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バスター・プレイヤーズ  作者: 16104
モンスターファーム
21/30

第七部

━━━ここは?


男の視界に入ったのは周りを崖に囲まれているだけというなんとも殺風景な場所だった。


体は全くと言っていいほど動かすことはできない。もちろん首も同様で未だに視界は固定のままだ。


━━━俺はいったい


しかし、自分の意志とは関係なく首が方向を下へと向けた。強制的に向かされたのとも違う奇妙な感覚に男は眉を吊り上げた。


だが、そんな悠長な考えも一瞬にして止まった。


目の前に倒れていたのは体がボロボロの深い火傷した男だった。焼けただれた箇所からは血が滲み出ている。


「レ…オ……。」


地に這い蹲り、無属性のプレイヤーは両手に土を握り締める。


今にも立ち上がろうとしたプレイヤーの姿に自分は何を考えたのか脚を上げ、狙いを定めるかのように宙を泳がした。


ダァン!


自分の体が目の前のプレイヤーの肩を踏み潰した。


男は呻き声を上げ、また地に突っ伏す。


自分の口からは自分のものと想われる声とオクターブ違いの二つの音声が重なり合うように発せられた。


『……倒ス。』


何かの呪いのように呟かれるその言葉はどこか自分の内に秘めていた感情に似ている気がした。しかし、その内容はどこか大切な部分が抜けていて、まるで目的を失ったまま体だけが動いているような感覚を男に感じさせる。


「……ゼロ。」


この言葉は相手に伝わることはなかった。何故なら既に自分の口からは別の言葉が出ていたからだ。


「━━━倒ス。」


これはそんな闇に呑まれてしまった男の一時の感情に過ぎない。何故なら彼もこの後すぐに気を失ってしまったからである。


ゲームは続いていた。





ゼロの刀がレオの左肩に迫る。右腕は弾かれ、左腕も到底ガードできる距離にはない。


この一撃が決まり、左腕さえ落とせばレオの戦闘力が大幅にダウンすることは間違いなかった。


ガギャン!!


そんなエフェクトを発しながらゼロの刀がその刀身の半ばから砕け散る。


その攻撃を可能にしたのはレオの左手から出現した黒い棒だった。


「っな!?」


レオが黒い棍棒を縦に振るった。手首の力だけで振るわれた棍棒は風切り音を鳴らしながらゼロの脳天を狙ってくる。


ゼロも素早い手捌きで刀を横に向けた。ゼロは真っ正面から飛んでくる黒い塊の側面に自身の右拳をその柄ごとぶつける。


ゼロの目の前を通っていく棍棒はその勢いのまま地面にぶつかり。


ゴシャン!!と小さなクレーターを形成した。


「……っ!!」


次の攻撃は横なぎの一撃だった。


レオは弾かれていた右腕に握られいる鉄の凶器をこれまた脳天目掛けて振るった。


ゼロはこれを屈むことでよけたが、これは失敗だったのかもしれない。


ブオン!!


再び風切り音が一つ聞こえた。


ゼロは腕で咄嗟にガードするもその黒い棍棒のあまりの重みにより簡単に吹き飛ばされてしまった。


━━━単純な力じゃ、もしかしてあの緊急モンスターよりも強いんじゃ………。


ゼロは受け身を取り正面を向く、既にそこには追撃を狙ったレオの棍棒が迫っていた。


ゼロはこれを横に転がり回避する。しかしその動きをよまれたように跳ばされた蹴りがゼロの腹を抉った。


肺の空気が吐き出され、地面を滑るゼロだったが、その動きが唐突に止まった。


息を荒く吸いながらもゼロは背後にぶつかったものに視線を向ける。


ゼロの眼が見開かれた。


そこに寝ていたのは無属性の少年カオスであった。体に火傷を作り、今は気を失っている。


そこに迫ってきたのはやはりレオだった。両の手に握られた棍棒を上段に構え、ゼロとカオスを狙ってくる。


情けはなかった。ただ、相手を倒すことが今のレオの存在を支えているのかもしれない。


「━━━倒ス」


無情の声はゼロの耳に届いた。


二本の棍棒に対し、ゼロは折れた刀一本である。相対し合えば答えなど見えていた。しかしゼロは逃げることはなかった。ましてやかわすという概念もない。


刀を盾にし、攻撃に備える。


「やめろ!レオォォォ!!」


均衡などはなかった。ただ圧倒的暴力によりゼロが飛ばされただけだ。


二撃目が迫ってきた。しかしその攻撃の対象はゼロではない。対象はまだ、その矛先に存在している。


破壊音とともに一つの小規模クレーターが生まれた。その先にあった障害物を破壊するという形で……。






「レ…オ…。」


地に伏し、自身の肩を地面にめり込ませながらもゼロはその言葉を呟き続けた。


彼を信じて、きっと闇の中で葛藤しているであろうレオを信じてゼロは言葉を紡ぐ。


そんなゼロの肩を踏んでいたのはダークグレーの色をした元、鋼属性のプレイヤーの男だった。


両手に握られていたのは棍棒だ。右手に鉄製の物を持ち、左手に自身の色をした棍棒のような物を握っている。瞳の色は失っていた。


「倒ス倒ス、倒ス、倒ス倒ス倒ス。」


呪いのように先ほどから呟かれているこの言葉はまるで呪詛のようにゼロの心を蝕んでいく。この冷たく研ぎ澄まされた声を聴くだけで、きっと精神から崩されていく人は少なくないだろう。


「━━━倒ス!」


再びレオの脚が持ち上げられた。ゆっくりとゼロの体を離れていく脚からは自身の闇を漂わせ、その重みと淀みを色濃いものとした。


━━━くそっ!俺はまた何も守ることができないのかよ……。


ゼロの思考が自身の負けを察した時、その言葉はどこからともなく飛んできた。


「…………ダメだよレオ兄ちゃん。ゼロお兄ちゃんを倒しちゃ。」


レオの両の腕が、唐突に姿を消した。


レオは思考を停止させているのか片足を上げたまま突っ立っている。


レオの背後にいたのは緑と赤の色をした鎧の戦士が二体。二体は共に剣を持ち、互いに風と炎を纏わせていた。


ボトボトと少し遅れてレオの腕だったものが地面に落ちる。


「倒ス」


レオの感想はそれだけだった。


二体の戦士は剣を互いから左右にないだ。


ギキン!!


金属どおしが火花を散らした。


「………。」「………倒ス。」「………。」


二体の斬撃を受け止めたのは棍棒だった。


レオの腕の断面から伸びた腕と棍棒がトカゲの尻尾のように再生している。


二体の剣は簡単に弾かれてしまった。


そこに迫るのはレオの顔面への一撃だ。


ゴキュリ!と奇怪な音を立てて戦士達の首が跳ね飛ばされる。


二体は粒子となって空気中に散布していった。しかし、ゲームオーバーによる音は頭上からは聞こえない。


「やっぱりこれじゃあ倒せないよね。僕も少し本気でいかないとだめかな?」


声の主はレオから数メートル離れた位置に立っていた。右手でスケッチブックを開き持ち、手ぶらな左腕は何かを物色するかのようにページをめくっている。


「カオス。……何で!?」


ボロボロのゼロは声を上げた。そして疑念は不振へと変わっていく。


何故ならレオに倒されている筈なのに加え、カオスには火傷の後すら見られなかったからである。


「そんなの簡単だよゼロお兄ちゃん。僕はそもそも捕まっていなかっただけだよ?」


「捕まっていないってどういう…………。」


「━━━倒ス!!」


レオの叫びが児玉した。狙いを定めた黒い獣は二本の凶器を分回しながら突撃していく。


「うるさいなー。」


カオスはスケッチブックから六枚の紙を引きちぎった。別れた断面は綺麗に別れている。


三枚の紙が光に包まれ収束していく。さらに形を創られていった紙達は一つの物体として顕現した。


それは全長2メートルを越える大きな戦士だった。赤いボディに黄色いラインが入った鎧を身に纏っている。両腕は太く、手などは人の顔がスッポリと収まってしまいそうなほどにデカい。それを支えるかのように脚もそれなりに太いのだが、胴だけは肉付きのよいだけのスラッとした体型だった。


「神楽。レオ兄ちゃんの相手してあげて。」


カオスの声を聞き、尖った鍔帽子の中に隠れた眼が発光した。


神楽はダッシュした。速度は図体のわりに素早い。


レオと神楽の衝突は即座に起きた。


神楽の右腕とレオの右棍棒が激突する。


互いの腕を弾き合い、バランスを崩すもすぐに第二撃を相手に送りこむ。


暫くの撃ち合いの後、先に動いたのはレオだった。神楽の攻撃を巧みにかわし、自身の体に回転を加える。


遠心力により強化された一撃を神楽は回避できず、その一撃を左腕で受け止めた。


バゴーン!!


豪快な破壊音とともに神楽の左腕が爆ぜた。


神楽は粒子となって消えていく自身の腕には眼もくれず、左足の腹でレオの胴を蹴り飛ばした。


そのまま勢いよく吹っ飛んでいくレオは数回のバウンドを挟んで、岩壁へ激突する。


パラパラと砂埃とともに這い出てきたレオは無傷のように見えた。


さらにレオは神楽の近辺に落ちた黒い棍棒の代わりに新たな黒い棍棒を二本、生み出す。


神楽とレオはお互いを見やり、再び激突する。


そんな化け物たちの頂上決戦を呆然と見ていたゼロに声を掛けてきたものの姿があった。


「大丈夫?ゼロお兄ちゃん?」


「あ、ああ。なんとかな。」


手を差し伸べてくるカオスの手をかりゼロは起き上がった。しかし立つことまではできず座り込むような形だ。


「でも、さすがのゼロお兄ちゃんでも倒さずにレオ兄ちゃんを止めることはできなかったかぁ。ちょっとつまらないなぁ。」


呟くようにカオスは不満を垂らした。一体彼はゼロに何を求めているのだろうか。


「それは悪かったな……。てか、そんな事よりもカオス。さっきの話しの続きだ。何故お前は無傷でしかも生きてるんだ?」


「ああ、だからそれはね。そもそも僕は捕まってなかったんだって。」


「じゃあ、あのカオスはなんだったんだ。あのレオにやられた!」


カオスは顎に手をやり、渋々といった形で話し始める。


「あんまり、話し過ぎるとゲームがつまらなくなるから言いたくないんだけど……。まぁ、いいか!ゼロお兄ちゃんは特別ね。で、ねーとね。僕のスキルはこのスケッチブックなんだよ。」


えっへんとえばるカオスはスケッチブックをゼロの前に翳した。


ゼロはそれだけでカオスの言うことを理解する。


「つまり、それで自分の分身のような者を創って身代わりにした……と?」


「ピンポンピンポーン!大成功だよ!お兄ちゃん。そしてあとはお兄ちゃん達のそばで様子を窺っていたんだ。」


━━━ん、様子を窺う……。気配を完全に消してか?カオスの能力から察するとそんなことはできない筈。だとすると………。


「………なぁ、カオス。」


「何?お兄ちゃん?」


ゼロは周囲を見回す。そこには只今、絶賛戦闘中の生物達が二体と地に伏し、気絶をしたプレイヤーが二人。最後にゼロはカオスの顔を見やった。


カオスの顔には「?」マークが浮かんでいた。


「……仲間はどこにいるんだ?」


突如現れた刃がゼロの喉元に突き付けられていた。


「動くな。動けば殺す。」


ゼロの背後で話す男の声は冷たく、そして落ち着いている。


それを見やりカオスは驚く様子みせず、男に告げた。


「あ、駄目だよ。ザークおじさん。そんなことしたら━━━。」


ザシュッ!


男の力がいきなり消失し、持っていた刃が地に落ちた。その後、背後でドサッという音が聞こえたかと思うと上空からポン!!という音が鳴った。


ゼロは後ろを振り向く事ができなかった。全身に纏わりついた悪寒がゼロの体を硬直させている。


「━━━ハムお兄ちゃんに殺され……あ。」


そこまでいい終えるとカオスは残念そうな素振りは見せず後ろの人物に挨拶を始めた。


「ハムお兄ちゃん。いいの?ザークおじさんを殺っちゃって……。」


「いいんだよ。カオスくん。彼にはちゃんとライフを三つ持たせといたからね。死んでもまた戦えるよ。」


カオスはふーんと鼻を鳴らしただけだが、ゼロが最も恐ろしいと思ったのは一人の人間の命をたった数行の言葉だけで済ませていることだった。


「で、お兄ちゃん。さっきの続きなんだけどね。」


「いや、もういいカオス。ありがとう。」


ゼロがそう言うとカオスは満面の笑みで「さすが、お兄ちゃん!」と言った。


ゼロは背を視ることなく、後ろにいるであろう人物に声をかける。


「久し振りだな。ハムさん。」


返事はすぐに帰ってきた。


「あ、敬語が無くなってる。嬉しいな。その調子で僕のことはハムって呼び捨てにしてもいいんだよ。ゼロくんは特別だ。」


笑顔でいるハムとは裏腹にゼロは緊張の汗が流れている気がした。


「そんなに怯えないでよ。僕はゼロくんを今、殺そうなんて思っていないよ。」


━━━今は、ね……。


ゼロは複雑な心境の中、話しを進める。


「お前らの目的はなんだ。三人で別のチームを組んで何をしている。」


確信を付いた直球な質問だった。大抵の人は面食らったりするものなのだが、ハムは気にする様子もなくペラペラと喋り始める。


「なんだそんなことか。それなら簡単だよ。僕達は適合者を捜してたんだよね。」


「……適合者?」


「うん。まぁ、簡単に言えばレオくんみたいなものかなぁ。レオくんは失敗なんだけど、本当に強い人は暴走しないんだよ。」


指差しながら示した先には、今まさに神楽の膝を喰らい宙を舞うレオの姿がある。


「で、レオくんは失敗だったからカードを返して貰おうかとね。実はレオくんに渡したカードは呪い系でね。プレイヤー本体が死ぬか、条件が揃うまで絶対に外れないんだ。」


「おい、待てよ。プレイヤー本体の死だと?」


「うん。正真正銘の現実の死、平たくいうと現実の死だね。」


あまりに平素に言うハムの声音にゼロは自分の腕がワナワナと震えているのを感じた。さらにフツフツと湧き上がる熱い血の巡りが自分の理性を押し殺そうと蠢いている。


「そんな、わけのわからねー理由で人を殺されてたまるかよ……。」


「また始まっちゃったね。ゼロくんの悪いクセ。もっと頑張ればすぐにレベルを上げられる筈なのになんで人の為っていって自分を殺すのかなぁ。」


「お前にはわからねーだろうよ。だがな。俺はそれでも、守れるものは守るって決めてるんだよ!!」


『weaponカード!!』


素早い抜刀をしたゼロの刀は横一線のなぎを背後に向けた。ゼロは後ろを視ることはなかったが、声の方向、距離でおおよその場所を把握していた。


しかし、ゼロの刃は見えない壁に阻まれる。


『open・the・skill!!』


ゼロの体が地に伏せた。重い重力がゼロの体を抑えつける。


「くっ!!」


ゼロは苦い顔をハムへと向ける。


すぐそこにはこちらを見下ろす赤い水晶が見えた。


「やっぱりすごいねゼロくん。」


見下す形でもハムはゼロに尊敬の眼差しを向けていた。それはカオスも同様である。


「あ、ハムお兄ちゃん終わったみたいだよ。」


ゼロの横に投げられた物体はレオだった。


全身の黒いモヤはすっかりと姿を消し、残ったのは鋼属性の元のレオの体だった。


「レオ……。」


ドス!!


ゼロの目が驚愕に見開かれる。自分の顔に付着した赤い水滴の意味もゼロは理解した。


レオの体が粒子となって消えていった。残ったのは赤く塗られた包丁と一枚のカードだった。


「レオォォォ!!!!」


ゼロにその凶器を止めることはできなかった。


ゼロは自分の軽率な判断に怒った。


もう少し自分の感情を抑えていれば、すぐにハムに攻撃を加えなければ、そんな後悔のみがゼロの中で反芻されていく。


言葉を失うゼロに気を止めず。ハムは凶器を掴むことなくその場に落ちていたカードを拾った。


「よしよし、よく戻ってきたね。『偽りの夢』。さてと。」


ハムは手にカードを持ちながらゼロの左側に立った。そこで屈むと何の抵抗を見せないゼロをいいことに勝手にそのカードをスキャンしてしまう。


『specialカード!!』


ゼロのデバイスが本人の意志を無視して吠えた。


ゼロはただただ動かず呆然としているだけだ。


声を発することのないゼロにハムは耳もとで独り言のように呟いた。


「ふふ、実はねゼロくん。僕、良いこと思いついたんだ。」


ゼロの体がピクッと反応を示す。


「………や、めろ。」


「あれ?僕はまだ最後まで説明してないのになぁ。もうゼロくんは気付いたんだ。話が早くて助かるよ。」


「やめろよ………っ!!」


「場所はそうだね。ゲーム終了日の昼、中央の城の付近でどうだろうか?まぁ、ゼロくんがどう言おうとこれは変わらないけどね。」


「持ってきたよ。ハムお兄ちゃん。」


カオスは二体の戦士に挟まれる形で立っていた。片方は灰色で片方は空色である。


両方の戦士の肩には二名のプレイヤーが乗せられていた。どちらも重傷のようで体はボロボロである。


「ありがとうカオスくん。」


能面の顔でにこやかに話すハムにゼロは力のない目を向けることしかできない。


「と、言うわけでゼロくん。日程と時刻を間違えないでね。でないとキミの守らなければいけないものが消えちゃうよ。」


ハムの瞳には禍々しい闇が蠢いていた。


「じゃあ行こうよ。ハムお兄ちゃん。神楽、お願い。」


神楽は主人であるカオスを自身の肩に乗せると腕を伸ばし、ハムに手に乗ることを促す。


ハムはその申し出を受け取ると気楽にひょいっと神楽の手のひらに乗った。


「バイバーイ!ゼロお兄ちゃん。また今度ねー。」


元気に手を振るカオスにゼロは答えることができなかった。悔しさに苛まれながら地に伏すことしか彼にはできない。


『weaponカード!!』


ハムのデバイスが吠える。そこから生まれたのは刃渡り18センチほどの包丁である。


ハムは構えを取った。それは包丁を投擲するためのハムの最良のホームだ。


「またね。ゼロくん。」


ドス!!


投擲された包丁が頭の肉を深々と抉っていった。それによりその塊は粒子となって空へと流れていく。


「ちゃんとトドメはささないといけないんだよ。」


優しく、それでいて恐ろしい。そんな矛先が向けられたのは血塗れになっていたモンスターである。


ゼロは誰にも悟られないよう。低く、そして静かに、涙も出ない仮想世界で声を震わせた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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