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どうも初めまして。沢夏と申します。
これから頑張って投稿していきます。
亀更新ではありますが、読んでいただけたら有難いです。
ここはどこだ?
…いや、冷静に考えよう。
私は普通に高校が終わった後にいつも通りの帰り道を歩いていて…
歩いていて…あれ、どうしたんだっけ?
家に着いた記憶がない。
それからいくら考えても思い出せそうにないので、
とりあえず移動することにした。
こんな鬱蒼とした森の中に居たらきっと野垂れ死んでしまう
辺りを見回しても道らしきものはないので真っ直ぐ進むことにした
それから一時間は歩いただろうか、街のようなものが見えてきた。
よかった、このまま森が続いてたらどうしようかと思ったよ。
とは言っても街にこれたからといってどうしようもない状況には変わりないよね…。
街の様子を分かりやすく一言でいうならば中世のようなイメージだ。
通る街の人達もどことなく中世よりの服装だ。
明らかに私の制服姿が浮いている。
す、すごい見られてる…。まあ当たり前なんだけど。
こんな短いスカートの人なんていないし。
う、うーん。これからどうしよう?
多分だよ?多分だけどこれって異世界トリップってやつだよね?
それ以外考えられなくない?
…というのも、私は異世界トリップ物の小説が大好きで読み漁っていた時期がある。
時期があるといってもつい最近までは読んでいた。
今は高校三年生ということで受験に追われていて読めてないが、
興味をなくした訳ではなく、今も大好きだし、受験が落ち着いたらまた読み漁ろうと考えていた。
だからこの状況になっても冷静なのだが、小説のようにうまくはいかないだろう。
イケメン騎士に拾われるとか、イケおじの冒険者に出会うこともないだろうな、と。
つまりは、だ。ここで死なないためには自分から行くしかない!!
きっと奥の方に見えてるのは王様が居るお城だろう!!
よーし!!進めーーー!!!
「ダメだ」
はい、ダメでした。
なんと門の前でダメでした。
門の前に居た、お城の騎士らしき人に押さえられてしまった。
ただでさえなかなか一般の人は入れないのに、この私の恰好が尚更怪しいらしい。
そうだよね、私があなたでも絶対に入れないと思う。
でも私は死にたくないんだ。悪いけど引き下がるわけにはいかない。
「この際、貴方でもいいんで助けてください。というか話だけ聞いてくれません?何かしたらその腰にある剣で殺しても構いませんから」
真剣な表情でそう言うと、男は何も言わずにこちらを見た。
何も言わないってことは、聞いてくれるんだろうか?
よく分からないけど、話して怒られたら止めればいいだけだ。
「本題から言わせてもらうんですけど。私多分ここの世界の人間じゃないんですよね」
その瞬間、男が腰に差している剣に手をかざした。
あ、やばい。これはやばいやつ。
本題から言わない方がよかったかもしれない。
私は慌てて謝った。
「ごめんなさい、でも本当なんです。気づいたら森に居たんです、自分でもどうやって森に来たのかはわかりません。
怪しまれるのは分かってたんですけど、家も、お金も、全部無くて…どうしたら信じてくれますか?あ、名前は真奈です、18歳です」
年齢を言ったら男の眉毛がピクリと上がった。
剣にかけていた手を直し、こちらに向き直った。
「未成年だったか、すまない」
いやそこかーい!!
未成年だったら殺されないんだね!!よかった!!
そう安心したのも束の間、知らず知らずのうちに恐怖を感じていたのだろう。
一気に力が抜けてぺたりと地面に座り込んだ。
ツッコむ余裕はあると思っていたのだけど。
「あ、すみませ…。でもさっき話した内容は本当です。異世界から来た、みたいな話聞いたことないですか?」
私はほかにも異世界から飛ばされてきてしまった人が居ないかに賭けてみた。
もし一人でもいたら信じてくれるはずだ。
男をじっと見つめると考える素振りを見せた。
一分ほど悩み、口を開いた。
「確かにそういう話は聞いたことがある。だが異世界から来たから住む場所も金もないと偽り城に入り悪さをする奴が出てきたから
最近はそういうことを言い出した奴は追い出すことになっているんだ。」
「そ、うなんですか」
つまり、私はここで死ぬのではないか?
そんな…まだ人生半分も生きてないのに。
思わずでかいため息がこぼれてしまう。
「…うちに来るか?」
「…え?」
いまなんと?なんと言ったのこの人。
散々怪しんでた人のこと家にあげちゃって大丈夫なの!?
いや何も悪いことしないけど!
でも素直に言わせてもらうと、すごく有難い…。
「いやその服装もまったく見たことがないからな、もしその話が本当だったら大変だろう。
それにお前が何かしでかしたらその時斬ればいい。…どうだ?うちに来るか?」
「は、はい!助かります。有難うございます!」
「俺の名前はカインだ、よろしく頼む」
「カインさん!!命の恩人です!」
先ほどまでの厳しい表情とは違い、ふわりとした笑顔で頷くカインさん。そして優しく私を抱き起こしてくれた。
さっきまで必死で気付かなかったが、カインさんすごく格好いいな?
長くも短くもない銀髪に、前髪から覗く紅色の瞳、そしてスッと通った鼻筋に薄い唇。
うん、すごくタイプだ。
これは好きにならないようにしないと。
私はこっそりとそう誓った。