出会いは何色ですか?(4)
狼型の魔物〈フォレストウルフ〉の群れに囲まれるミハイルたち
森の入り口だというのに群れが襲ってくるのは予想外だった
本来フォレストウルフは森の中枢に生息しているはずであり、テリトリーからでることはないはずなのだ
「予想外だがこいつらを討伐する。少し数が多いから援護頼めるか?」
「大したことはできないッスけど任せるッス!!」
「お任せください!」
それぞれの意思を確認し魔物の群れに突っ込む
そして咄嗟に風魔法で作った刀【風刀】で魔物を次々と切っていく
「彼のものに守りの加護を与えよ―【風精霊の守り】」
「解放します、荒ぶる炎は悪しきものに罰を与えん―【天罰の炎】」
途中後ろから襲ってくるフォレストウルフもいたがライナが精霊魔法で風の盾を貼ってくれたり、リリィが杖の宝石から魔法を放ち撃ち漏らしなどを対処してくれている
その中で群れの奥で吠えている個体を見つける
おそらくそいつが群れの長だろう
「奥の吠えてるやつを狙う。少し離れるから気を付けろ」
「はいっ」
群れの長もこちらに気付いたのかこちらに何体かフォレストウルフを差し向けるが構わず切り捨てる
そのまま距離を詰めるが相手も牽制しつつ距離を取ろうとする
だがそれもすぐに決着がつく
「彼のものに敏捷の加護を与えよ―【風精霊の追い風】」
ライナから援護を受け一気に距離を詰める
こちらに応戦しようと噛みつく動作を見せるがそのままフォレストウルフの長を切り裂く
ザシュ―
血があたりに散る
長がその場で倒れるとそれを見た群れの残党は森から離れるように散り散りになっていく
「……ライナどう思う?」
「どうにも怪しさMAXッスね」
「そうなんですか?」
リリィはこの状況に違和感を感じていないようだ
ライナと二人でフォレストウルフの生息地や最後に森から逃げて行ったことについてなど説明をしたことでようやくリリィにも状況が伝わった
「それでどうする?」
「どうするといわれましても私としては危険は承知の上でここにやってきたのでこの奥に待ってる景色を見てみたいとは思います。ただ、護衛としてミハイルさんを雇っているわけですがそのミハイルさんが無理だと判断されるのであれば引き返してもいいとは思ってます」
一度ここは引き返して調査の依頼を出すのが最善だろうが―
「まあミハイルさんなら大丈夫だって思いますけどね!」
「……なんでそう思う?」
「ん~勘ですかね」
「またそれか」
「腕利きと噂ですし守ってくれるって自然と思えるんです」
この信用はどこから来るのか全くわからない
勘と言っているがこの少女にはどこか別のものが見えているような気もする
「なんでそこに自信があるのかわからないがまあ思い過ごしってこともあるだろうし何が起きているか少し調査してから戻るのもありか」
「やった!では行きましょう!」
「あのお……自分置いてきぼりなんスけど……」
「なんだこのまま置いて行こうか?」
「ちょ!?話だけじゃなくてほんとにおいて行く気ッスか!?」
「冗談だ、万が一何かあってもお前がいれば逃げられると思うからな」
「えぇあっし頼みッスか……」
はやくいきましょうと胸躍らせ急かすリリィ
はぁとため息をつき諦めた様子のライナ
より周りへの注意を怠らぬよう気を改めて引き締めるミハイル
三者がそれぞれの感情で”千年樹の森”の奥地へ向かう探索が始まった