こっちの話
「では説明もありますので少し移動しましょう」
白い建物から出ると庭園が広がっていた。
そして周りには中世ヨーロッパにあったようなファンタジーな城と城壁があった。
( ベタだなぁ)
なんて考えながら僕は田原さんについていった。
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side田原
何なんですかねこの子は?
今まで召喚してきたなかで、いや、今まで会ってきた人の中でもトップ3に入るぐらいの「何か」を感じますね。さっきの子は暴れて泣き叫んでそれはもうおもしrゲフンゲフン。
失礼、大変だったのですが。
見たところ中学生ぐらいでしょうか、
………いやに落ち着いているんですよねぇこの宗人君とやらは。
でも特別なことを経験したことは無いと言っていましたし、嘘を吐いている素振りもありませんでした。
これでもそういうのは得意ですからね。
ま、落ち着いているのならそれはそれで楽なのでいいのですが。
とりあえずは説明しますか。
「まず話しますとあなたは異世界に召喚されました。
「へぇ」
…………のっけからこれです。頭大丈夫ですか? いや大丈夫じゃ無いでしょうね。
「もうちょっと驚いてくれません?」
「すみません、こういう性格なものですから」
どういう性格なのか問いただしたいですね。
「それにあんなことは普通にやっても不可能でしょうし、なら、オカルトの方が信じられます」
どうやら単純に適応力が高いだけかもしれませんね。
「ちなみになんで呼ばれたと思います?」
「テンプレでいくなら危機が迫ってるから助けて!とかですか?」
「概ね正解です、相手もベタに魔王ですよ」
「つまり勇者になれと」
「はい、あなたが143番目の勇者です」
あ、宗人君が驚いています。さすがにこれは驚いてもらわないと悲しくなってきますからね、ちょっと嬉しいです。
「………魔王ってどれくらい強いんですか?」
「魔王本人の力はまだわかりませんが何せ大軍なもので、四千万はいるといわれてますから」
「にしても143人は多すぎませんか?」「まだ召喚しますよ」「人権は何処いったんです?」「身の危険の前にはそんなものありません」
「……………はぁ」
…………初めて宗人君をやり込めました。
優越感が心地よいですが少々大人気なかったですね。
「これもテンプレですが、この世界では魔法がつかえますよ、そして召喚された人はかなり強くなれます」
「いわゆるチートですね」
そう言ったあと宗人君は少し黙りました。
「どうしました?」
「勇者になりたくない場合、拒否権はあるんですか?」
「ありますよ、こっちが勝手に呼んだだけですし。但し」
これを聞くとやっぱりショックでしょうね、いくら宗人君でも顔を青ざめるでしょう。
そしてテンプレ通り呟きます。
「元の世界には帰れません」
「やっぱそうですか」「あれぇ?」