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ep1 始まりの村

 四方八方に広がる荒れ果てた荒野。生い茂る草木もなければ人も居ない。

 だがしかし、その荒野で一台の車が走っていた。

「おい、次の村はどこだ?」

 その車の運転手が乗車しているほかの人間三人に行き先を聞いている。

「えーっと次は確かぁ・・・メシンレベルドです」

 その中の少年が行き先を指定している。

「メシンレベルド?聞いたこともねえな」

 運転手はその場所はどういうところなのかという意も含めてそう問う。

「メシンレベルドは農業がさかんな豊かな村だよ。経済的には豊かだとは言えないらしいけど。」

 と、乗車している中でも一番小柄な少女が答える。

「ふぅん。久し振りにゆっくりできそうなところね」

 最後に最初の少年と同じくらいの少女が言う。

「でも農業がさかんなせいか盗賊の出没も絶えないらしいよ」

「んじゃ決まりだな。とりあえず王国の方に許可を貰って任務を果たしちまおう」

「そうですね」

「そうね」

「そうしようか」

「よし、ちょっとスピード上げるぞー。振り落とされんなよー」

 運転手はアクセルを踏み、車の速度を上げる。




 車は無事メシンレベルドに到着した。そして運転手が村の外れに車を停めておく。

「とりあえずだ。適当に散策してこの村の様子でも把握しとくか」

 運転手だった男が皆に促すようにする。

 皆が賛成の意を唱えると村の方から村人がくる。

「お越しくださってありがとうございます。旅人殿・・・ですか?」

「ええ、俺達は旅人です」

「オレがこいつらのリーダー兼保護者だ」

「何が保護者よ!」

「・・・とりあえず村長様のところへ案内してもらいたいよ」

 小柄な少女が村人にそう言う。

「はい、構わないですよ。こちらへご同行お願いします」

 承諾した村人は旅人4名を村長の家へと向かっていった。




 しばらく歩いてゆくと、村長の家に着いた。

「村長、旅人が起こしになられました。ご挨拶したいとのことですが」

「おー、旅人殿か。旅人様、ご歓迎いたしますよ。入ってきてください」

 村長が旅人4名を入らせるように村人に指示する。

「村長はあなた達を歓迎するとのことです。入ってもいいですよ」

「えっとでは・・・失礼します」

 少年がまず一番に扉を開ける。

 続々と他の旅人も家の中に入ってくる。

 部屋の中は極シンプル。しかし、どことなく穏やかそうな気持ちをそそられる部屋であった。

「お越しに頂き光栄に思います。たいした歓迎はできないと思いますが・・・どうぞゆっくりしていってください」

「ありがとうございます」

「そうさせてもらう」

「どうもっ♪」

「言葉に甘えるとするよ」

「ところでお名前はなんというのですか・・・?」

 村長が旅人達の名前を聞く。

「はい、俺はシエル=エドワードです」

 少年が最初に名乗る。

「オレはリーク=リベリオン」

 その次に運転手だった男。

「あたしはエルナ=アルファードよ」

 次に少年と同じくらいの背丈の少女。

「ボクはレイン=リライト」

 最後に一番小柄な少女が名乗る。

「分かりました。どうぞ、この村をお楽しみください」

「そうします。では」

 シエル達は村長の家を出て、案内人についてゆく。

 村の大通りに出たところでレインが案内人に言う。

「まずは宿を確保したいよ、案内してほしいな」

「レインっ、人に頼むときはもっと礼儀正しくしないと駄目だよ」

 シエルがレインに注意する。

 そんなやり取りを見ていて、案内人はクスリと笑う。

「あはは、いいですよ。宿ですね、えっと確か・・・こちらのほうです」

 案内人がその名の通りシエル達を案内してゆく。

 案内されているとき、案内人に聞こえないようにリークが三人に呟く。

「今回も村人達には気づかれないように。宿屋についたら早速ミーティングだ」

 シエル達は静かに頷く。

 ―――しばらく歩いてゆくと、案内人が立ち止まる。

「ここが宿です。旅人様がご要望であれば無料にいたしますが・・・」

「そ、そんな!払わないわけにはいけませんよ!」

「左様でございますか」

「ちょっとシエルッ!せっかく得できるところじゃない〜」

 エルナがシエルに不満そうな声を漏らす。

「そんな失礼なこと出来ないよ。さ、宿に行こう」

「絶対しアンタいい男にはなれないわ・・・」

 そこまでエルナが言うと、シエルはエルナの頭をポカッと叩く。

 

 案内人が宿の中にシエル達を入らせる。宿のフロント(にあたる場所)は質素な場所であった。

「では、自分はこれで失礼します。くつろいでいってくださいませ」

「今までありがとうございました。また必要な時は勝手ですけど呼ばせてもらいます」

「勝手だなんてとんでもない!これが仕事ですから」

「あはは、仕事熱心なんですね。では俺達はチェックインを済ませてきますので」

「分かりました、では」

 案内人が手を振ると、シエルも元気よく手を振っている。

「シエル、早めにチェックインをすませるぞ。さっきのことは覚えてるだろ」

「はいっ!」

「声がでかい」

「はい・・・」

 そしてリークはチェックインを済ませた。



 シエル達の部屋番号は05、部屋数が少ないため二桁で表されている。

「ここがあたし達の部屋ね。うん、中々いいところじゃないっ」

 エルナが部屋を賞賛する声を出す。

 い草とはまた一つ違った植物で作られた畳が部屋中に広がっている。

 部屋の真ん中に少し大きめの丸く低い机が置かれているだけのシンプルな部屋だが、十分にくつろげる部屋である。

「このままこの宿に住み込みたいよ」

 レインも同じようにこの部屋に満足しているようだ。

「オレもできるならそうしたい。じゃ、ミーティングを始めるか」

「「「は〜い」」」






 黙々とミーティングを続ける四人。

「やっぱり盗賊の被害はあっている様だな・・・歩いてる時に村をぐるりと見回してみてそんな雰囲気はあった」

「でも居場所がわかりませんよね」

「そうだ、こうなったら村の入り口で盗賊を待ち構えるしかない」

「でも頻繁に現れるとは限らないよ?」

「いんや、村長の部屋も見ただろ?いくら経済的には貧しいとはいえ、農業がさかんなこの村では村長も待遇されるはず。しかも畑を見てみたが野菜も何もなかったもんじゃねえ」

「んじゃ頻繁に盗みに入ってきてるって言うの?」

「そうだ」

「では入り口を交代で見張りましょうか」

「いや、俺達全員で見張るんだ」

「なんでよー?」

「村一つをここまで貧しくする盗賊だ、それなりの数はあるに違いない」

「でもあたしたちならそれくらい・・・」

「無理だ、いくら俺達でも10人くらいに奇襲されたらたまったもんじゃない」

「では四人で見張りをするんですね、時間は?」

「なるべく早めがいいが・・・夕食を終えてからにしよう」

「分かりました」

 そこまで話していると、扉からコンコン、とノックをする音が聞こえた。

「あ、入っていいですよ」

「失礼いたします」

 入ってきたのは宿の営業者のようだ。

「もうそろそろお夕食が出来ます、食堂にいらしてください」

「ご報告ありがとうございます」

「いえいえ、それでは・・・」

 営業者はいそいそと部屋を出て行く。

「飯か。ようしお前ら、食堂に行くぞ」

「「「お〜!」」」




 食堂に集まった四人。既に夕食は用意されており、結構な数の営業者達は笑顔である。

「メシンレベルドにお越し頂き誠に有り難く存じます。ここでは最高級のディナーをご用意しております、お口に合うかは判りかねますがどうぞ召し上がってください」

 見ると豚の丸焼き、七面鳥、その他諸々・・・とにかく豪華な食事が用意されていた。

「うォっ!旨そうじゃねぇかー・・・」

 リークがよだれを垂らしながら言う。

「久し振りの豪華な夕食だね、心が躍るよ」

 レインもまた、この食事を有意義に楽しもうと思っている。

「ありがとうございます、では、どうぞごゆっくり・・・」

 営業者達はすぐさま食堂を出て行く。

「おー分かってるじゃねーか、やっぱり飯のときは少数で食べるのがいいよなァ・・・」

 またよだれを垂らしつつ言うリーク。

「それじゃっ!頂きますと!」

 エルナが既にスプーンを持ち、スープを掬い上げようとした。

 が、その時



「ちょっと待ってください!」



 シエルがリーク達にも聞こえるように少しだけ声を張り上げて言う。

 エルナもその声に気づき、口に持っていこうとしたスプーンを空中で止める。

「な、何よシエル。こんな豪華な夕食は口を通らないって言うの?」

 エルナが不満そうにそう言う。

「いや・・・違うんだ・・・、とりあえず一旦外に出よう」

 シエルが何かを考え込んでるような顔でそう言う。

 促されたリーク達は渋々食堂を出て行き、正門から外へ出る。



「で、何で外へ出したんだよシエル。オレ達はもう腹の虫が幼い頃から親に勘当されちまってピーピー鳴いてるんだぜ?」

「匂うんです・・・」

「匂うぅ?」

 シエルは少し声のトーンを下げる。

「まず一つ疑問に思ったのはあの部屋、いくら来客を出迎えする部屋だといっても村長の部屋よりも快適なのは疑わしいんです」

「それはあの宿が単に旅人達を盛大に出迎えしたいからじゃないの?」

 エルナは疑問そうに問いかける。

「それにしては度が過ぎるよ」

「どこがよ?部屋くらいなら・・・・・・」

「部屋くらいなら、ね」

「どういうことよ?・・・・・・あっ」

 エルナもシエルの言いたいことが分かったようである。

「なるほどね、ボクもようやく気がついたよ」

 レインも同じように気づく。

「そう・・・あの夕食を見たでしょう?とても盗賊に食品を強奪されてできる料理ではありません」

「そういやそうだな・・・」

「しかも食堂には俺達以外の客もいません、それでもあの豪華な食事、多数の営業者が働いているんです。とても貧しいとは思えません」

「えーっと・・・つまり何だ、この宿の営業者達はァ・・・」

 リークは口は笑っていても顔に汗を垂らしている。

 シエルもそれに釣られてクスリと笑う。

「ええ、そうですよ・・・あの人達は」

始めましての方、始めまして。

お久し振りの方、お久し振りです。光虎と申します。

この小説はファンタジーの部類に入ります、多分。

ep1ではあまり言うことはありませんが・・・、とりあえず挨拶程度でお願いします。

作者は他に『パニック・バトラー』という小説を連載していますので、良ければそちらの方もご閲覧ください。

では、また次のお話で・・・。

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