第4章~中央監視室の隣の部屋にある鏡
23:30分過ぎに、中央監視室の動力盤の右側に幽霊が現れはじめてから同時期に、すぐ隣の部屋にある鏡にも白い着物を着た幽霊が映るようになりました。
隣の部屋はロッカー室兼の事務室なのですが、霊感のある同僚の杉本さんは夕方を過ぎると鏡に布を掛けるようになりました。
「俺の机の横にある鏡に白い着物を着た幽霊が時々映るんだよ」
と、言っていましたが、霊感のない方々には何も見えないので邪魔だと思ったのか、いつの間にか鏡に掛けてあった布が無くなっていました。
杉本さんに言わせると、その後も鏡に幽霊が映っていたようですが、不思議と自分が見る事はありませんでした。
鏡に掛けてあった布が無くなったので、今度はコピー用紙が貼り付けてありましたが、しっくりいかないのか、1週間もしないうちに剝がされていました。
その後も、事務室にある鏡を覗き込みましたが、幽霊を見る事はありませんでした。
ある日、杉本さんと心霊現象について話をしていた時に、
「中央監視室の動力盤の右側に現れる、白い着物を着た幽霊を見た事がありますか?」
と、聞いてみました。
すると、初耳だったのか、
「どの辺に現れるんですか?」
と、逆に聞かれました。
そこで自分は、中央監視室で23:30分過ぎに幽霊が現れる位置に立ち、
「この辺に立っているんですが、毎回ではないです」
と、言いました。
その時、自分は気付きました。
今、立っている場所と、隣の部屋の事務室の鏡の位置は、壁越しではありますが直線上にある事に!
深夜に中央監視室に現れる幽霊と、隣の事務室の鏡に映る幽霊には、関連性があるのか調査してみたくなりました。
調べるといったところで、自分はまだ中央監視室に現れる幽霊しか見た事がなかったので、隣の事務室の鏡に映る幽霊は謎のままでした。
ある宿直勤務の日、23:40分頃電力検針をしていたら、いつの間にか自分の右側に幽霊が現れました。
そこで検針を一旦中断し、急いで左側から回って隣の事務室の鏡を見に行きました。
幽霊が中央監視室に現れると、壁越しに事務室の鏡に映るのではないか?
と、思ったからでした。
しかし、鏡に幽霊は映っていませんでした。
という事は、杉本さんが見た鏡に映る幽霊は、大川さんの幽霊とは別人なのだろうか?
別人だとすると、この狭い空間に幽霊が2体もいるのだろうか?
頭ではこれ以上考えつかなかったので、この日は職務に戻りました。
翌日になり、杉本さんが前に言っていた言葉を思い出しました。
「鏡に白い着物を着た幽霊が時々映る」
その、“時々”の部分に何かヒントがあるのではないか?
と、思いました。
そういえば、中央監視室の動力盤の右側に現れる幽霊も時々なんだよな…。
その点が一致するのはどういう事なんだろう?
もしかしたら、幽霊は別人じゃないのかも…、
と、思い始めました。
次の宿直勤務の時、23:40過ぎから中央監視室で電力検針を始めましたが幽霊は現れませんでした。
その時、ピンと閃きました。
もしかしたら、中央監視室の動力盤の右側に現れない時は、隣の事務室の鏡の方に映っているんじゃないか?
そう思い、事務室の鏡を覗き込むと、左側にかなりハッキリと白い着物を着た幽霊が映りました。
「やっと現れたか…」
と、思って顔を見ると、大川さんの幽霊でした。
「なるほどね、中央監視室に現れない時は事務室の鏡に映っているのか」
「どうりで、自分と杉本さんは別々にしか見ない訳だ…」
「それにしても、鏡にこんなにハッキリ映ったら恐怖だよな…」
幽霊が鏡に映る時間は、せいぜい2~3秒でした。
後日、杉本さんに事務室の鏡に映った幽霊を、自分も初めて見た事を話しました。
「白い着物を着た幽霊があんなにハッキリと鏡に映るんですね」
「そうだろう…あんなの見たら仕事にならないだろう?」
「何か、鏡を見ると今もいそうですね」
「そういう事言うなよ!幽霊が苦手な人もいるんだから」
「鏡が外れたりはしないんですか?」
「それが、ガッチリついていて取れないんだよ」
「じゃあ、鏡を見ないようにするしかないのか…」
その話を事務室で聞いていた同僚の方々は、極力鏡を見ないようにしてそこを通っていました。