表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元同僚が謎の末路を遂げてから  作者: きつねあるき
2/7

第2章~中央監視室に現れる白い人影

 大川さんは、9年前に離婚(りこん)していて、それからどのくらい女性の知り合いがいたかは(さだ)かではありませんが、現場にいた時は付き合っている女性がいる感じは全然ありませんでした。


 しかし、この度の(なぞ)末路(まつろ)として、千葉県の成田(なりた)市内の山荘(さんそう)単独(たんどく)()くなったのではなく、そこに若い女性2人が一緒(いっしょ)に亡くなっていたとの事でした。


 その3人の遺体(いたい)が発見されたのが、4月下旬~5月にかけての事らしく、遺体の腐敗(ふはい)がかなり進んでいて、身元(みもと)判明(はんめい)にかなり手こずったとの事でした。


 大川さんの遺体の両脇(りょうわき)に、2人の女性の遺体が()()う様な状態だったそうです。


 それにしても、あまりにも不可解(ふかかい)な死に、ただ違和感(いわかん)(おぼ)えるだけでした。


 警察官(けいさつかん)が現場での話を終えた後、この一件と現場の人間の関わりがないという事が判明(はんめい)したので、それ以来は来なくなりました。


 事情聴取(じじょうちょうしゅ)の後、現場長(げんばちょう)酒井(さかい)さんが言いました。


「大川さんの死体がかなり腐敗していたのなら、この会社を辞めてから短期間で成田市内の山荘に行ったという事じゃないかな?」


 すると、同僚(どうりょう)の方が数人で、


「2月中旬に亡くなったとしたら、4月下旬にはけっこう腐敗しているかも知れないね」


「それにしても、一緒に亡くなっていた女性2人は推定(すいてい)25才と20才位らしいじゃないか!」


「どこで知り合ったのかね?」


「でもまあ、死んじゃえばどうしようもないけどな」


「それもそうだな…」


「ただ、大川さんが()けて出てこないといいけどな…」


 という、会話がありましたが、自分はその最後の、


「化けて出てこないといいけどな…」


 という、言葉にゾッとしました。


 そういえば最近、宿直勤務(しゅくちょくきんむ)で夜中1人の時に、どうも人の気配(けはい)がするようで気にはなっていましたが、その時は()り向かないようにしていました。


 しかし、それは意外(いがい)な感じで目撃(もくげき)する事になったのです。


 警察官が来てから大体1週間後、自分が宿直勤務で食事交代の時間になった時です。


 食事に行く方が中央監視室(ちゅうおうかんししつ)から出ていった直後、監視用(かんしよう)のディスプレイとパソコン本体(ほんたい)の間に、白っぽい人影(ひとかげ)が見えました。


 いつもなら、そのようなものはなるべく見ないようにしているのですが、時間帯が比較的(ひかくてき)明るい時間だったので、ふと、その間の白っぽい人影を(のぞ)いてしまったのです。


 すると、何とそこには、真っ白な着物を着た大川さんが、しゃがんだ状態(じょうたい)でいたのです。


 それも、こちらの方を(うら)めしそうな感じで見ていたのです。


 自分はつい、


「大川さん!」


 …と、言いそうになりましたが、

 

「はっ!(たし)か大川さんは死んだ(はず)…」


「こ、これはこのまま見てはいけない!」 


 と、思った瞬間(しゅんかん)、大川さんの幽霊が自分の方に向かって、ぐぐっ~と()び上がってくるではありませんか!


 それも、恨めしそうな目をしたまま、かなり近くまで顔が近付いてきたのです。


 自分は必死(ひっし)になって目をつぶり、(いきお)いよく左を向きました。


 その時、かなり(はげ)しく、


「ドキ-ン、ドクドクドクドク……」


 と、鼓動(こどう)高鳴(たかな)りました。


 その数秒後、(おそ)る恐る目を開くと、そこにはもう何もいませんでした。


 数日後、現場の方に、


「このディスプレイとパソコン本体の間に、真っ白な着物を着た大川さんの幽霊が(あらわ)れたんですよ!」


「それも、恨めしそうな目をしてこっちに顔を近付けてきたんですが…」


 …と、自分が言ったら、次の日にはディスプレイとパソコン本体の隙間(すきま)がなくなっていました。


 自分は、現場の方は心霊(しんれい)を気にしない人が多いんじゃないかと思っていましたが、即座(そくざ)に取られた対応に少し(おどろ)きました。


 しかし、ディスプレイとパソコン本体の隙間をなくしたところで、その後ろに大川さんの幽霊がいるのは変わらないので、一時凌(いちじしの)ぎだと思いました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ