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ある小説家の日常  作者: 静かな野人
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第3話

 玄関を開けると日の光が飛び込んでくる。外の世界はとても暑かった。もう夏であることを実感させられた。

 私は何処へ行こうかと迷った挙げ句、自宅から歩いて20分くらいのところにあるデパートへと足を向けた。とにかく涼しいところへそれが願望であった。さて、そこにたどり着くまでにも私はこの暑さ以外にたいへん不快な思いをさせられた。それは若い男女カップルのいちゃつきである。私は

「お前らもいずれ歳をとり、現実という名の悪魔と対決するんだ」

 などと一人愚痴をこぼしながらデパートへと歩みを進めた。


  もう少しで道端に転がっているアイスのように溶けてしまうのではないかというような夏の暑さを実感しつつ、ようやくデパートの入り口にたどり着いた私は、ドアを開け中に入った。中に入ると外の世界とは違う素晴らしく涼しい空気が私を迎え入れてくれた。

 こんな涼しい環境で本を書くという作業ができたなら、きっと素晴らしい小説が書けるに違いない。しかし私は、売れない小説家である。"エアコン"等と言うハイテクな機械にかけるお金は一円でも節約しなければならない。それが今の私の現実なのだ。

  そんなことばかり考えていても仕方がないので、私は、まるで迷子にでもなってしまった犬のようにふらふらとした足取りで、地下にある食料品売り場へと降りていった。

  食料品売り場で買い物をしていると、不意にヘンテコな置物と目があった。どうやらそれは、魚売り場でどのような魚が売られているのかを客に分かりやすく説明するための置物らしいが、その顔はどうみても人をおちょくっているようにしか見えず、私は思わず「お前まで私をバカにするのか」と小声で文句を言ってしまった。

  買い物を終え食料を買い込んだ私は、そのまま自宅に帰ろうかとも考えたが、自宅に帰ったところで嫌な思いをするだけであるし、せっかく久しぶりに外出したのだからと、酒を飲んで帰ることにした。デパート内の適当な店に入り、嫌なことを忘れようといつもより多く酒を飲んだ私は、ベロンベロンに酔っ払ってしまった。

  「君は何か嫌なことがあったと見えるね。」

 不意に声をかけられ、驚いた私が隣の席を見ると、見るからにヘンテコな格好をした茄子のような顔をした男が笑みをうかべながら座っていた。

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