最後の一人
SIDE田原
「今から召喚を始めます、みんな手順通りにお願いします」
先程二人の前崎さんを部屋に送りとどけてから2時間後、私は最後の一人を召喚していました。
「網の準備完了、5秒後に射出します」
同僚が作業を進めていきます
もともと170人を異世界から呼ぶつもりだったこの計画は、26人が平穏に暮らすことを望み141人が勇者になると言ってくれました。
2人、と言うか前崎さんたちはまだ未定で、
残すところあと一人
「対象の捕獲を確認、引き戻します」
この召喚は、まず魔法で結界を作り、そこにこれまた魔法でケーブルのようなものを作ってとりつけます。
そしてそれを異世界に飛ばして、生き物にぶつかると中にその生き物を格納して戻す、
というのが一連の流れです。
宗人くんに会った時、200回近くやっていると言ったのに169人しかいないのは、たまにミスがあるからです。
「どうやら物ではなさそうです」
今回はちゃんと生き物のようです。ちなみに今までのミスは、冷蔵庫、石、衣服などです。
「もうすぐで到着します」
さて、人でしょうか
それともべつの何かでしょうか
そして、ふっと空中からでてきたのは……………
一匹のウサギでした。
どうやらミスのようです。
同僚たちははぁ、と息をつくとこちらを見てきます。いちおうこれでもリーダーです。
「うちで飼いますよ」
食べるわけにもいきませんか「誰が飼われるか」ら?え?
声のした方向を見るとウサギがいます。
えっと、つまり
「今話したのは」「俺だよ」
ウサギが喋ってます、あのサイズで。
…………………………………………………………………まあいいでしょう。
異世界にはあんな世界もあるでしょう。話している言葉がカイグ語なのはこの世界から近いからでしょう。
とりあえずは挨拶をします。
「ようこそ異世界へ、先程はすみません」