表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/12

幼女、邸宅に降臨。正妻、激怒。〜拉致じゃない、保護です、保護(震え声)〜



俺の名前は源氏げんじ ひかる

現代から平安時代に転生してきた、しがない童貞大学生である。




“倫理観オブザ・デッドの貴族界のキングオブヤリチン”、光源氏を心から嫌っていた俺なのに、まさかの本人に転生してしまった。




転生してしまったからには仕方がないと腹を括り、

紫の上を一途に愛して幸せにせんかい委員会会長の俺は誓った。


紫の上だけを、一途に愛して生きると。





…なのに、だ。

なぜか毎回、目覚めると女の人が隣で寝ているというバグ仕様の世界で、


藤壺とも六条御息所とも、記憶なしで朝チュン済らしい。




おい運命。出てこい。話し合おうぜ。今すぐ土下座しに来い。






そんな俺が、今――深刻に悩んでいる。



原作通りに進めば、光源氏は“紫の上”という幼女を見初め、

勝手に引き取って、自分好みの理想の女に育て上げる。



世間ではそれを「保護」と呼ぶが、実質「拉致」である。


ヤバすぎる。倫理観がドリフトして壁に激突してる。





俺の中の良心が正座して「やめとけ」と涙ながらに訴えてくる。

だがもう一人の俺が、こう囁く。



「原作に逆らえば、もっととんでもないバグが起きるかもしれないぞ…?」




そう。

この世界には“原作強制力”――抗えない何かが、確かに存在する。

抵抗しても、結局俺は「寝てる間に既成事実化」してしまう。





だったら。

せめて紫の上だけでも、俺の意思で守りたい。








そう自分に言い訳しながら、俺は気づけば――

紫の上が住むという山里の庵に、足を運んでいた。




「見るだけ。見るだけだから……!拉致とかじゃないから!!」





心の中で100回は唱えたその呪文を抱えて、俺は、彼女に出会った。







薄桃色のふんわりした着物。

腰まで伸びた髪は、ふたつ結びのハーフツイン。

瞳は、夜空に溶けそうな淡い紫色。




小さな花のように、庵の中でひっそりと咲いていたその少女は、

俺を見て――目をぱちりと見開いた。





「……おにいちゃん、だあれ?」


きゅるん。




心臓が変な音を立てた。

俺の中のすべての“童貞的何か”が、爆ぜた。




――この子を、守らなきゃ。




その瞬間、決まった。

たとえ誰に何と言われようと、光源氏と呼ばれようと。



この子だけは、俺が守る。絶対に。俺の手で。




運命?知るか。おとといきやがれ。




そして俺は言ってしまった。


「やぁ!めっちゃかわいいね君!お兄ちゃんと一緒に都に来ない??」




完全なる変質者ムーブである。




「…やだ…こわい……」




その瞳に、涙が溜まり始めた。警戒度MAXの紫の上――いや、紫たん。




「あっ違うの俺!怪しい者じゃなくて!光源氏っていう、有名人!マジで!」




印象、のっけから最悪である。




「若紫ー?どこにおられるのですかー?」




遠くから老婆の声がする。




「ばぁや……!」


「ヤベッ!」




気がついた時には、俺は紫の上を肩に担ぎ、全力で庵を飛び出していた。








ーーーーーどっからどう見ても拉致である。




しかしこの紫の上の、人類史上トップクラスに可愛すぎる愛らしさに――俺は勝てなかった。




それが俺の「紫の上至上主義」からくるものなのか。

それとも、光源氏の体に染み込んだ、

藤壺の面影を無意識に追ってしまったせいなのか。




――わからない。



だが一つだけ確かなのは、俺の中で何かがブチ切れたってことだ。




止めようのない衝動のまま、俺は紫の上を拉致……もとい“保護”し、都まで連れ帰ってしまった。









邸宅に戻った瞬間、俺は“正妻の怒り”により天に召されかけた。





「源氏殿!?その幼子は…!?」

「まさか、そんな……幼子にまで手を出したと!? 恥を知りなさいませ!!」






葵の上が、驚愕と軽蔑と、あとなんかちょっと呆れを混ぜたような目で俺を見てくる。

めちゃくちゃ怖い。今すぐ平安時代の地面に埋まりたい。




「ちっ違うんだ葵の上!!これには深いワケがあって…!」




「えーん、ばあやどこぉ……!」



紫の上(推定9歳)、全身全霊で泣いている。ごもっともだ。

そりゃ知らんお兄さんに肩担ぎされて都まで連れて来られたら泣くわ。





「その子は一体どこから拾ってきたんですの!?また朝チュンですの!?次はロリですの!?」





「違う!今回は朝チュンしてない!未遂!いや未遂でもない、まだ一目見ただけ!!」




「ほぉ〜〜〜〜う……」


バキッと笑顔のまま扇子を折る音が聞こえた。こわっ!





「詳しい説明を求めますわ。3秒以内に」





「えっ、えっとこれは紫の上って言って藤壺に似てていや違う、あのそのっ、保護です!」




カーーーーン!!!




葵の上がブチ折った装飾扇子が俺の脳天を直撃した。




「説明が終わってからも殴られるんですか!?法治国家ってなんでしたっけ!!」



「ここは平安ですわ。そしてこの家ではわたくしが法ですわ」




うわあ……平安こええ……!!!





──こうして俺の、“紫の上育成生活(スタート時点から破滅の香り)”が幕を開けた。






次回、波乱の紫の上育成計画始動!?そして起こるポルターガイスト(生き霊)の巻!!

ついに紫の上もとい紫たん登場ッ!!

うん、平安時代にハーフツインとかしてるワケないよね…!

あと家にも嫁さん(葵の上)いるのおかしいよね、当時通い婚だもんね!

知ってるけど許して!だってこれはパロディだものっ!ああ石を投げないでッ!

少しでもクスッとしてもらえたらブクマ感想などいただけると泣いて喜びますっ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ