2話
2話です。はたして目を通してくれる方がいらっしゃるかどうか・・・
日が傾いてきた。もう多分午後2時はすぎてる頃じゃないだろうか。
気が付いたら動かなくなっていた魔物チックな獣は現在発光している。
空気に解けるようにして光の粒子になっている。何だか解ける様な印象をうける。
半分は地面にもう半分は俺の体に流れ込んでる。これは多分あれだ、経験値的な奴だ。これできっとレベルが上がるんだ。
早速ステータスを見て見よう。
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御手洗 清
年齢16 男 LV7
称号:忘れん坊 迷子 魔獣殺し
特殊:記憶喪失 適応補正 清めの手水
魔眼:麻痺LV1 看破LV2 選別LV1
スキル
攻撃補正LV2 被ダメージ軽減LV1 回避補正LV1 欠損再生LV1 盾殴りLV1 戦場闊歩LV2 第六感LV2
魔法適正
・水属性 ・光属性 ・無属性
◆
やっぱり上がってる。それと称号と魔眼が一つづつ増えているな。魔獣殺しか。カッコいいな。中二心がくすぐられる。選別ってのは何を選別するんだ?
さっきみたいに脳内で選択とか詳細情報を見れたりってどうやんだっけ?
えーと。お、出来た。
選別の魔眼:同種、同質のものを比べてより良いもの見つけられる。
だそうだ。シンプルだな。
『あのー?』
あ、システムボイスさん。こんちわっす。
『私はこれでも女神です。システムボイスではありません』
すんませんチュートリアルの女神様。
『先程のは貴方が生き延びれるように機転を利かせたまでです。ここは別にゲームの世界ではありませんよ?』
『かつてこの世界に迷い込んできた者たちが、チュートリアルと言えば生存する可能性が高くなる。と言っていたのでそうしたまでです』
それは先人に感謝しないとな。いやマジで。気持ちがあっさり切り替わって自分でもびっくりしたからなぁ。
つまりは現実の様なゲームではなくゲームの様な現実という訳か。成程な。
『概ねその解釈で間違いありません。既にお察しの通りです。ここはあなた方の言う、剣と魔法のファンタジー世界です』
『あなたのように他世界から人が紛れ込むことはそれほど多くも無いですが、さりとて少ないわけでもありません。前例はあるけれど、情報はそろっていない。という感じでしょうか。
成程。解りやすいな。 ところでこれからどうしたらいいと思います?
『東側に森が見えるでしょう? 先ずは森を目指して、ついたら森の中を向って斜め左――北東に進めば川があるはずです。川は森の中の湖に流れ込んでいますが、上流に上って行けば村があります』
それ、今日中につきますかね?
『可能だと思いますよ? 今のあなたは能力値がかなり高いですから。歩き続けても疲れにくい体になっているし、走ればもっと早く着くでしょうね』
成程。チート能力を授けてくれえた訳ですか。
『いいえ、あなた自身が進化した結果です。
世界と世界の境界を越えて肉体と魂がこの世界に適応して、進化したのです。そうでも無ければ異世界に渡るなどという所業、まず成し遂げられません。以前のあなたと比較した場合相当強化されているはずです』
なにそれ、としか言えない。何か変わった気もしないし。まぁ、少なくとも生きていくのに有利な能力があるわけだ。それだけ分かれば充分だな。
それとも俺は何か凄いのだろうか? いや、驕るまい。どんなに強くても一瞬の油断や隙で敗れるもんだ。慎重に行こう慎重に。そう、以降は慎重に行くべきだろう。
『まあ、その衝撃というか後遺症であなたの場合は記憶が失われているようですね』
「ああ、これそういう事なんだ。記憶喪失って」
どおりで、自分が空っぽというか、空虚な気分な訳だ。
『この世界にはスキルがあり、魔法の他に練気功、魔錬気功というのもあります。そちらはスキルとは関係ない力なので一からの精進が必要ですよ』
流石チュートリアルの女神様。序盤の情報はばっちりですね。
『それはもういいですから・・・・・・』
呆れられてしまった。なんか良いと思うんだけどなあ、チュートリアルの女神。語感的に。
「取りあえず女神様。俺ってこの世界で言葉は通じますかね? それとその錬気功とか魔法でのアドバイスとかありませんか?」
『言語に関しては、不思議パワーで何とかしてあげます。貴方がた異世界人はこの世界に繁栄と時にトラブルを巻き起こします。それはこの世界の停滞や腐敗を防いでくれます。貴方がたは存在を望まれているのです』
それは素直に有り難いな。ありがとう女神様。あと先達の方々。
『ところで、さっきの魔獣がいた辺りを見て下さい』
言われた通りに見て見る。
黒い獣の死体が消えた後には毛皮の様なものが落ちてた。
『ドロップ品です』
落し物かよ、マジでゲームだな。
何だろう? 拾ってみると、毛皮のロングコートだった。同じ毛皮の手甲とグリーブも突いている。下にデカイ葉で包まれた肉もあった。そういえば寒いよな、今。
『看破と選別を使ってみて下さい』
言われるがままに使ってみる。と。
<シャドウウルフのロングコート>
防刃、坊魔に加え耐冷性能に優れた逸品。
<シャドウウルフのばら肉>
食べると影魔法の適正が上昇する。レア。
「・・・今一番気になるのはレアが生を意味するのか希少度を意味するのかだな」
『そこですか? レアリティの方ですよ、念のため』
『シャドウウルフは魂を自身の影に封じているので、本体である影を魔法で攻撃するか、魔練気功でダメージを与えるかが一般的な対処法ですね。今回倒せたのはそのメイスのおかげでしょう。元の持ち主に冥福でも祈って差し上げてはいかがですか?』
そういわれてメイスに看破を使ってみる。
<浄化のメイス>
神官の手により聖別されたメイス。魔物に対する浄化特攻の追加効果がある。
成程、この浄化のメイスが無かったら、さっきので死んでたかもしれないな。このメイスの元の持ち主さん、ご冥福をお祈りしていますよ。
攻撃が逸れて地面を叩いたのは偶然だったけれど、そのおかげで影に攻撃が当たって、しかも浄化の力があるメイスだったから倒せたのか・・・・・・
『因みに選別の方ですが対比することで、どちらが良いとか、こちらのここが優れている、とかそういったことが分かります』
親切にありがとう女神様。後で使ってみるよ。。
『それでは、私はこの辺で。御用の際は瞑想か祈祷でお願いしますね。私の名はユスティア。女神ユスティアをどうぞ宜しく』
そんな、選挙カーみたいなことを言っていきなり去ってしまった。それ以降に読んでもウンともスンとも言わない。大事な用があるわけでもないし良いけれども。
やっぱり、神様だから信仰とかが大事なのかね? だったら、祈っとくか。
ちょっと位なら親切にしてもらったお礼に祈りを捧げてみよう。日本式で。
正座して、空に向かって土下座する。
ッポーン
「なんだ!?」
カン高い音が鳴り響いた。と思ったら。
『おめでとうございます、そしてありがとう御座います! 信仰の力が一定値を超えたため、私の力が増し、見返りに貴方に報酬をあげちゃいます!』
なにそのどっかのゲームみたいなシステム!?
『今回はこの、手ごろなサイズの斧を差し上げちゃいます! あ、申し遅れましたが、私、戦神なんですよ。いやー、早くもこんなに感謝してもらえるなんて、私も嬉しいですよ~』
キャラ崩れちゃってんよ戦女神さん。いやいいけど。
と、いきなり目の前に光り輝く球体が出現し、一瞬で斧の形に収束した。
浮いたままのその斧を俺は掴む。ずっしりと重い。どことなく頼もしさをかんじた。神々しさも、だ。
『勢いだけで創造っちゃった戦斧なんで、名前は取り敢えずユスティアックス(仮)とかでいいですかね?』
センスはおっさんかよ。
拙作をお読みいただき、誠にありがとうございます。