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夕星出は君が為
14.
……おう。
しばらくだ。変わらねェなァ。相変ァらずの別嬪さんだ。
母ちゃんは? 息災かい?
そォか。そりゃァ何より。
俺? 俺は……ははっ。見ての通りさ。まァ楽しくやってるぜ。
で、どうだい。こッちの方は。いい男でも見ッかったかい?
はははッ、違いねェ。お前も面食いだもんなァ。
…………。
…………ごめんな。
母ちゃんとお前にァ、いくら謝っても足りねェなァ。
勝手ばっかやッちまう。そんな男でさ。
恨んでいいぜ。許してくれなんて、虫の良いこたァ言わねェ。
なんなら綺麗すっぱり忘れて……おう、なんだよ。
ん?
あぁ……そうかい。
そッか。あぁ、そうだな。
こちとら、たまに思い出してくれりゃァ、万々歳だ。
はは。湿っぽい話ァ、やめたやめた。
あんまり時間もねェんだ。大事なことから言ッとくか。
愛してる。
何処にいても。何をしていても。
ずっとずっと、いつまでも。お前を愛してる。
俺のイヅル。愛しい娘。
おうよ。勿論。
いちばんだ。誰よりも。
あぁ――愛してるぜ。




