表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/34

第7話「ラビの悪戯計画1」

[ルイーネフリーレン機関区]


機関士服の男

「諸君、どうやら運行管理局は通商連合との協調路線を打ち出す我々労働組合員を切り捨て、輸送事業の独占という私利私欲に走ろうとしている。

我々労働組合員は、輸送事業独占という侵略行為からこのウェストハイトを守らなければならない!!

組合員一丸となりこの闘争を闘い抜こう!!」


機関区労働組合員

「おおおおおお!!!」


機関区の車庫の前には台座が置かれ、その上では派手な機関士服を着た小肥りの男が演説をおこなっている。

彼の名前は、ダヒド=ディエゴ。

非常にずる賢くまた欲深い人間で、様々な策謀を駆使し、この機関区の機関区長にまで登り詰めた男である。

また、この機関区を牛耳る労働組合という組織も彼の策謀の道具の一つである。

しかし彼は、そんな真っ黒な本性を内に隠し、機関区員の権利とこの世界を守るための闘争を指揮する指導者を演じ続けている。

故に、機関区員の人望が厚いという非常に厄介な人物である。


ダヒド

「さて、今我々にとっての急務は、中央が送り込んだ刺客、自動化列車の運行の断固阻止である。

自動化列車の運行阻止が成ったならば、我々の立場を守る事もでき、そして何より我々無くしてこのウェストハイト軌道での運行は無いという事を運行管理局に知らしめる事ができる!!

さぁ同志諸君、共に闘い抜こう!

阻止活動開始、乗車!!」


機関区労働組合員

「おおおおおお!!」


奇声を上げ、機関区員達が木製の茶色い客車や木製の黒い貨車に次々と乗り込んでいく。

その客車には、「自動化断固阻止」、「故郷の侵略を許すな」などのスローガンが落書きの様に書き綴られていて非常にみっともない。

なぜ機関区なのに客車や貨車があるのかと言うと、今までウェストハイトの通常軌道を運行していた車輌は、蒸気機関車が牽引する客車と貨車のみで、その本数も他の路線からすれば少ない本数だったため、車輌区が作られず、代わりに機関区が車輌全てを管理する体制となった。

そして、この機関区がストライキを起こせばウェストハイトの列車全てが動かなくなる・・・筈であった。


しかし、暗黒武装鉄道結社シュバルツァークロイツはその程度で揺らぐチープな組織では無かった。

中央の基幹線で使用されている車輌の間引きや、回遊ダイヤで運行する車輌を手配する等の手段で車輌を確保し、ウェストハイトの通常軌道に確保したそれらの車輌を配備して運行を再開してしまったのだ。


焦った機関区の労働組合は、線路を客車で塞ぎ、運行を阻止する暴挙に出たのである。




[ルイーネフリーレン局地ターミナルステーション]


時刻は昼過ぎ・・・

通常軌道用のホーム、1から10番線には、出発時間を過ぎているにも関わらず、出発できない列車で埋まっていた。

理由は、ステーションを出て直ぐの渡り線区間の出口に築かれた、列車のバリケードである。


ジマー嬢

「全く、ああいうバカって見てるだけでムカつくわね・・・」


3番線に停まるWideview Зимаのわきでその様子を見ながらジマー嬢が苛立ちを募らせつつ、TCAI 同士のデータリンク通話でスノウに怒りをぶつけまくっている。


スノウ

「怒ってもしょうがないよ・・・」


その横の4番線に停まるSnow expressを洗車するスノウがそんな迷惑極まりない状況にも関わらず、嫌な顔ひとつせず彼女をなだめている。


ジマー嬢

「私の出発時間何時だと思ってるの?8時よ8時!!それが今昼過ぎ、こんな遅延はじめてよ、もう信じられないわ!!あいつらぶん殴ってやりたい!!」


しかし、彼の優しさ溢れる行為はあまり効果をあげていないようで、ジマー嬢の怒りのボルテージは上がる一方である。


????

「そない恐い事言わないでおくんなはれ、嬢ちゃんのイメージが台無しになってしまいおるさかいに。」


怒りに任せて暴言を吐きまくるジマー嬢にデータリンク上で話し掛けてきたのは、6番線に停車中のHOT7000系気動車Super rabbi(スーパーラビ)の屋根に寝転がっている少年だった。

この少し変な関西弁を喋る少年はSuper rabbiのTCAIのインターフェースデバイスで「ラビ=レホープ」ある。

その外見はスノウやジマー嬢とは事なり、白い長髪に長い耳のような形をしたイヤーユニットや深紅の瞳に白を基調とした制服など、白兎を思わせる姿をしている。

彼は、オプテラシリーズではなく、レホープシリーズと呼ばれる旅客列車専用に開発されたTCAIシステムで、運行性能面ではオプテラシリーズに負けるが接客面ではオプテラシリーズを大きく引き離している二人に負けない高性能TCAIである。

もちろん、旅客列車専用なので、インターフェースデバイスの戦闘や戦闘デバイスの制御は非常に苦手である。


ジマー嬢

「出たわね、インチキ関西人!」


ラビ

「キッツイなぁ嬢ちゃん、まぁわては関西人じゃオマヘンから、文句は言えまへんけどなぁ。」


ジマー嬢

「ああもう!!あんたで良いわ、私のストレス解消の為に殴らせなさいよ!!」


ラビ

「なでやねん!!」


何故かラビと見事に息の合った漫才を展開するジマー嬢、意外と相性が良いのかもしれない。


ラビ

「せや、わて今オモロイ事を思い付いたんよ。」


スノウとジマー嬢は嫌な予感しかしない。

二人がラビと出会ったのは昨日だが、彼は非常に悪戯好きで彼の思い付いた面白い事と言うのは、ろくでもない悪戯である事が容易に想像できたからだ。


ラビ

「なんやその顔、そない露骨に嫌な顔せんでもええやんけ。」


露骨に嫌な顔を(データリンク上で)二人にされたラビが不満を言う。


ジマー嬢

「だって、アンタの面白いで面白かった試しがないじゃない!!」


ラビ

「えげつないなぁ、嬢ちゃんは

・・・チトした洒落やないかぁ。」


ジマー嬢

「洒落で毎回大変な事になってるじゃない!!巻き込まれるこっちの身にもなってよ!!」


ラビ

「洒落の分からん嬢ちゃんやなぁ・・・そんなんやさかい嫁の貰い手無いんちゃう?」


ジマー嬢

「なにそれ!!TCAIが嫁ぐとか意味分かんないし!!アンタのAI壊れてるんじゃない?」


スノウ

「二人とも落ち着いて、ラビさんのせっかくのお話ですし、聞くだけならジマーさんも問題無いとおもうので・・・」



売り言葉に買い言葉で、仁義なき口喧嘩を始めそうなジマー嬢とラビの間に割り込んで、二人の納得しそうな妥協案でなだめるスノウ・・・

だが、これは話を聞いたら最後、ラビが二人の意見関係なしで動き始めてしまういつもの巻き込まれパターンである。


ラビ

「ようぞ聞いてくれはりました、スノウはん♪」


スノウ

「い・・・一応聞くだけですからね。やるかどうかは・・・」


ラビ

「分かってまんねん♪」


満面の笑みを浮かべるラビ、その様子にやはり嫌な予感しかしないスノウであったが、そんな彼をよそに、ラビの話しが始めるのであった。




…To be continued


国鉄時代の労働組合をモデルにしたのが機関区の労働組合です。

車輌に落書きのようなスローガンを書いたり、仕事そっちのけで抗議活動をしたりと調べてみるとかなりヤバイです彼等・・・



さて、今回新たに登場したのが、智頭急行のモンスター、HOT7000系気動車スーパーはくとをモデルのSuper rabbi (スーパーラビ)です。


[Super rabbi 編成]


( : 運転台(ブレーキ操作台)有り

[ : 運転台無し


(1号車][2号車][3号車][4号車)[5号車][6号車)


[1号車 HOT 7002]

挿絵(By みてみん)


[2号車 HOT 7042]

挿絵(By みてみん)


[3号車 HOT 7033]

挿絵(By みてみん)


[4号車 HOT 7022]

挿絵(By みてみん)


[5号車 HOT 7034]

挿絵(By みてみん)


[6号車 HOT 7012]

挿絵(By みてみん)


前話でジマー嬢が言っていた青いヤツは実は彼をだったりします。(キハ283だと思ってた人申し訳ない)


最後に、登場させて欲しい車輌があればコメントお願いします。(作者の趣味で気動車優遇措置を取ってますが気にしない方向でお願いします。)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ