鉛筆3
よお、久しぶりだな、俺だ、HBの鉛筆だ。覚えていてくれたか?
終わったな、センター試験。持ち主は体調万全で受けたよ。
センターはマーク式だから、もちろん俺が大活躍!……って訳じゃなかった。持ち主は俺と後輩二本の他に新しい二本を用意した。合計五本の鉛筆でセンターに挑んだ訳だ。で、奴が俺を使ったのはリスニングの時だけだったんだよ、ちくしょう。よりにもよって一番マークする数が少ないので使われるって何なんだよ……。
悔しかったが嬉しいこともあった。持ち主が使ったのは俺たち鉛筆だけだったんだ。持ち主は一応シャーペンシルを二本用意していたが、計算の時にはシャープペンシルを使う、なんてことはしなかった。シャープペンシルたちはずいぶんと暇そうだった。まあ、模試の時もほとんどそうだったんだけどな。持ち替えるの面倒だし。持ち主だけじゃなくて、隣の席のどこの誰だかもわからない奴も同じようにしていたのもの嬉しかった。
俺は去年に比べるとだいぶ短くなった。それは嬉しい。でも残念なことに、まだまだ使える長さだから大学に持っていかれることは決定だな。……できればここで役目を終えたかったな。ゴミ箱はまだまだ遠いようだ。
今まで愚痴を聞いてくれてありがとう。だいぶすっきりした。もう聞いてもらうことはない……いや、もしかしたらあるかもな。ま、今日はこのへんで。じゃあな!