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『転生先は赤字惑星の貧乏貴族。でも幸運(LUCK)で古代AIと許嫁をゲットしたので、軍事オタクの知識で最強領地経営はじめます』  作者: とびぃ


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5-4 AI内政無双と許嫁の奮闘

宇宙商人ドレイクとの、秘密の「独占契約」が締結されてから、シュテルン星系主星メイン・プラネットの風景は、文字通り、「一変」した。

『ウロボロス・ゲート』を通じて、ドレイクの貨物船が、雪崩を打つように、大量の『資源マテリアル』と、当面の『運転資金キャピタル』を、運び込んできたからだ。

財政破綻の危機(残り四十五日)は、瞬時に消え去った。

潤沢じゅんたくなリソースと、前世の軍事オタク知識アレス、そして、最強の管理AIヘスティアが、ついに、噛み合った。

アレスは、領主館の戦略司令室で、最終的な「GOサイン」を出した。

「ヘスティア。プランB……いや、プラン『X』だ。……ドレイクから得た、全リソースの、全権限を、お前に委任する」

「……!」

その場にいた、シエラとガンツが、息をのんだ。

「お前の、本来のスペック……『惑星管理AI』としての、本当の力を、見せてみろ」

「……アレス様、それは……」

シエラが、AIへの、本能的な恐怖から、アレスを止めようとする。

だが、アレスは、静かに、ヘスティアの、完璧すぎる美貌の、アンドロイドの瞳を見つめた。

「……お前は、道具だ。だが、最高の道具だ。……俺は、お前を『信頼』する」

「…………」

ヘスティアの、青白い瞳が、わずかに、揺らいだように見えた。

<<…………>>

<<……承知、いたしました。……管理者アドミニストレーター>>

アンドロイド(ヘスティア)は、深々と、完璧なカーテシーをとった。

<<——管理AIヘスティア。これより、惑星再建プラネット・リコンストラクション、フェイズ2に、移行します>>

——そこからは、まさに「無双」だった。

ヘスティアの「AI内政チート」が、ついに、その牙を剥いた。

彼女は、まず、領都の地下深くに、ドレイクが持ち込んだ資材を使い、巨大な『自動化オートメーション工場』を、ミミの指揮する工廠と直結させて、建造した。

ミミが「感覚」で生み出す『魔改造カスタム』の設計図を、ヘスティアが「論理」に落とし込み、旧文明の工作機械オートファクトリーが、それを、二十四時間体制で、寸分の狂いもなく「量産」していく。

『新型プラズマ・コンデンサ』。

重力子グラビトン式・シールド発生器』。

海賊船の技術をベースにした、安価ローコストで、高性能な『新型センサー』。

失われた技術ロスト・テクノロジーの産物が、次々とラインオフし、それらは、即座に、ドレイクの貨物船に積み込まれ、銀河の「裏市場ブラックマーケット」へと、消えていった。

そして、見返りとして、莫大な『資金クレジット』と、さらなる『資源マテリアル』が、シュテルン星系に、還流かんりゅうし続けた。

次に、ヘスティアは、惑星の『エネルギー・グリッド』に、メスを入れた。

ミミが開発した新型コンデンサを、惑星中に設置。

AIによる、完璧な「負荷分散ロードバランシング」と「最適化」が行われ、惑星全土のエネルギー効率は、わずか数日で、千倍以上に跳ね上がった。

領都の、何十年も消えていたネオンが、再び、輝きを取り戻した。

そして、彼女は、『食料』に着手した。

旧市街地の、汚染されていた区画を、無人の自動重機で、一瞬にして浄化・更地さらちにしたかと思うと、そこに、巨大なドーム型の『自動化・水耕栽培ハイドロポニクスプラント』を、瞬く間に、建造した。

AIが管理する、完璧な環境下で、栄養価の高い作物が、恐るべき速度で「生産」されていく。

シュテルン星系から、「飢餓きが」という、二文字が、消え去った。

惑星のステータスは、劇的に改善した。

「工業Lv」「農業Lv」「技術Lv」「人口」……。

あらゆるパラメータが、赤い「警告色」から、青い「安定」、そして、緑色の「発展」へと、変わっていった。

借金八十五億は、この、異常な「キャッシュフロー・マシーン」の前には、もはや、紙クズ同然と化していた。

——だが。

アレスは、この「内政無双」が、新たな『歪み』を生んでいることにも、気づいていた。

領主館、執務室。

シエラは、成功に沸く領主館の中で、たった一人、頭を抱えていた。

彼女の前には、領民からの「陳情書」が、山のように積まれていた。

「……『ヘスティア様の、おかげで、食料は、タダで、手に入るようになりました』……」

「……『でも、AIあいつのせいで、俺たちの、畑仕事が、なくなりました』……」

「……『工場の仕事も、全部、無人の機械オートマトンに、奪われました』……」

「……『領主様は、俺たち(人間)より、あの、冷たい、アンドロイド(化け物)の方が、大事なんですか?』……」

シエラは、唇を、噛みしめた。

(……分かっていた、はずなのに……)

AIによる、完璧な「効率化」と「最適化」。

それは、裏を返せば、非効率な「人間」の、労働力を、『不要』にする、ということ。

領民たちは、「飢え」からは解放された。

だが、同時に、「仕事やくめ」と、「誇り(プライド)」を、奪われつつあったのだ。

(……このままでは、ダメだわ……!)

(……アレス様も、ヘスティアも、「数字」の上での、惑星再建に、夢中になっている……!)

(でも、「領地」っていうのは、「数字」じゃない! ……「人」が、生きていく、場所なのに……!)

シエラは、アレスへの、もどかしさと、領民たちの、悲痛な叫びとの、板挟みになり、泣きそうになっていた。

ヘスティアの「プラン」に、異議を唱えれば、「非効率」だと、冷たく、一蹴いっしゅうされる。

だが、領民たちの「感情」を、無視すれば、いつか、必ず、暴動が起きる。

彼女が、その重圧に、押し潰されそうになっていた、その時だった。

「……お疲れ様。シエラ」

執務室のドアが開き、アレスが、夜食の、温かいスープ(水耕栽培プラントで採れた、高級品だ)を持って、入ってきた。

「……アレス様……」

「……見てたよ。最近、領民たちの、陳情が増えてる」

アレスは、スープを机に置くと、シエラの正面に、静かに座った。

「……ご存知、でしたの……?」

「ああ。……そして、お前が、一人で、全部、抱え込んでるのも、知ってた」

アレスの目は、いつもの、サラリーマンや、指揮官の「仮面」ではなかった。

ただ、静かに、目の前の少女を、ねぎらう、十歳の少年の(……いや、三十五歳の、苦労人の)目だった。

「……アレス様の、バカ!」

シエラの目から、せきを切ったように、涙が、溢れ出した。

「……知ってたなら、どうして……! ヘスティアは、完璧です! 効率的です! ……でも、あの人のやり方は、冷たすぎます! 人の、心を……!」

「……ああ。分かってる」

アレスは、シエラの、その小さな手を、そっと、握りしめた。

「……すまなかった。シエラ。……俺は、また、間違えるところだった」

「……え?」

前世まえでも、そうだった。……俺は、『プロジェクト』を、『納期』通りに、完成させることばかりに、夢中になって……。一番、大事な、『チーム(仲間)』の、心が、疲弊ひへいしていくのを、見落としてきた」

「……アレス、様……?」

アレスは、立ち上がると、執務室の隅に、いつの間にか現れていた、ヘスティアに向き直った。

「ヘスティア」

<<……はい。管理者アドミニストレーター>>

「お前に、新しい『命令』を、追加する」

アレスは、きっぱりと言い切った。

「これ以降、シュテルン星系主星メイン・プラネットにおける、全ての『内政』プラン……特に、『労働力じんざいの、再配置』に関する全権限は……」

「……第一秘書官、『シエラ』に、一任する」

「「……ええ!?」」

シエラと、ヘスティアの(ように見えた)声が、同時に、重なった。

<<……管理者様。その、ご決断は……。シエラ秘書官の『感情的エモーショナル』な判断を、介在させることにより、惑星再建の効率は、最低でも、18.4%、低下します>>

ヘスティアが、即座に、冷徹な「正論」を、叩きつける。

「……知るか」

アレスは、フン、と鼻を鳴らした。

「効率が、18%落ちようが、なんだろうが、『安定性スタビリティ』が、100%上がるんなら、安いもんだ」

<<……安定性……? 理解不能です>>

「お前には、分からんだろうな」

アレスは、シエラの前に、再び、向き直った。

その目は、絶対的な「信頼」に、満ちていた。

「シエラ。……俺は、AIこいつに、この星の『頭脳』と『手足』を、任せる」

「……だが、お前には、この星の、『心臓ハート』を、任せたい」

「……っ!」

「効率だけを追い求めれば、人は、必ず、壊れる。……そうならないように、『AI』と『人間』の間に立って、お前が、この星の、『最適解こたえ』を、見つけてくれ」

「……わ、わたくしが……」

シエラは、震えていた。

それは、恐怖からではなかった。

自分を、心の底から「必要」だと、言ってくれた、主君アレスの、言葉の、重さ。

(……この人は、AIの、万能の力より……)

(……わたくしの、「心」を、選んで、くださった……!)

「……できるか? ……『シエラ先生』?」

アレスが、悪戯っぽく、昔の呼び名で、笑った。

シエラは、頬を、カッと、赤く染め上げると、その涙を、力強く、袖で拭った。

「——御意おまかせください! アレス様!」

彼女は、貴族の令嬢として、最高の、そして、未来の『女宰相おんなさいしょう』として、最強の、笑顔を、返した。

「……わたくしが、この星の『人間』と『AI』、両方にとっての、『最高・・の、居場所りょうち』を、必ずや、作ってみせますわ!」

こうして、シュテルン星系は、驚異的な速度で、発展の道を、歩み始めた。

アレスの『戦略チート』と、ヘスティアの『効率チート』。

そして、その二つの、強すぎる「力」を、シエラの『心(調整)』が、繋ぎ止める。

最強のトライアングルが、今、ここに、完成した。

だが、アレスたちは、まだ、知らない。

辺境の片隅で、あまりにも、急激に、輝きを増し始めた、この「小さな星」が、銀河帝国の、旧態依然とした「闇」の、注目を、集め始めていることに——。


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