歌会行ったら既に六条御息所にもフラグ立ってた件
次の日、
俺は帝が開催するとかなんとかいう和歌を詠み合う歌会とやらに参加することになった。
超絶行きたくねえ。
しかし、
帝が開催するということで強制参加である。
てか、帝って光源氏の実の父だよな?
すまん、親父。あんたの嫁さん、寝取っちまったわーーー
全く記憶ないけどなーーー
そんな罪悪感??もはや開き直り??なやけっぱちな精神で、歌会の催される宮中へ向かった。
宮中ってやつはまあ、ザ・平安貴族のオシャレ空間だった。
扇とか香とか、正直現代人の俺からすると意味わからん。
なんなら香の匂い、強すぎて鼻血出そう。着物のグラデがいちいちエグくて目に刺さる。
そんな中にーーーー
いたんだよ。
負のオーラを撒き散らしながら、やたら艶のある女が。
また俺の記憶ではない、光源氏の記憶が呼び覚まされる。
「……あれは………六条御息所……?」
その女と、目が合う。
瞬間、その女はフッ…と、俺に微笑みかけた。
だけどーーー
あ、なんか…目が…光を失ってる……?
レイプ目じゃん!!!(心の声)
スッと通った細い鼻筋、黒曜石のような黒い眼、漆黒の長い髪。
高貴な薄紫の衣に包まれた背の高い細い身体。
確かに美人である。誰が見ても美人である。
だが、一粒の光もない瞳だけが、語っている。
この人は関わっては駄目な人だと。
そんな異常な眼をしたやばい美人が、
明らかに俺のことめっちゃ見てる。てか目が合った瞬間、ゾクリと背筋が凍った。
そして背中に冷や汗が一筋、ツーッと流れ落ちる。
ちょ、待てよ。
六条御息所ってーーー
怨霊化して闇堕ちするやばい女じゃん!!
絶対関わっちゃ駄目なやつ!!
だが、
頭の中で俺ではない転生前の光源氏の野郎が、
和歌やらなんやら送りまくって
猛アプローチしてる過去が脳裏に走馬灯のように駆け抜ける。
なにこれ。
なんで六条御息所ともフラグ立ってんだ!?
もうやめてくれ、俺のライフはとっくに0よぉーっ!!!
六条御息所が、
ススス…と俺に擦り寄ってきた。
「源氏の君……久しゅうございますな……ようやくお目にかかれましたゆえ……嬉しゅうてたまりませぬぞえ……?」
「ヒィッ……!!六条御息所殿も、お元気であらせられますようで、なによりでございまする!!?で、ではこの源氏、これにて失礼っ…!!」
その場から離れようとするが、
ガシッと手を掴まれる。
「何処へ……?」
もう駄目だ。この人から溢れ出るオーラが、俺に纏わりつき逃さないと言っている。
このあと歌会が開催されたが、俺の頭は歌会どころではなかった。
隣に六条御息所がずっと居座って黒いオーラを撒き散らし、俺に絡みつけていたからだ。
マジで隣で息されるだけでSAN値削れるタイプの人間いるって思わなかった。
てかなんで俺の隣なん??
主催者の席順決めた奴出てこい。地獄に落ちろ。
俺の中の光源氏がなんか勝手に脳内で和歌作って、適当に詠んでやり過ごした。
あれ完全にオート詠歌機能だわ。便利だけど怖い。
そして、精神消耗しつくして、家に帰った―――
―――はずだった。
チュンチュン………
また雀が、庭で呑気に鳴いている。
そしてここはーーー
光源氏の屋敷じゃーーーない!?
ま、まさかーーーーー
隣には、
少しだけ頬が上気した、
でもやっぱり負のオーラを纏った六条御息所が、
俺をガン見しながら裸で横たわっていた。
またこれかよおおおおおおお!?
「なんでまた記憶がねえんだよぉぉぉおお!?まさか今後もヒロイン全員これか!? なんでよりにもよってやってるときだけ俺の記憶ないのォ!?やだ!!誰かオート進行モード解除してえ!!設定どこぉぉぉぉ!?」
二夜、経験して分かったこと。
どうやら、ヤッてるときの記憶だけがないらしい。なにこれオートヤリチンモード?うるせえわ。
「記憶がない……? 何を仰せられるのか、源氏の君……」
「昨夜は、あれほどまでに……このわらわを深く愛しておると……
生涯、側を離れぬと……確かに申していたであろう……?」
六条御息所の纏う気が、黒き煙のように渦を巻きはじめる。
「まさか……忘れたなどとは……言わせませぬぞえ、源氏の君……………?」
あ、これもう、逃げられないやつ。
藤壺に加えて、六条御息所まで……
もう完全オワタ状態ですやん………
俺の紫の上一途幸せハッピーエンド、大丈夫そ??
次回、
第4話:幼女、邸宅に降臨。正妻、激怒。
〜拉致じゃない、保護です、保護(震え声)〜
六条御息所とも朝チュンしてました(安定の記憶喪失)
もう誰だよ俺の体を操作してるヤツ!!
さて次回はついに!
童貞の希望!清らかな恋!心のオアシス!
紫の上、爆誕ッッ‼︎‼︎(つってもまだ幼女)
本気の推しルート、入れるか!?詰むのか!?
全ては原作の呪い次第!!乞うご期待ッ!!!