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波乱の紫の上育成計画始動!?そして起こるポルターガイスト(生き霊)の巻!!



正妻(葵の上)から鉄拳制裁を受けつつも、

紫の上ガチ勢の俺はなんとか山奥の庵から

彼女を拉致もとい保護することになった。 





「おはよう!!紫たん!!今日も超絶プリティーだねッ!!お兄ちゃんと蹴鞠でもする!?」


「いやーっ!!おうちかえるーっ!ばあやどこぉーっ!!」


紫の上(推定9歳)、都に連れてきてから数日、

ホームシックで泣いてばかり。

そりゃそうだ、突然知らん男に連れてこられて泣かないほうがおかしい。俺でも泣く。



……すまん紫たん

ーーーだがこれも不幸になって若くして死んでしまう原作の運命から逃れるため仕方ないことなんだ。




そんな感じで前途多難に始まった俺の紫の上育成計画だったが、



俺の涙ぐましいまでの努力と絵本と果物と蹴鞠(※全部俺がやりたいだけ)によって、

ようやく――ほんの少しだけ、心を開いてきた。



「紫たん、今日は何して遊ぼっか!?」


「………兄さま?」


紫の上のその声を聞いた時、

鼻血がジェット噴射のごとく吹き出した。

無理だ、紫の上の兄さま呼び破壊力エグすぎる。

そんな呼ばれ方したら俺の脳内が焼き切れ理性が爆散しそうになる。

いますぐほっぺすりすりしてペロペロしたい。


そんな衝動を僅かながら残った理性が全力で押さえつける。

ここでまた警戒されるわけにはいかないッ!!




そうやって、

ギリギリの精神を保ちながら

紫の上の世話を甲斐甲斐しく焼きつつ

平和な日々が過ぎていった。




しかし――そんな俺と紫の上の交流が、

一人の女性の心をざわつかせていた。






「……ふん、べ、別に。私には関係のないことですわ……」




そう、葵の上である。


高飛車お嬢様で、政略結婚とはいえ光源氏(俺)の正妻。

しかも幼女(紫たん)との関係に複雑な感情を抱き始めている。




「殿ってば……ほんと、どこまで女好きなのかしら。それもこんな幼子を………色欲魔だけじゃなく変態だったのかしら?」




え、聞こえてますけど!?

ていうかさっき一緒に紫たんの髪をとかしてあげてたじゃん!めっちゃ優しかったじゃん!



「姉さま……って呼ばれた時、顔ほころんでたよね?」



「ふ、ふんっ……可愛く呼ばれたからって、気を許すとは限りませんのよ……!」



そのくせ俺と紫たんが仲良くしてると、ちょいちょい間に入ってきて


「……あら、蹴鞠なんて男の遊びよ。お人形で遊びましょう、紫さま」


とか言いながら、ガチの金襴緞子の雛人形一式持ってくる。どこに隠してたんだよそれ。


ツン90:デレ10みたいな配分の中に、かすかに「お姉ちゃんしてる」彼女がいて、

――正直、これはこれでグッとくる。ありがとう、平安。



そして――その夜だった。


邸宅の中で、

異変が起きた。



突然、障子がひとりでに開く音。

軋む廊下。

落ちる灯。

風もないのに揺れる簾。

畳の上をすべるように歩く、誰かの足音――


「きゃあっ……! 兄さまっ、こわいよおっ……!!」


泣きながら俺にしがみつく紫の上。


「大丈夫だよ紫の上たん!!キミは俺が守るからねっ!!兄さまが見てくるからここにいて!!」




誰もいないはずの廊下に出ると、

ヒヤッと俺の背筋に、冷たいものが走った。




寝所の暗がりに、

誰かがいる。


いや、「いた」。


黒い単衣をまとい、髪を垂らし、顔の見えない女。

しかし、なぜかその姿に覚えがあった。


(……六条……!?)


そう、六条御息所――


かつて俺(というか光源氏)を愛し、

いまは関係が疎遠になりつつある、高貴な未亡人。

だが、なぜ彼女が……?


否。

これは彼女「ではない」。


もっと冷たく、もっと怨念めいたもの。


「あの童…許せぬ……………」



そいつがニヤッと笑い、恨めしそうにこちらを見つめーーーーー



ブワァァァーーーー!!!


と、音もなくこちらに凄まじい速度で襲いかかってきた。




「うわぁぁあああ!!!」



ハッーーーー!!!

と目を覚ますと、なぜか寝所の布団に横たわっていた。




「グッ…重ッ…何だ…!?」


腹の上に何かがのしかかっているような感覚がある。


これアレだ、完全に金縛りだ。


恐る恐る見てみると………


身体が白く透けた六条御息所が、

俺に覆い被さっている。




身体が動かない。

彼女――生き霊は、俺の胸の上にのしかかり、ゆっくりと顔を――


(ちょっ、おま……それ、夜伽のポジションじゃねぇ!?)


そうツッコむ暇もなく、

彼女の唇が俺の唇にーーーーー


「………源氏の君、あの童なぞに惑わされてはなりませぬ………今宵はわらわと……契りましょうぞ………」




「ギャァァァア!!!」


俺の意識はふっと途切れ――


気がついた時、俺は朝になっていた。




チャンチュン………


雀が鳴いている。



怖すぎるだろ六条御息所………!、

てかなにこれ、生き霊と朝チュン!?

さすがに夢だよね!?


あれ!?記憶曖昧けど、まさか……いや、

でも、まさか……うおおおおお!?!?




その時――


「兄さま……?」


紫の上が、御簾の向こうから不安げに顔を出した。


「……兄さま、きのう……こわかったよぉ……あのおばけ、またくるの……?」




やばい。このままでは俺の紫たんがーーー



俺は、震える彼女の肩を抱きながら、誓った。



(守らなきゃ……絶対、守らなきゃ……この子の笑顔だけは……)




次回!生き霊再降臨ーーーーー

“儚げ美女、夕顔たん登場!絶対に誰も死なせねえ——”


乞うご期待!

どうも転生牛タン丸です!

六条御息所、怖すぎん?(震え)


次回——

原作では死んでしまう儚げ美女・夕顔たん登場!!

童貞光源氏、死の運命を変えることができるのか!?


気になる方はぜひ、ブクマ&感想いただけると

小躍りして喜びますッ!


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