディープブルー・ドレイクやディープブラック・ドレイクなどもそうだ。

 今の所、操練魔闘法の出力を上げる事でまだ楽に葬ることができている。

 ただ、今の所、というだけで。はたして50階層から先で通用するかどうかは疑問だ。50階層から先は別世界、らしい。

 ティア様の話じゃあ俺の先輩さんも52階層でギブアップしてるし、それが最深到達階層でもある。

 探索を続けていた俺は、遂に50階層への階段を見つけた。

 静かに階段を降りていく。と、そこはいきなり大部屋になっていた。

 そして部屋の奥には一つの影がある。

 ◆

ドラゴニュート LV:58

特殊;イグニスマスター

 ◆

 看破で読み取れたのは初めて見る種族名と恐らく炎による攻撃が得意であろう事。

 そして目視で分かった事は――

「ぎゅおおぉぉ!」

 どう見ても人に近い形をしたドラゴンであることだ。

「きゅいっ」

 首元から飛び出したコアがブレスを放った。

「ぎゃうっ」

 ワイバーンすら撃墜する光線はあっさりとドラゴニュートの腕を貫通した。

 だが次の瞬間には傷が塞がり始め、数秒で元通りになった。

「ぐうるるぅるる」

 ドラゴンがこっちに向かい重心を低くした。

 その瞬間久しく機能していなかった第六感のスキルが最大限に警鐘を鳴らす。

 俺が操練魔闘法を使いながら盾を構えるのと、奴が目の前まで接近するのとはほぼ同時だった。

 右の爪撃が盾に叩き付けられる。

 ギャリィン、と甲高い音を立ててそれを防ぎきると、同時に、視界の逆端が揺らめいた。

 すぐさま、公翼の盾の防御フィールドを発動、タワーシールド状にして正面に構える。

 直後、奴の口元で揺らめいていた火が放たれる。ファイアブレス。超高温の炎熱が襲ってくる。だが、流石は神器。公翼の盾はびくともしていない。

 今のうちに全身に魔練気を行き渡らせる。今まで使ってきた気と魔力の練り上げを最大限最高速度でおこなう。

 炎が途切れた一瞬でアイテムボックスから取り出した、ユスティアックスで一撃をお見舞いする。

「ぐぎゃるぅ」

ぼとり、と、奴の腕が落ちた。胴体を狙ったんだが回避されてしまった。

と、落ちた腕が燃え上がり消えてなくなり、直後に奴の傷口から炎が吹き上がり腕が生えて来た。

「どうやら物理攻撃は効果が薄そうだな。なら――」

 体表を流れる魔力を更に練り上げ、量を増やす。

「アイスマシンガン!」

 キュドドドドと音を立てて全弾着弾。効果のほどは――

「ぎゅがるあぁぁっ!」

よし、効いてる。傷口が直ぐには塞がらない!

「きゅいっ」

 コアがブレスを放って追撃している。今がチャンスだ、一気に片付けるつもりで行く!

「アイスマシンガン!」

 氷の弾丸が再びドラゴニュートの全身に叩き込まれるが、そこで予想していなかった事態になった。

 ドラゴニュートの体がほどけたように炎に変わったのだ。

 そして炎は後方へと流れていき、距離を空け再び実体となった。

 くそっ一筋縄じゃいかないか。流石に神の試練なだけはある。じゃあ、これならどうだ!

「アイスリベットっ」

「アクアショット、フリーズボム!」

「アイスマシンガン」

 乱射して動きを止めるその隙にユスティアックスにエンチャントする。

「アイスエッジ!」

 大漁の練り上げた魔力を強いイメージで強化した。これならいけるはず!

「うおおおお」

 練り上げられた気が、全身を駆け

巡る。体表を流れる練り上げられた魔力が斧に掛けられたエンチャントをより強化する。

 ドラゴニュートは絶え間無く打ち込まれる水や氷の弾丸に足が止まっている。先程から炎の壁を作りだし、それでしのいでいる。

「いくぞ!」

 一歩を踏み出した足は石畳を割り砕き、その身は音速の域へと達する。衝撃波ソニックブームが部屋の中をほとばしる。

 一瞬でドラゴニュートの眼前に現れた時には決着はついていた。音速で振るわれた斧は炎の壁を吹き散らし、その四肢と首を分断し更に頭と胴体は縦に真っ二つにした。

「最後に喰らえ、アイスマシンガン」

 撃っている間にも、すでに光の塵となっていっている。


「やっべー、しんどい。」

 ここまで操練魔闘法を、肉体を酷使したのは初めてだったので、一気に疲れた。

『セイ。私の可愛い信徒よ。よくぞ試練に打ち勝ちました』

「ああ、ティア様。俺やりましたよ! ちょっと梃子摺てこずったけどなんとかなりました!」

『ええ、見ていましたよ。思ってた以上にあっさりと仕留めましたね』

「本気出しましたから! 久しぶりに」

 因みに前に本気出したのはダウソキングの時だ。慌ててたから全力出した。

『それでは加護と祝福を授けます。加護は能力値の底上げ。もう祝福は炎の祝福です』

「炎の祝福?」

『念じるだけで炎を自在に操れる力です。使い方は実戦で慣れて下さい』

「なんだか凄そうですね。今日はもう戦う気力はありませんが、明日試してみます」

 ◆

御手洗 清 (セイ)

年齢16 男 LV51

称号:忘れん坊 迷子 魔獣殺し 戦女神の寵児 戦女神の信徒 冒険神の信徒

特殊:記憶喪失 適応補正 清めの手水 戦神の加護 冒険神の加護 炎の祝福

魔眼:麻痺LV3 看破LV5 選別LV3 暗視LV4(神)

スキル

攻撃補正LV21 被ダメージ軽減LV13 回避補正LV17 欠損再生LV1 盾殴りLV10 戦場闊歩LV19 第六感LV7 操練魔闘法LV13(神)

魔法適正

・水属性(高)・光属性(高)・雷属性(中)・無属性(激高)・影属性(高)

使い魔:コアトル



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