scp短編集 scp-249 どこだかドア②
普段大家さん以外あまり近づきそうもないアパートの側面に、そのドアはあった。
「これですか。」竜一は砂色のアパートの外壁に取り付いている木製の色褪せた白いドアをまじまじと
見つめた。所々白いペンキが剥げ、木の下地が見えている。竜一がドアノブを回しドアを開けようとするが開かない。押しても引いてもビクともしなかった。
「ね、開かないでしょ。鍵穴も無いのに変なドア。」大家さんが口をすぼめた。
「なんでしょうねこれ。ていうか大家さん。」竜一はドアを見て疑問に思った。
「このドアですけど、結構昔からあるんじゃないですか?なんで今まで気にならなかったんです?」
「それが本当に分からないのよね。……あたしも年なのかしらね。」んふふふふふと笑った。
「それにしてもなんで開かないのか気になるわね、ちょっと管理室とか探してみるわ。何か手掛かりが
あるかも!」大家さんは管理室へと向かった。
竜一は困惑した。なんなんだこのドアは。何の為に付いているんだ?なんで大家さんは気づかなかった?そしてこんなにボロボロなのになんで開かないんだ!?竜一が腕を組み下を向いてブツブツ考えていると、
ガチャ
ドアの鍵が開いた音がした。