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前編

初めまして雛次ヒナツグと申します。初めて投稿します、短くてすみません…。


俺には9才年下の妹たちがいる。

妹「たち」というのは双子だからだ。


見た目は小学校高学年、東アジア特有の漆黒の黒髪を背中に長く垂らしている。

それは美しいもので、本人もとても気に入っているようにみえる。

顔は…カワイイと言われているみたいだが、兄貴の俺から見ると「別段普通だろ」という感じだ。


しかし、この特徴は片方を説明したものではなく、二人に共通したものだ。


見た目だけではない、「中身」もだ。

頭の出来も性格も口癖も好きなものも

すべてが共通しているのだ。


見分けが付かない所ではない、他人から見れば全くの同一人物、まさしくそんな彼女たち。

双子だから似ているのは当たり前?そうだその通りだ。



双子だから似ているのは当たり前。



何度、そう思っただろう。

しかし身近な人間は気づいてしまうのだ、それ以上の、何かに。



<双子のコンチェルト>



――


「お兄さん。」


双子の姉・アイ子に呼ばれて俺は顔を上げた。

…お兄さん。俺は彼女たちにそう呼ばれている。

実はというと、もう少し気安く気軽に「お兄ちゃん」とでも呼んでほしいのだが、

もう長年この呼び方が定着してしまっているし、それにシスコン野郎に思われても困るので

(今さらどうしようもないよな…)

俺は軽いため息を飲み込み返答する。


「そこの問題は+と−を入れ替えるんだよ、あとは・「お兄さん。」


俺の説明のコトバを無視して次の妹が呼んだ。

双子の妹・イア子。誰がつけたのか、不思議な名前だ。

…彼女たちは人の話を聞こうとしない、容赦なく割り込んでくるのにも慣れた。

苛立ちそんなものも無い、それに怒ったところで彼女たちには効果など無いだろう…。


「そこは%だから数字を直すために100をかけ・「お兄さん。」


…いつも通りの日常が進んでゆく。


今日は”算数”を教えてやっている。

教えてやっているとは言っても、わからない所を聞かれて解き方を簡単に教えてあげるだけなのだが。

休日はいつもこんな感じで過ごす、そんな俺は大学生だ。

これは大学に入るずっと前から続けていることなので、今さら苦には思わない。

妹たちは頭の出来は中の下、これといって普通だ。


しかし、不思議なことがあった。


彼女たちは解けない問題が共通している。


アイ子が解けない問題はイア子も解けない。

イア子が解けない問題はアイ子も解けない。

だが、二人同時に解き方を聞くのではなく、必ず「どちらか」が聞いてくるのだ。

その聞いてきた問題が重なったことは 一度も無い。

でも、「どちらか」が理解すると必ず「もう片方」も理解する。

効率がよくて良いのだが、俺には不思議で仕方ない。


あと、次から次へと違う問題の解き方を聞かれるのは、小学生の”さんすう”だとしても脳みそがさらにねじれてしまいそうになる時もある。


「お兄さん。」

ぼーっとしていたためどちらが呼んだのか聞き取れなかった。

本当に声もよく似ている、赤の他人だっだら絶対わからないだろう。


「あ、ごめん何?」

どちらかの動作で判断しようとする。

が、動かない。


「どうした?何かあったのか?」

普段は問題を指差す動作をするはずなのに、微動だにしない二人。

まるでそう、大量生産された同じ顔のマネキンのような…


『お兄さん。』


二人が一緒に俺を呼んだ。


(俺が考えてたことがバレた!?)

一瞬焦る俺。なかなか失礼なことを考えたと後悔する。

しかし、他人の心が読めるだなんてそんなことあるはずはない。

少し安堵しているところに二言目が放たれた、


『私達お兄さんの考えてることはわからないけど、アイ子(イア子)のことはわかるよ。』


彼女たちの言葉に俺は困惑の表情をつくる。

(いきなり何を言い出すんだ?)

彼女たちはじっと俺のことを見ている。


「アイ子はね、イア子の考えてることがわかるの。」


「イア子もね、アイ子の考えてることがわかるの。」


「でもお前たちほとんど二人で会話しないじゃないか。」


(傷つけたかも)

自分で言った後にはっと息をのむ。

二人は二人での会話をしない―俺はずっと一緒にいるけど、仲が悪いように見えたことは無い。

たまに彼女たちは見詰め合って笑っていたりする、二人ともおとないしい性格である。聞こえる大きさの声で話さないだけなのかもしれない。

しかし会話をしていないのだ、小さい口から言葉は吐き出されていない。


ずっと不思議に思っていた。


一卵性双生児だから外見がそっくりなことは普通でじゃないか、性格もとやかくいうことでははないし

二人の関係も険悪じゃなければそれでよい、と自分に言い聞かせた。


しかし、双子以上の何かがこの二人にはあるんじゃないか?


そう思い始めたら、一人取り残された「兄」の俺は悲しかった。

だから認めたくなかったんだ。


二人の「共有」というモノを。


しかし後日俺は「共有」を認めざるおえない状況に陥るのだ。

その時の事を少し話そう。

読んでくださりありがとうございました。評価などいただけたら幸いです。

恥ずかしながら、後編も近々更新予定です。

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