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亡き者と通じる加護の巫女  作者: あお
プロローグ
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00 ラオネルの巫女

ご覧いただきありがとうございます。なろう初投稿です。すでに本編書き終わっております。大体14万文字程度で本編34~35話です。(本編完結後、番外で男性目線予定しています)

1日2~4話アップ予定です。

 この世界で北西に位置するこの国の国境付近。バシュラール領の奥まった森の中に、とある石碑がある。この国が立国するより以前からその石碑はここにあり、そこにはラオネルの教えが記されている。この国が平和であり続けるための戒めのような言葉が連なっているが、個々がラオネルの教えを守っていれば、国には巫女が誕生する。そしてその巫女がこの国を守るための力を発揮してくれるため、平和を維持できるのだ。


 “ラオネルの巫女がいる限り平穏は守られる その力は国の安念のために”




 この地を遥か昔より守り続けるバシュラール家は、辺境伯として国境を守るだけでなく、石碑の護り人でもあった。石碑に記されている”ラオネルの巫女”とは、バシュラール家に生を受けた女性のことで、彼女達は年頃になり初潮を迎えるとラオネルの巫女としての力を発揮するようになる。その力は様々だが、力を受けるタイミングで、その時の国のためになるもので、最も本人が望む力が備わると言われている。

 現バシュラール辺境伯の姉は風を操った。ちょうど力を得る頃、この国に竜巻が多数発生する異常気象が続いており、それらの災害から国を守るために本人が祈ったためにその能力を得た。おかげで竜巻の被害は押さえられた。その後も台風などの自然災害による大きな被害から国を守るためにその力を発揮したことで、ラオネルの巫女である伯母は聖なる加護の巫女と崇められた。現在は我が国の公爵家に嫁ぎ、公爵夫人としてその力を遺憾なく発揮している。


 次代を担うラオネルの巫女は、現在2人。一人はリーズ・バシュラール。バシュラール辺境伯家の長女で現在7歳。そしてその妹が現在5歳のベアトリス・バシュラール。少しだけトーンが違うホワイトブロンドのロングヘアを靡かせながら、仲睦まじい姉妹は自然豊かな辺境の地で伸び伸びと仲良く過ごしていた。


 ラオネルの巫女の加護の力は国として宝であった。その力は、常に国の平穏安念のために使われてきており、その力を得るその瞬間に本人が望む力と国が望む力が合致することが大切だと考えられてきた。そのため、ある程度の年頃になるとバシュラール家の女児は王都の王城で過ごすこととなる。辺境の地ではその力を十分に活用出来ない上に、国が本当に欲する力を得るため、巫女としての教育をするからだった。力を得たあとは、その力を使いながら国の平和を守るため、そして結婚するまでは王城での生活となる。

 王城での巫女教育とは、その教育を通し、その時々で国に必要だと思われる能力を本人が望むように仕向けていくのが柱だった。


 そして今。リーズはちょうどその年齢だった。家族がいる慣れ親しんだ辺境の地を離れ、王城へと移り住むこととなった。


「寂しくなんか無いよ。王城は人も多いし、リーズのために周りにたくさんの侍女やメイドが付いてくれるからね。僕も学校の合間を縫って時々会いに行くからね。」


 リーズの7歳上の兄・ローランは、王都の貴族学校に通っていて、そこの寮に入っている。休みの日には王城に会いに来てくれるという。


「わたしもあと2年経ったら王城へ行くから待っていてね!お姉様大好きよ。離れるのは寂しいけれど、待っていてね!」


 2歳下のベアトリスは、大好きな姉と離れることは自分もつらいのに、今日辺境のこの地から離れなければならない姉のことを励まそうと声をかけていた。


「立派なラオネルの巫女になるために、私頑張るわ。きっとたくさんの人のためになるような力を手に入れてみせるわね。お兄様もベアトリスも見守っていてね。」


 目に涙を溜めながらリーズは辺境の地から王都へと旅立っていった。



 この年齢で王都に行くのにはもうひとつ訳があった。ラオネルの巫女の加護力は、20歳になると消滅する。しかしそれまでに処女で無くなれば、その力は維持が出来る。国としては、宝とも言うべきラオネルの巫女の加護の力を護らなければならないため、早々にラオネルの巫女には然るべき婚約者を持たせて10代のうちに婚姻関係を結ばせなければならなかった。巫女の加護の力を悪用されないためにも、国に忠誠を誓っており、年齢があまり離れておらず、本人同士が望んで一緒になれる相手探しをしてもらうことも目的とされていた。


 今生の王家には、ちょうどリーズのひとつ年上の王太子がいた。彼の名はジェラルド・シャルル・マイヤール。王家直系の一人息子であるが、幼い頃は体調をくずすことが多く、やや甘やかされてきたことで、王太子でありながらやんちゃな印象が強い男児であった。母親である王妃が体が弱かったこともあり、周囲が甘やかしすぎていた。おかげで、年齢相応といえばそうであるのだが、王太子としてはわがままがすぎるところがあった。王家としては、そんなジェラルドとしっかり者のリーズが一緒になってくれればこの上ないと考えていた。リーズとジェラルドがその気になってくれるよう、彼らは常に一緒に行動させるように計画が立てられていた。


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