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 僕たち三人が辿り着いた目的地。それは学校から徒歩で十分くらいの、都市部の奥まった路地にひっそりと建つ、今は居住者もいなくなった小さなマンションだった。

 その地下に降りると長い通路が続いていて、僕たちは奥へと進む。


「おどろいたな。ここは、フレガの手がかかった場所じゃ……」


 まだ説明する前に、(フォース)さんはこの場所の由来を言い当ててみせた。


「さすがはスルールカディアの魔女、か。ここは異端者フレガが国内に潜伏していた当時に使用していた、隠れ家の一つなのだとか」


 ちょっと得意げに九凪君が解説する。協会に戻ってからの彼は、僕たちの今後に纏わる様々なことを調べ、遁走してくれてたらしい。

 けれども(フォース)さんはこう返した。


「ちょいと違うの。このセーフハウスは貴奴のためのものじゃない。まず建物が新しすぎるし、何より内を隠蔽することに特化したつくりじゃ。貴奴の行動原理にはそぐわぬ」


 言わんとする意図を読み取れず、首を傾げた九凪君を通り越して先行する銀髪の魔女。


「貴奴め、情勢がこうなることを予見して、あらかじめここを用意しておったのじゃな」


 誰にでもなく呟くと、かつて対峙した魔術師フレガの住処――その最奥部を目指した。

 通路を抜けると、今は封鎖されたらしき地下駐車場に出た。

 古びた自動車が一台だけ取り残され、路面をびっしりと覆う埃。板の打ち付けられた鉄扉。天井から吊り下げられた蛍光灯が瞬き、そして壁際に忽然と立っていた人影のシルエットを浮かび上がらせた。

 七月先輩だ。


「お待ちしていました、みなさん」


 僕も手を挙げて挨拶する。この人と再会するのはあれから何日ぶりくらいだろうと考えてたら、かける言葉に詰まってしまった。


「遂に姿を現したな、似非魔術師。妾のダーリンをかどわかす女狐とはお主のことか!」


 そこで魔女(フォース)はデッキブラシを構えた!


「――って、あなたそれ持ってきちゃダメって言ったでしょ!」


 首根っこ掴んでやると、呆気なくしょんぼりとしてしまった。

 最初のころは彼女のとる過激な言動にドン引きしたりもしてたけれど、今はみんな呆れたように笑ってくれる。

 そんな魔女の姿を傍観する七月先輩の目は、どこか感情が読めないものだった。

 同じ立場に立ってみれば、先輩の気持ちもわかる。魔女(フォース)がああして道化を演じるのは、言うなれば虚勢だ。

 理由まではわからない。他人が怖いからか、あるいは面倒なのかもしれない。

 でも、僕の役割ははっきりしてる。そのために今日、僕たちはここに立っている。


「じゃ、みんな集まったってことで。中に案内してもらえる、先輩?」


 先輩はこくりと頷くと、何もない薄汚れた壁面に触れる。

 紅い刻印が浮かび上がり、壁からドアノブが生えてきた。それを先輩がひねると、その奥にある部屋への扉が開かれる――


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