表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

月夜譚 【No.1~No.100】

付喪神 【月夜譚No.8】

作者: 夏月七葉

 あの蔵には、人間に忘れられたモノ達が仕舞われている。

 幼い頃は蔵にはあまり近寄らなかった。蔵の中に積み上がった木箱の隙間から小さな話し声やクスクスと笑い合う声がして、怖かったのだ。おまけにそれは他の家族には聞こえないとくれば、近づきたくもなくなるだろう。

 しかし、今はその声達を聞くのが楽しみになっていた。こうして蔵の外壁に背を預けて座っているだけで、明り取りから小さな声が流れ出てくる。自分が生まれるずっと前の話を、声は聞かせてくれる。まあ、声の主は聞かせるつもりなど毛頭ないのだろうが。

 その姿を見たわけではないが、声の主はきっと付喪神であろうと睨んでいる。何せこの蔵は江戸時代に建てられたもので、中には相当古い物ばかりが押し込められているのだ。

 小さな声に耳を傾けながら、そっと目を閉じる。いつか彼等の姿をこの目にすることを願いながら、今はただ漏れ聞こえる声を楽しむつもりだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  良いですね。こういうの……。付喪神って、長らく大切にされたものですから、きっと、とても暖かい話をしているのでしょう。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ