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バスター・プレイヤーズ  作者: 16104
ファントムシップ
29/30

第一部

大型のビルが並ぶその通りは基本、人通りが多いい。特に朝方などはサラリーマンも多く、さらに多いものだった。


そんな歩道を歩く50代ほどに見える男性はカツンカツンと杖で地面の確認をしながら前に進んでいく。


辺りを通る人はその男性に奇異の視線を送るがその隣を過ぎるにあたり、まるでその存在を忘れたかのように自分たちの日常に戻ってゆく。


しかし男性にはその奇異の視線を気にとめている様子はない。何故ならそれが彼にとっての日常であるからである。


男性はふと杖の動きを止めた。そして辺りを見渡す。


そこで男性はまた杖を叩いた。


「おい。キミ。」


男性は車道の方を走る自転車に乗った高校生に語りかけようとその太い声を上げた。


しかし高校生の方はそれに気付かず簡単に男性の横を通り過ぎてしまう。


男性は語りかけるのを諦め、また歩を進めた。


ドォーン!!


何かが何かとぶつかる音がビル群に反射した。


そして男性の遠くからは「救急車を早く!」やなんだなんだとその光景にそそられた野次馬たちが殺到していく。


しかしその音は既に男性には届いていなかった。男性の耳に届いているのは目覚ましのあの脳に直接響いてくる音だけだ。


ピリィィイイ!!


男性は特に動作を入れることはなかった。


何故なら彼には目が見えていないのである。携帯を用意していたとしても肝心の画面が見えないのでは意味がない。


しかし男性は慌てることはなかった。杖を叩き安全そうな場所を目指す。


「ここでいいだろ。」


男性はそう言うととあるビルの一角で佇んだ。


その光景を目撃している人はもういない。何故ならつい先ほど起こった非日常が彼らの渇いた刺激を潤しているからである。


人間は日々、非日常を求めて生きているものなのだ。


『クエスト開始』


脳に直接響いた声が男性の意識を仮想世界へと誘っていく。


そしてその非日常こそが男性の日常だった。





「なあキリ、知ってっか?」


「……なにがだよ。」


自分の机に突っ伏し、俯いていたキリヒコに声を掛けてきたのは同じクラスのスポーツ系坊主、柏木騰貴〈かしわぎとうき〉だった。トウキはいつものからかい口調でキリヒコに接してくる。キリヒコもそれと同じようにいつもの気怠い声を投げかけた。


「いや、なんでも今朝、A組に転校生が来たらしくてな?それで一度顔を見に行かねーかって誘ってんのよ。」


キリヒコはぼーっと虚空を眺めてから言った。


「あんまり興味ないな。ソウサクと行けばいいんじゃないか。」


「あれ?お前知らねーのソウサクは今日、休みだったろーが。」


「本当か?」


キリヒコはソウサクの席の方へ体を向けた。確かにトウキの言うとおりそこにソウサクの姿はなかった。


「俺がメールしたら風邪引いたんだって返ってきたよ。は、文化部はこれだから………。」


「テメー。それは俺への当て付けじゃねーよな。」


睨みを利かせる俺の視線を回避しながらトウキは続ける。


「とにかくだ。お前は行かないんだろ?」


「さっきから言ってるだろうが。」


ふっ!とトウキは髪のない髪をふさっとさせようとし、空ぶった拳を強く握り締めた。その目にはどこか切なげな雰囲気がある。それでも構わずトウキはカッコ良くキメた。


「あとで見せてくれって言っても、見せてやらないぜ。」


キーンコーンカーンコーン、ガララララ!!


扉を開けた先生と胴に手を当てた生徒の視線が交差する。


「そうだな。反省文を見せられても俺困るわ。」


教室は一気に静まり返った。






そんな朝の一時は過ぎていき、昼休みとなった。


キリヒコはトウキと共に机をつけて昼ご飯を食べていた。トウキはコンビニのパンとコーヒー牛乳で、キリヒコはお弁当である。


「くそー。俺も弁当食いたい!パンは確かに旨いけど、足りないんだ!なんかこう白い姫様と色とりどりの小人的な何かが!」


「………素直におかずよこせって言えよ。」


キリヒコは溜め息を漏らしながらもトウキの空の袋の上に自分の弁当のおかず達を乗せていった。


「サンキュー!」


感謝がちゃんと籠もっているのか不明な一文を言いながらトウキはおかずにがっついていく。


「………そういえば。クラスに残ってるメンバー少ないよな。」


周囲を見回しながらキリヒコは呟いた。トウキはその言葉に反応を示す。


「だから今朝言ったろ?転校生だよ転校生。結構なイケメンらしいぜ?金髪で鋭い目つきらしい。」


「へー。」


「いや、人から情報もらっといてその反応はどうかと思うぞ?」


ガララララ!!〈ビクッ!!〉


教室のドアに敏感に反応したのはトウキだ。流石に朝からあれだけショッキングな事件が起きたのだ反応するなと言う方が難しいのかもしれない。


「あ、あれ。」


つい数秒前までビクついていたトウキがドアの方へ目を向けてぼーっとしている様子がキリヒコの目には映った。


そんなトウキの視線を不審に思いキリヒコも食事の手を止め、踵を返す。


ドアを開け、中に入ってきたのは金髪の男性だった。身長はトウキと同じぐらいで、その鋭い目つきは獣のそれを彷彿とさせた。


男は前に出た長い髪を靡かせ周囲を見回している。そして男は目標を見つけたかのように歩き出すとキリヒコの前でその足を止めた。


「なにか俺にようですか?」


キリヒコは男に不審な目を向けた。


男はその様子に対した関心を持たず、閉ざしたままの口を開いた。


「久し振りだな。キリヒコ。」


「はぁ?」


キリヒコは素っ頓狂な声を上げた。


「おい。キリ、そいつ知り合いなのかよ。」


トウキも興味有りげにキリヒコを問い詰めてくる。しかしそれでもキリヒコには彼と出逢ったという記憶はなかった。


━━━誰だっけ?本当に覚えてないんだが………。


そんなキリヒコの心の声を聞き取ったのか、男は浅い笑いを一つすると少しテンションの上がったような声で告げた。


「ははは、キリ、俺だよ俺、朝霧浩助〈あさぎりこうすけ〉。忘れたか?」






時刻は放課後となった。運動部以外の生徒は素早く支度を済ませて帰宅を始めている。


キリヒコはそんな生徒達の後ろ姿を見ながら校門の前で人を待っていた。


「遅れて悪いな。」


軽く手を上げ謝罪するコウスケにキリヒコは「別に」と素っ気なく返した。


帰宅途中、キリヒコはコウスケと会話をするようなことはしなかった。今頃、話すこともないというのも理由の一つではあるが、一番の理由としては。


━━━「お前がさなちゃんを…………!!」━━━


この言葉が今でもキリヒコの胸の奥に突き刺さっているからである。


「ここで話そう。」


キリヒコがそう促したのはミレイと話したあの公園だった。二人揃って公園のベンチに腰を掛ける。


「…………。」「…………。」


沈黙が流れた。コウスケはベンチに堂々と座り込み虚空を眺める。キリヒコは手を組み下を向きながら言葉を述べた。


「………コウスケ、俺はお前に………。」


「やめようぜキリヒコ。そんな話は。」


キリヒコの声を遮ったのはコウスケだった。コウスケは哀愁を帯びた目をキリヒコへと向ける。


「その話をしたところで結果は変わらない。それに俺はそんな話をするためにお前に逢いにきた訳じゃないしな。」


今度はキリヒコが怪訝な表情を浮かべた。


「俺に逢いにって………コウスケ、お前うちの高校に転校してきたんだよな?」


「ああ、そうだぜ。俺はお前と逢うためにこの高校に転校してきたんだ。」


キリヒコの顔がさらに歪んだ。


「まあ、それはいいだろ。あっちで逢えばいろいろ話せるし、それに作戦だって立てられる………だが、これだけははっきりさせておきたい。」


コウスケは緩んだ目から一転してキリッとした真剣な目つきでキリヒコを捉えた。


「お前、さなちゃんが生き返るって言ったらどうする?」


「………な、何言ってんだよお前………。」


「俺は真剣に聴いてんだ。答えろよキリヒコ。お前はさなちゃんが生き返るって言ったらどうするんだよ。」


コウスケの驚きの発言にキリヒコは声が出なかった。さなちゃんが生き返る。それは決して叶わない願いなのだとキリヒコ自身が棄てていた願いでもあった。


そして、その不可能をコウスケは実現できるものだと言っているのだ。キリヒコが不審を抱くのも無理はない。


キリヒコはあくまで平静を装いながら話を進めた。


「もし、もし本当にそれが実現可能だとしてもだ………お前は、その方法に確信、信頼を持っているのか?」


「………。」


「だとしたらやめた方がいい。そんな訳の分からないものに振り回されるなんて間違ってる。」


コウスケはそれを聴くと顔を伏せてしまった。キリヒコはそれを見て安堵と残念な気持ちが折り重なった複雑な息を吐く。


そこでコウスケは口を開いた。


「………それが、お前の答えか?」


その声は重く低い。怒りに震えた声音は、キリヒコの緊張感を引き立たせるには十分だった。


「………だったら。」


コウスケはいつの間にか手に握られたスマートホンを操作していた。


少し距離が開いていたため字はよく視ることができないが、その中の文字にMBと記載されている気がした。


キリヒコの知っている中でMBと入るモノは一つしか思い出せない。


最悪の事態だけは回避したいというキリヒコの願いが自分自身の口から放たれた。


「コウスケお前、何を………!」


「勝負だキリヒコ。」


ピリリリリィィ!!


『ゼロ様へ対戦の申し込みです。なお、承認は結構ですので5秒以内に安全な位置へ移動して下さい。』


そんなキリヒコの願いを引き裂くようにあのメロディーが鳴り響いた。


「くそっ!なんでなんだよ!コウスケ!」


コウスケは気を失ったかのように動かない。そして、手に握られていたスマートホンの画面にはプレモンMBの文字列が見える。


『マイページへ移転します。』


そこでキリヒコは気を失った。





目が覚めた時、やはりゼロは何もない真っ白な空間にポツンと立っていた。


いつもならここでゼロのナビであるミイナあたりが声をかけてきそうなところであるが、今回はそれがなかった。


代わりに聞こえてくるのは血を熱くさせるあの力強いBGMのみだ。


さらにゼロが正面に見据えたディスプレイから声が流れる。


『コンバンハ。私は今回のディーラーを勤めます。ブリでーす。』


ディスプレイ上に映った仮面の人物は変成器を使っているもののその口調から女性特有の声帯を感じさせた。


『両プレイヤーの確認が取れたから、まず今回の対戦フィールドを決めちゃうね。』


ディスプレイがルーレットの画面に変わり、すぐさまルーレットがスタートした。


ルーレットはその勢いを失っていき、対戦フィールドを決定する矢印は風のところで止まった。


『今回のバトルフィールドは風のステージだね。』


声の終了と同時にゼロの真上の空から光の輪のようなものが落ちてくる。


その輪がゼロの体を通り終わると見えたものは辺り一面の若草たちだった。風が吹き荒れ、木の葉が舞う。


ゼロもその風の煽りを受けて倒れそうになったがなんとか踏みとどまった。


━━━よりにもよって風のステージかよ。


風のフィールドの特性は突然巻き起こる突風による妨害だ。さらに舞い散る木の葉たちも目隠し代わりとなり、近接戦を行うプレイヤーには相性の悪いフィールドとも言えた。


『では、バトル開始5秒前。』


仮面の女性がカウントの開始を始める。


ゼロも周囲を見渡し敵の位置の確認に入った。


『スタート。』


ゴツッ!!


ゲーム開始そうそうゼロは背後からの奇襲を受けた。ゲームのルール上、プレイヤーはゲーム開始までデッキからカードをドローできない仕組みとなっているので致命傷とはならないが、受け身のとることのできなかったその一撃は確実にゼロの肉体を削る。


さらに突風が吹き荒れ、ゼロはあらぬ方向へ転がされてしまった。


『weaponカード!!』


強風でありとあらゆる音が聞き取りづらい中、その音だけはゼロの耳へと届く。


ゼロは体勢を整えようとするが、風の勢いに負け身動きの取れない状態となっていた。


「ゴハッ!」


そんなゼロに追撃を仕掛けてきたのは右手にカメラを持った氷属性のプレイヤーだった。


氷属性プレイヤーの右足の蹴りがゼロの顔面にミートし、さらにゼロは風で遠くまで転がされていく。


転がされる最中で、風はやっと穏やかさを取り戻し、ゼロはついに反撃のチャンスを得た。


『skillカード!!』『weaponカード!!』


鳴ったのは同時だった。体勢を立て直しカードをスキャンしたゼロの対面に一人の氷属性プレイヤーが佇む。


氷属性プレイヤーは言った。


「お前の負けだ。キリヒコ。」


「やっぱりお前、コウスケなのか?」


疑問をぶつけるゼロに対しコウスケはやれやれと言った調子で返してくる。


「コウスケか?なんて聴く意味ないだろ。それにこれはバトルだぜ。お前はいちいちプレイヤーたちに本名を聴くようなことしてるのかよ?」


「………っ。」


「そういうことだ。今の俺はお前の敵、お前も今は俺の敵だ。」


あっさりとそう切り捨てるコウスケにゼロは声を上げた。


「なんでなんだ?お前もこのゲームをやっているのなら知ってるんだろ?このゲームは人殺しのゲームだ。負けた奴は本当に死ぬ。そういうゲームなんだって!」


「んなの知ってるよ。」


コウスケの発言にゼロは歯を軋ませることしかできない。


「でも、お前も変わってるよな。」


「……なにがだ。」


「このゲーム内で聴いたぜ、お前だれにも殺されず、だれも殺さないからって『最強最弱のプレイヤー』とか一部で言われてるらしいじゃねーか。でもな、そんなもん俺から言わせれば馬鹿としか言えねーよ。」


━━━そんなこと?人を殺す、殺さないことがそんなことだと?


コウスケのその発言にさすがのゼロも憤りを隠すことができない。


「………コウスケ、さすがのお前でもその発言は許さないぞ。」


「ハッ!言ってなにが悪い。お前はさなちゃんを護れなかった。そんなお前はこのゲームの存在を知って、どうせ罪滅ぼしのためかなんかでプレイヤーを殺さずにいるんだろ?」


━━━違う!………俺はそんなんじゃ、そんな理由で闘ってなんかない!


「……コウスケェ!!」


ゼロは刀を構え、平原を疾走した。互いの距離はそう離れておらずゼロはすぐにコウスケを射程圏に捕らえた。そんなゼロにコウスケも叫ぶ。


「………俺は、さなちゃんの死を理由にしているお前が許せねーんだよ!」


ゼロの刀がコウスケの左腕目掛けて振るわれた。幾度とない死線を潜り抜けたゼロの一撃はしかしコウスケにすんでのところでかわされる。


次はコウスケが左腕をゼロへ向けて放つ番だった。


速度的に見ればその拳は速いという部類に入っていたであろう。しかし今のゼロにはその攻撃は通用しない。


ゼロは磨かれた反射神経を駆使し、これを拳の触れるすれすれのところでかわそうとした。


しかし、突然吹き荒れた突風がゼロの側面部を叩き、ゼロの体を数センチ単位でズラす。


コウスケの拳がゼロの顔面にヒットした。


受け身を取れず、逆九の字に体を曲げるゼロを風は容赦なく吹き飛ばしていく。


その煽りを受け転がされるゼロの腕から刀が落ちる。


どうにか体勢を立て直したゼロは自分の顔に片手をあてながらふらふらと立ち上がった。


「だから言ってるだろキリヒコ。この俺の武器とスキルが揃った時点でお前の負けは決定してるって。」


コウスケは手に持ったカメラをこちらに見せびらかす。


「だがその武器。明らかに攻撃系じゃないだろ?さっき俺を殴った時、それを使わなかったのがいい証拠だ。」


ゼロはデッキに手を起き、カードを引いた。


「ああ、確かにそうかもな。だけど今はこれがある。」


コウスケのもう片方の手に握られていたのはゼロの武器であった刀だった。


「……これでお前を倒せる。そしてお前は俺に一回も攻撃を当てられずに死んでくんだよ!」


コウスケはカメラのシャッターを切った。


パシャっと言う音とともにカメラの下部から一枚の写真が流れでる。


コウスケは素早くそれを引き抜き、自身の右目にその写真を向けた。


写真を離したとき、コウスケの右目には水晶を中心としたヒビのようなものが展開されていた。


『skillカード!!』


ゼロは紅い瞳をコウスケに向けながらコウスケへと向かっていく。


両の拳を握り締め、ガードを堅めながら攻めてくるゼロに対し、コウスケは特に動く様子は見せなかった。


「右足の蹴り。」


コウスケの発したその言葉にゼロは一瞬たじろいだ。何故なら、ゼロが今まさに攻撃を行おうとしていたのが右足からの蹴りだったからだ。


ゼロは瞬時に攻撃方を変え、左拳に力を入れていく。


「左拳。」


「………っ!?」


またもコウスケに言い当てられたゼロだったが、流石に二回目の攻撃は変更できない。


コウスケの胴を抉るために放たれた一撃であったが、コウスケは抜群の反射神経で軽々とゼロの拳を回避した。


コウスケは刀を上段に構える。ゼロもそれを見やり重心を低くして相手の懐に飛び込もうと試みたが。


ゴスッ!!


コウスケの右膝がまたもゼロの顔面を捕らえた。


よろめくゼロへコウスケは刀を振るう。その動きに迷いは視られず、確実にゼロを倒そうという意志がゼロ自身に伝わってきた。


ゼロはこれを意識を朦朧とさせながらもサイドに逃げることでかわした。しかしその逃げる先をよんでいたかのように放たれたコウスケの左足がゼロの胴ごとゼロを地面へ転がしていく。


「くっ!」


ゼロが片腕を付いて正面を向いたとき、その先にあったモノは刀身の黒い刀だった。


ゼロは一瞬、体をぶらして回避を試みようとしたが、その刀身は決してゼロを離さない。


「お前の負けだよキリヒコ。」


コウスケの冷たい視線がゼロを射抜く。ゼロは身動きの取れぬまま敗北を受け入れるしかなかった。


沈黙し目を閉じるゼロだったが、刀は一向に振るわれる気配はない。


ゼロはゆっくりと目を開け、再びコウスケに視線を送った。


「お前を殺すわけねーだろ。バーカ。」


コウスケは刀を遠くへ投げ捨てるとこちらに手を送った。


ゼロは従順しながらもその手を取り立ち上がる。


「………どうしてだ。お前は俺のこと恨んでいるはずだろ?」


ゼロはそう声を潜めながら言った。コウスケもその質問に一瞬、顔を伏せたがすぐにこちらを向き直ると落ち着いた声音をゼロに送る。


「ああ、俺はお前を恨んでる……憎んでいるさ。でも、さっきも言っただろ。俺はお前と話し合うためにここに来たって………。」

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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