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スーパーコンピュータ『極』

作者: 一草 箱

初めての投稿です。

つたない文章ではございますが、最後までお読み頂ければ幸いです。

 ついに次世代型スーパーコンピュータ『(ごく)』が完成した。


 この『極』は他のスーパーコンピュータと違って純粋な並列計算の速度は追求していない。

 その分、カオス的な現象をシミュレーションすることに特化させている。


 その性能を確認するためにどんなテストをするべきか開発メンバーの中で話し合われた結果、私が提案した1ヶ月分の地球全体の天気のシミュレーションをするという案が採用された。

 他の天気予報との比較ができ、また一ヶ月分の実際の天気を観測すれば精度を簡単に確認できるからだ。

 だが実際、1ヶ月先の正確な予測など、まずできないだろう。

 天気というのは極めて複雑な現象だ。

 2週間先まででも予測できれば今までのスーパーコンピュータの性能は十分に凌駕したと言えるだろう。

 データは世界各地から集めることにし、さらに民間の会社に委託して臨時の観測ポイントを設置。

 さらにインターネットで有志を募って簡易観測器を配布し、精度は少し下がるが大量のデータを取ることにした。

 データの補正は『極』がやる。

 精度の高いシミュレーションをするには、より多く、より正確なデータが必要になるのだ。


 テスト当日。

 日付が変わった瞬間から観測を開始し10分ごとに24時間、観測データを『極』に送る。

 そして全てのデータを入力し終えたところで、『極』はシミュレーションを始める。

 画面に、観測終了時刻からの地球全体の天気が映し出された。

 ここから結果を一日ごとに区切り、他の天気予報との比較作業に入る。

 まず1日目、つまり今日の天気予報だが、これはどの天気予報でも変わらない。

 これを間違うようでは天気予報などとは呼べない。

 2日目、3日目、4日目…

 7日目、少しばらつきが出てきた。

 従来の天気予報では1週間を超えると信頼性はほとんど無くなるので、これはごく自然な現象だ。

 とりあえず、これまでの天気予報と同等以上の予測ができることがわかった。

 ここからは他の天気予報との比較検討はせずに1ヶ月分のシミュレーション結果をメンバー全員で見る。

 8日目から15日目まではこれといった事は無かった。

 16日目に強い低気圧が発生したが台風には発達せずに数日で消滅した。


 そして24日目に異変が起きた。

 日本時間で夜7時頃、世界各地で異常な高気圧が同時多発的に発生した。

 一瞬で、ぴったり同時に。

 メンバー全員が硬直していた。


 失敗?

 初めに皆が思ったのはそれだった。

 今までの努力の過程で生まれた執着や愛着を含めても、それが1番妥当と思えた。

 何が何だか分からなかったが、私はとりあえず最後の30日目までシミュレーションを見ようと皆に言った。

 皆は不安や焦りのせいか、何も言わずに私の意見に賛成し、残りのシミュレーションを見ることになった。


 高気圧の中心は異常な気圧であるだけでなく、異常な高温でもあった。

 その後、高気圧の中心から雲が急激に広がり、地球全体を覆い、雨が降った。

 そして雲が晴れぬまま30日目が終わった。


 私はこの現象を起こす物に一つだけ心当たりがあった。他のメンバーも同じこと思っていたようだった。

 原子爆弾である。

 私はこの考えが間違いであってくれと願っていた。

 だが。

 いくらカオス現象の予測が難しいと言ってもこんな現象が自然発生するはずが無い。

 それくらい分かる。


 私たちは腹を括って会議を始めた。

 まず、私たちの中の誰かがイタズラでやったのでは、という議論になった。

 しかし、私たちの全員が真摯にこのプロジェクトに取り組んでいたのを知っているのは私たち自身であり、この議論はすぐに終わった。

 ならばあれはバグではないか。

 しかしこれも、バグでもあんなことは起こらない、という結論になった。

 ここからは暗い議論だった。


 核戦争が起こるのではないか。

 これが私の思うところであった。

 しかし気象情報以外のデータは入力してないではないか、と反論され、その線も無くなった。


 議論を重ねた結果、もうこれしか考えられない、という結論に至った。

『極』の反乱。

 コンピュータの反乱である。

 ついにコンピュータの性能が人間を超えてしまい、我々には想像もつかない方法で世界中のネットワークを掌握し、核弾頭を撃つ。

 もうこれしか残ってなかった。

 コンピュータの性能が良いというのは本来技術者にとって喜ばしい出来事のはずだが、私達には悲壮感が漂っていた。


 この結果を上に伝えても全く取り合ってもらえず、その他にも各国政府やマスコミに伝えたが信じては貰えなかった。

どうすればいいんだ。


 そしてXデーの前日になった。

 私たちはもう決断するしかなかった。

 努力の成果。

 血と汗と涙の結晶。

 スーパーコンピュータ『極』。


 その本体を目の前にして、メンバー全員が一斉に金槌を振り下ろした。


そして『極』は砕け散った。


 まさか宇宙人が攻めてくるとは思わなかったよ。

最後までお読み頂きありがとうございました。

読んで頂けたというだけで感謝感激雨嵐です。

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