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SNSとは、セックス・ネットワーク・サポート魔方陣という男女がエロエロできるアイテムだ。

挿絵(By みてみん)

 振られた……行きつけの酒場のずっと入れ込んでいた吟遊詩人の女の子にあっさりと。

 だから……オレはヤケ酒を飲んでいる。一ヶ月の間猛烈に働いて用意した婚約指輪はたたき売った。金ならいくらでもあるんだ……。

 バーの店員は女性だった……栗色の髪をしたエリルと違って、赤い髪だし……髪も結っていない。どの女性も彼女の代わりになるわけがない。このオレの苦しみをわかってくれる仲間が欲しくて……オレは大盤振る舞いをしている。

「店員さん……もう一杯くれ」

「はい、どうぞ。……先ほど店の中の他のお客さま全員にお酒を振る舞われましたね……失礼ですがお名前を伺ってもよろしいですか?」

「アルっていう」

「アルさん……お礼をしたいというお客様が隣に来たいと言っています」

「……おう。いいぜ」

 店員の女性はそそくさと離れた席に向かった。しばらくたつと

「おう!アルっていうのか? にしても若いのに貫禄のある立派な顎ヒゲだ」

 と行商風の男性が話しかけてきた。

「礼ならいいぜ、ただ……少し話し相手になってもらえると。オレの気が晴れないこともないな」        

「ずいぶんお金もってんだな……で……なにか悩みでもあんのか?」

「……女に振られた」

「そっか……まあオレも似たようなもんさ」

「いい線いってると思ってたんだけどな……」

「まあ……女の悩みは次の女で解決するのが一番よ!」

「……そんな気にもなれんが」

「なぁ……SNSって知っているか?」

「バカにすんなよ……セックス・ネットワーク・サポート魔法陣のことだろ?」

 魔法陣を通してセレブの年頃の男女が交わることができるというエロエロな魔法アイテムの存在は有名だ。だが……SNSはとても高額だ。

「そうだ。譲ってやるよ……1000ゴールドでな」

「SNSにしては安いな? 何か裏があるんじゃねーか?」

「まぁな。実はSNSはSNSなんだが婚活SNSなんだ」

「……エロエロできるが……責任はとれよ……ってことか?」

「そういうことだな」

「……オレもそろそろ嫁さんをもらわないといけない年だ。男として責任はとるよ」

「よし! 商談成立でいいかな?」

「おうよ」

 オレは1000ゴールドを男に払う。男は羽ペンとインクを渡して説明する。

「説明書にも書いてあるけどよ。これで魔法陣書いてくれ」

「わかった。じゃ、オレはそろそろ帰るよ……コレを早速試したいしな」

「兄ちゃん……売れ残りを買ってくれてありがとうな!」

「どういたしましてだ」

 

 街からオレの住んでいる村へと帰る……どれだけ飲み明かしたのか……地平線からは朝日の光が美しくさしはじめている。……街道を歩く。まだ、乗り合い馬車は出ていない。

 毎日の農作業で鍛えられているオレは健脚だから問題ない。一心不乱に足を動かすと、見慣れた丘が見えてくる。丘にはオレンジ色に果物がなっている。オレが育てた果物のアルジェリンだ。丘のふもとにたどり着く、とても良い柑橘類の香りがする。オレが一人暮らしをしている家はそこにあった。

 昔居た年老いた両親は今は便利な街で暮らしていて、オレが訪ねると必ず結婚はまだなのかと聞き、口々に女の子の口説き方の古いアドバイスをしてくる。気持ちを切り替えよう……この婚活SNSを使ってオレはエリルを忘れてやるんだ。

 

 家の土間で行商人の男が渡してくれたSNSの使い方の説明書を読む。

「この魔法のインクで地面に魔法陣を書くのか……」

 最後にお望みになる宝石の数を魔法陣に書き入れてください……か。よくわからねぇけど……

「……男なら可能性は無限大がいいよな?」

 おれは無限大を意味する記号を魔法陣に書き入れる。すると……魔法陣が青白く光る。

 ……オレは知らなかった上流階級では複数の配偶者を求めることがあり、その配偶者の数を宝石の数と暗にいうことを……。

「魔法陣はあなたが所定のパートナーと結婚するまで閉じることができません……か」

 そう、無限大の記号を魔法陣に書いたことで、オレが書いた婚活SNSは永遠に閉じることができなくなってしまったのだ。

「……この魔法陣から女の子が出てくるってことなんだよな……」

 オレはかたずをのんで、ずっとその時を待ち続けた。……だが、何も起きる気配がない。

 朝の鳥のさえずりだけがけたたましい。オレはイラつく。

「くそ……だまされたのか?」

 イラつきがマックスになる。

「こんな魔法陣っ、こんな魔法陣なんて、まやかしだ!」

 魔法陣を崩そうと土間の地面に書かれた魔法陣を足を踏み入れた……その時。視界は青白い光で包まれ、何も見えなくなる。そして、光が消えたとき……僕は、土間ではなく、きれいに磨かれた白い石造りの床に書かれた魔法陣の上に立っていた。部屋は……とても広い。調度品はどれもオレがみたことがないような豪華なものだ。かすかにとても良い香りがする。庶民も香を炊くことがあるが、いままで経験がない香りだ。ほんのり甘いその香りにどれだけのお金がかかっているのだろう。窓が見える……外はどうなっているのだろうか? 気になって、窓辺へ足を運び……窓を覗くと……。

「ここ……5階ぐらいの高さじゃないか?」

 はるか下の地面には小さく武装した兵士が巡回しているのが見え、ここが石造のとてつもなく大きな建物の一室であることがわかる。まるで、鳥になったかのような気分だ。

 興奮気味に外を眺めていると突然若い女の子の声で後ろから声をかけられた。

「……あのぉ。ひょっとして? SNSから来た男の方? ですよね」

 驚いて声の方に振り返ると十歩ぐらい歩いた先に、シンプルな白い、やや薄紅色のかかった絹の薄い生地をしたドレスのような服を着た美しい漆黒のロングヘアをしたオレと同い年ぐらいの少女がいた……。   

「あ、ああ。そ、そうだよ?」

「……私のほうは自己紹介要らない……と思いますが……あなた様は?」

 ……いったい誰だというのだろうか? よほどの有名人?

「オレはアル……村で果物を育てている。オレの育てた柑橘類は品質が良くて市場で高く売れるって評判なんだぜ。王家にも献上されたことがあるんだ……」

「……王家に……、それが本当なら……私もあなたの果物を口にしているのかもしれませんね」

「え?」

 まさかとはおもうけどさ……

「あなた様は……この国の王女様……なのですか?」

 下手な敬語混じりに突然なるオレ。嘘だろ? そんなことがあるのか?

「……なんてね? いくらなんでも嘘だろ?」

 ずかずかと十歩ぐらい歩き、彼女との距離を詰める。似顔絵を見たことがある……青い瞳と柔らかい印象の表情、細い肩。

「……え……。リファイア王女さま?」

「はい、そうですよ……ところで、村人とは……込み入った嘘ですね。SNSが庶民に手が届くとは思えないです。何か裏があって本当のあなたを知らせてもらえていない……という事なのでしょうね……。はぁ……」

「な、なに言っているですか! 本当に村人ですよ! 嘘言ってどうするんです」

「……ではSNSの魔法陣を通ってあなたの家に行ってもよろしいですか?」

「い、いや、あんなむさ苦しい土間に王女様を迎えることなんて、できないっすよ」

「…………すいません。困らせてしまったみたいです。では、村人のアルさん……とこれからも呼ばせていただきます」

「信じてくださいよ! 村人です。本当に!」

「ふふ、いいですよ。無粋な詮索は……もうやめておきます」

「……なぜ王女さまはSNSなんか使っているんです……」

「なんでもなにも……使うように脅されています……」

「え?」

「しらじらしい!」

「本当にわからないですよ!」

「じゃ、言います。あなた方は、この国が欲しいのでしょ? 私と結婚を無理強いするつもりでしょ! ……あんまりです! あなたは、どうせ、この国を狙う帝国のどこかの貴族に決まっているのに!」

「……違いますよ……。帝国……とは平和がずっと続いてますよね……」

「庶民は……そう思っているでしょうね。なかなかの演技じゃないですか!」

「本当に本当にオレはこの国のただの村人ですよ!」

「……わかりました……。もう、いいです。今日は……帰ってください……。心の準備をしたいです。そのぐらいは許して…………うぅぅ」

 彼女は泣き崩れてしまった。

「気まずいじゃねぇか……。まあ、いいや。帰るよ……。それにもう来ないから」

 僕はそそくさと王女の脇を通りSNSの魔法陣に足を向け、自分の家の土間に戻った。

 彼女とは二度と会うつもりはなかった。しかし、驚くべきことに、その翌日彼女の方から僕に会いに来ることになる……。

 

 夢を見ている……。オレがリファイアと婚約のお披露目をしながらパレードしているのをオレが見ているという夢ならではのトンデモ設定だ。

 パレードの両側には手を振る群衆が祝いの言葉を口々に述べながら、みな笑顔でいる。

「きゃー王女様のほうからキスするなんて! アル様も素敵……!」

 とか、女の子たちの嬌声があがる。男どもも祝いの言葉をさらに大声で張り上げる……。……ちがう。オレは吟遊詩人のエリルと結婚したかったんだ……。彼女を駆け出しの歌い手だった頃からずっと応援してきたんだ。

 これは予知夢なのか? そう思いつつ僕は目をさますと王女が一緒のベットにいることに気づくことになるのだ。

 

 時を戻そう……。

 王女の部屋から自分の部屋に戻ってきたオレ。ちょっと遅いがまだ朝だ。

「さて……本業に精をだすとするか……果樹園の収穫をはじめないとな」


 オレが作っている柑橘類のアルジェリンと名付けられた果物は品種改良の末、その風味と香り、ジューシーな果肉、さらには食べやすさまで兼ねそろえた自慢の逸品だ。オレの親父が息子のためにと残してくれた品種……。おかげでただの村人にしては、そこそこ金回りは良いほうだ。


「ふぅ……今日はこのぐらいにしておくか……今年もなかなか良いできだな」

 

 オレは一番この果樹園で大事にしている一本のアルジェリンの木をまた見に行くことにした。果樹園の丘の中でひときわ日当たりの良く、すがやかな風が吹く場所にその木はあった。ここから下に広がる村の田園風景を見るのがオレの仕事終わりの楽しみなのだ。携帯した昼飯をここで食べよう。僕は肉を穀物を練って蒸したもので包んでいるパオと呼ばれる携帯食を頬張る。


「仕事終わりにここで食うパオはいつでも最高だな」

 その木の元には立て看板がたっている。そこには

「王家御用達」

 と書かれていた。オレの親父が書いたものだ。

「……あーあ」

 吟遊詩人やっている子と良い感じなんだ……なんて両親に言わなければ良かったな。

 堅い商売をしていた二人だから、内心は複雑だったに違いないが、それでもオレがそういったら喜んでくれているようだったのに。

 家に帰るか……眠たいから昼寝でもしよう。昨日は徹夜で飲み過ぎた……。

 質素な寝室のベッドに横になると僕はあっという間に寝てしまったのだ……。

 そして、起きたとき驚愕の王女の添い寝に気づくことになる。


 そうだ……夢をみていた……。

 荘厳な、しかし、楽しげでもある音楽が奏でられるなか、パレードを歩く王女とオレを、オレは道ばたから見ている。二人はどんどんと近づいてくる。


 やがて、オレは気づく……王女ではない。栗髪のエリルだ! なんで? 王女なんかに変装しているんだ? 彼女はぐんぐんと歩みをすすめ……オレがいる場所で立ち止まる。そして僕をみつめていう。

「救国士アル……ううん……アっちゃん……ずっとずっと気持ちを隠していたの……大好き!」

 そう言って彼女は僕に抱きついてくる! きゅーっと力強く……。

 オレも彼女を抱き返す……。彼女は王宮で香っていたあの高貴なやわらかい女性らしい香水をしているように思えた……。


「…………お願い……このまま……このまま……ずっとハグしていてください……」

 どこか安心したような声でリファイア王女が耳元でささやく。……これは……現実?

「って……その声は……王女さま?」

「……はい」

「ここオレの寝室だよな……」

「……その……いいづらいんですけど……大臣たちに……早く……魔法陣の向こうに行けと……追い立てられまして……」

「!」

「帝国の貴族と……そういう関係になってもらわないと……この国はひどいことになってしまいますから……。仕方ありませんよね? 王女の宿命です……と言われまして……」

「……とりあえず、おれはベッドから出るよ、王女さまはゆっくり寝ていてくれ」

「あ、ああ……そんな! そんないいんです! アルさんが本当に村人なのはわかりました。本当に申し訳ないです! ……私は帝国の貴族と結ばれるのはイヤです……まして……人を傷つけるような嘘をつく人が私は大嫌いなのです」

「……ああ。まあオレは見ての通り、ただの村人だ」

「それで……アルさんは……本当のことを言っていただけで、私は勘違いで……」

 王女は飛び起きると……ベッドから出る。

「でもさ……なにもオレのベッド入るのは……ちょっと女の子としてはうっかりさんすぎるのでは?」

「……良いんです! ずっと心細かった……。王宮ではみんな私の心配なんて誰もしてないんです」

「なるほど……でも……男のベッドに入るのはまずいよ?」

「……全部覚悟の上です……」

「覚悟って?」

「言わせないでください……そうなっても構わないと思ったのです……」

 つまり、帝国の貴族に傷物にされるぐらいなら……オレの方がマシってことか……。

「まあ、よくわからんけど……自分は大事にしとけよ?」


 ……おい……もう朝じゃないか! どのぐらい長く彼女とは一緒に寝ていたんだろうか? 変な寝言とか発してないといいんだが……。

「エリルさんって……誰ですか……アルさん……うなされていました……」

「……ああ、まあ、知り合いだよ、知り合い」

「……本当に?」

 不思議そうな顔で僕を見つめる王女……

「アルさんの大事なひとなのではないか……と推察しておりました」

「まあ、大事なひと。だったよ……」

 そうだ……あの場所に行くか……、こんなむさ苦しい場所よりはマシだ……。


「なあ、景色の良い場所があるんだ……。そこで朝食でも一緒に食べよう……ずっと寝ていてすまなかったよ。おなか減っているだろ?」

「ありがとう……。本当に……うれしい」


 そうしてオレはお気に入りの携帯食であるパオを二人分持って、果樹園の丘の上のとっておきの場所へと、彼女をエスコートした。


 そこでオレは帝国の企てについて聞かされることになる……。

 そして救国の英雄と呼ばれる……隣国の皇帝の策略とえげつない性格について知るのだ……。だれでも……それを聞いたら……許せないと感じるだろう。


 だからオレも……ガラにもなく……この国を救わないといけないと思ってしまった。

                               。

「ほら……いいところだろ?」

「……風が心地よいですね……それに……良い景色です。そう……ここは柑橘類を特産にする王国最西部の村……レンの村ですね」

「え? よく村の名前がわかった……もんだな?」

「王族が領内の地理歴史特産を知らなくてどうする……私の亡き父によく叱られながら……覚えさせられたものです……」

「……なるほど」

 王女さまも大変なんだな……。


「なんてね? 実はこの村の名前はすぐ覚えましたよ?」

「なんで?」

「ふふ……秘密です……」


 そういって、彼女は微笑んで首を傾けて、あさってな方向を見る。

 はにかんだ顔がカワイイ。

 思えばこれが、オレが初めて見た彼女の笑顔だったかもしれない。


 彼女が視線を向けた先には、王家御用達とかいてある立て看板が根元にたっているアルジェリンの立派な木があった。

 ……ちょっと恥ずかしいんだけど。

「この果物……おいしいんですよね……」

 ……やめてくれ……。


「なぁ、あっち見てくれよ! 村の田園風景! おれの自慢の景色なんだ……」

「……教会が見えますね……。王都のよりはずっと小さいですが……品があってカワイイ建物ですね……。勇者レンはここで式を挙げたそうですね」

「勇者レン?」

「……三百年は昔の話です。魔王を封印した伝説の勇者の故郷なんですよ?この村」

 結婚か……なんか考えたくないな……。


「ところでさ……。……王女さまは……好きな……ひととか……その? いないの?」

 彼女は……彼女が大好きなひとと結ばれるのが一番だと思った。

 だから、彼女の想い人を知りたい。そしてオレは彼女の恋を応援するのだと。


「なんです……突然」

「いや、いいやっ。ほら、このアルジェリン食えよ? 食べ頃だぜ?」

 普段はしないんだけどな。王家御用達の木からアルジェリンをもぎ取り彼女に渡す。

「いいんですか……わたしばっかり、ごちそうになって、嬉しいのですが……」

「気にすんなって? 災難だったな? このぐらい……良いことないとな」


 王女は首をちょっとかしげると……

「ね? 私からも、ごちそうさせてください……」

「あ? なんか食いもん持っているの? 食べ頃?」

「いえ……一応は……食べ頃……だと思います……」

「王女さまがくれるもんだったら、オレはなんでもおいしくいただくぜ!」

 実際に、王宮のモノならなんでもうまいだろ。

「……本当に?」

「当たり前だろ?」

「……絶対、絶対召し上がってくれないとイヤです……」

「うーん……そこまでのこと?」

「私を……食べて……」

「なに?」

 とぼけるオレ。

「……いいです……やっぱ」

「実はパオだけじゃ物足りないんだ。他に食べ物があるなら嬉しいな」

 そのときだ……。リファイア王女はキリッとした顔になって言った。

「あの教会で結婚しましょう……。アルさん……今気づきました。私はあなたが大好きです」

 ちょっと待て……。オレが? 王女と結婚? それはちょっと……。

「……イヤですか?……そうですか」

 うつむく彼女。オレは王女と結婚はしたくない。だが彼女を悲しませるのもイヤだった。……くそ……どうしろっていうんだ。

「……こうしましょう……一年間だけでいいです……結婚して……捨ててください」

「何言っているのですか? 自分は大事にしましょうよ?」

「アルさん……私は嘘は嫌いです」

「……はい」

「……心の底から私はあなたと結婚したいと思っているのです」

「ごめん……。おれも嘘つけない……。オレは……エリルって子が好きなんだ」

「……そうだと思っていました……ごめんなさい」

 あ、あぁ。まあ、でも振られているんだけどな……。

「……いや、結婚するよ。君と……」

「あ……」

 彼女の顔が和らぐ、そして彼女は泣きながらオレに抱きついてきた。

 彼女の王宮でのひどい想い出を聞かされて……いつしかオレも同じように泣いていた。彼女からはもう王宮の香りはせず、ただアルジェリンの香りだけがあたりには漂っていた。王宮のことを忘れさせてやりたい……と強く願い彼女を抱きしめ返した。


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